鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

千鳥図鐔 菊池序定 Tsunesada Tsuba

2015-01-27 | 鍔の歴史
千鳥図鐔 菊池序定


千鳥図鐔 菊池序定(花押)

 松樹は毛彫のみで表し、他の要素は平象嵌のみの工法。いずれも繊細で緻密。千鳥は平象嵌であるが故に文様表現である。その背後に流れる薄雲は微細な点の連続になるが、これも平象嵌の手法。漆塗りの梨子地に似ていることから梨子地象嵌とも、真砂象嵌とも呼ばれている。千鳥の金を微妙に色違いとしているのは、平面的な図柄に変化を持たせようとしているのであろう、平象嵌には良く採られている構成。序定は清定でも紹介したように平象嵌を伝統とした仙台金工の出で渋谷氏。菊池序克の門に学んだ。