書評『逝きし世の面影』(渡辺京二著)10 2017-08-11 | 書評『逝きし世の面影』(渡辺京二著) ②歴史的アイデンティティの問題について また第二に、著者自身がここで現に行っている「歴史を語る」という行為そのものへの押さえが不足しているとの感が否めない。本書の執筆意図について、巻末において「昭和の意味を問うなら、開国の意味を問わねばならず、開国以前のこの国の文明のありかたを尋ねなければならぬ」と述べ、さらに「私が書きたいのは昭和という時代についてであった……私が昭和というのは一九四五年まで . . . 本文を読む