鴛鴦図鐔 大森英満
鴛鴦図鐔 大森英満
高位の武家から特別の注文を受けたものであろう、贅を尽くした作。金梨子地塗の蒔絵道具を想わせる精密な描法。このような平象嵌の手法による独特の梨子地象嵌を生み出して華麗な作風を展開したのが大森英秀。英満はその子で技量は頗る高い。鐔の下地は赤銅磨地。水辺の大地は薄霜が降りている景色であろう、陽に照らされて輝いている様子を表現していると思われ、大小を交えて濃淡のある金梨子地象嵌に金銀色を違えた方形の切金風の平象嵌を散している。背景は立ち込めている霧であろう、これも陽に応じて明るい空気に包まれている様子を大小の金梨子地で演出している。羽根色の美しい鴛鴦は、高彫に平象嵌と色絵。金、銀、朧銀、素銅の四色のみながら、細かな梨子地象嵌を組み合わせて見えている以上の色彩感を示している。名品である。73.5ミリ。□
鴛鴦図鐔 大森英満
高位の武家から特別の注文を受けたものであろう、贅を尽くした作。金梨子地塗の蒔絵道具を想わせる精密な描法。このような平象嵌の手法による独特の梨子地象嵌を生み出して華麗な作風を展開したのが大森英秀。英満はその子で技量は頗る高い。鐔の下地は赤銅磨地。水辺の大地は薄霜が降りている景色であろう、陽に照らされて輝いている様子を表現していると思われ、大小を交えて濃淡のある金梨子地象嵌に金銀色を違えた方形の切金風の平象嵌を散している。背景は立ち込めている霧であろう、これも陽に応じて明るい空気に包まれている様子を大小の金梨子地で演出している。羽根色の美しい鴛鴦は、高彫に平象嵌と色絵。金、銀、朧銀、素銅の四色のみながら、細かな梨子地象嵌を組み合わせて見えている以上の色彩感を示している。名品である。73.5ミリ。□