鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

正月図鐔 土屋守親 Morichika Tsuba

2015-01-06 | 鍔の歴史
正月図鐔 土屋守親


本年もよろしくお願いします。
今年の正月は写真撮影に没頭しようと考えていたにも関わらず、年末から年初にかけて宝島社から「日本刀の本」の校正のためのEメールが連続して届き、昨年と全く同じ調子で正月が過ぎてしまいました。1月中に宝島社から「日本刀の本」が出ますので、お買い求め下さい。
それでも、カメラを担いで鎌倉の山中を歩きました。鎌倉という限られた中においても、あまり目にすることのない、面白い風景を見つけました。いずれどこかで発表できれば良いかと考えています。



正月図鐔 土屋守親(花押)

 鉄地に高彫、そして異金属による塑像を象嵌した作。みた通りのお正月飾りの植物。この鐔は、大小揃いで、小鐔には二月の風習でもある豆まきに関連した柊に鰯の図が同じ手法で表されている。他の金具は次回に紹介するが、年中行事を題に得て大小揃いの拵に仕上げた名品。ごく一般的というか多く見られる象嵌はこの手法からなる。地面を彫り下げて別彫りの塑像を象嵌し、時にはその上に色絵を施す。江戸時代、この作のような鉄地の金工作品は色金の作品と同様に高い評価を得ていた。表面を平滑に仕上げ、錆び込みがないように処理するのが難しかったと思われる。