洛中洛外図鐔 細野政守


洛中洛外図鐔 細野惣左衛門政守
写真例のような俯瞰の視線で、洛中洛外、あるいは近隣の風光明媚な地の景色を、スナップ写真に収めたような構成とするを得意としたのが政守。しかも平象嵌と毛彫を組み合わせ、人物は頗る小さな描写ながら、まさに人々が群れるように生きている、その繁栄ぶりを表現している。春の野遊びを想わせるのがこの鐔。いずれの社頭であろうか、鳥居のさらに上から見下ろしている。参詣者があり、それを目当てとした物売りがあり、食い物屋があり、遠く山間には弓を射る者がいる。世の中が安定し、人々に野遊びという余裕が生まれてきた頃の、時代観が良く示されている。
平象嵌が脱落した作を見たことがある。平象嵌の下地は0.5ミリほど鋤き下げられており、その面には鏨で棘のような微細な突起を無数に生じさせてあった。この工作により、象嵌部分を噛み合わて落ちにくくしているのである。



洛中洛外図鐔 細野惣左衛門政守
写真例のような俯瞰の視線で、洛中洛外、あるいは近隣の風光明媚な地の景色を、スナップ写真に収めたような構成とするを得意としたのが政守。しかも平象嵌と毛彫を組み合わせ、人物は頗る小さな描写ながら、まさに人々が群れるように生きている、その繁栄ぶりを表現している。春の野遊びを想わせるのがこの鐔。いずれの社頭であろうか、鳥居のさらに上から見下ろしている。参詣者があり、それを目当てとした物売りがあり、食い物屋があり、遠く山間には弓を射る者がいる。世の中が安定し、人々に野遊びという余裕が生まれてきた頃の、時代観が良く示されている。
平象嵌が脱落した作を見たことがある。平象嵌の下地は0.5ミリほど鋤き下げられており、その面には鏨で棘のような微細な突起を無数に生じさせてあった。この工作により、象嵌部分を噛み合わて落ちにくくしているのである。

