鍔の歴史 藻貝図鐔 古金工
藻貝図鐔 古金工
これも同じ趣を狙った手であると考えられる。造り込みが奇抜で面白く、この辺りに異風を好んだ桃山時代の風が窺える。山銅地を古拙なる魚子地に仕上げ、図案は古金工に多く見られる藻貝で、それぞれの周囲を一端深く鋤き下げ、文様は量感のある高彫。高彫の表面には抑揚変化を付けている。波にも毛彫と点刻を加えて泡立ち流れる様子を表現している。切羽台の周囲にある縄状の文様は、最初はその通りに縄と考えたが、背景の魚子地が砂であれば、砂浜表面に微かに残り、新たな波によって消され、また現れる波の痕跡。この辺りも巧みであり、頗る面白い作品である。□
藻貝図鐔 古金工
これも同じ趣を狙った手であると考えられる。造り込みが奇抜で面白く、この辺りに異風を好んだ桃山時代の風が窺える。山銅地を古拙なる魚子地に仕上げ、図案は古金工に多く見られる藻貝で、それぞれの周囲を一端深く鋤き下げ、文様は量感のある高彫。高彫の表面には抑揚変化を付けている。波にも毛彫と点刻を加えて泡立ち流れる様子を表現している。切羽台の周囲にある縄状の文様は、最初はその通りに縄と考えたが、背景の魚子地が砂であれば、砂浜表面に微かに残り、新たな波によって消され、また現れる波の痕跡。この辺りも巧みであり、頗る面白い作品である。□