書評『逝きし世の面影』(渡辺京二著)12 2017-08-14 | 書評『逝きし世の面影』(渡辺京二著) 特に終章の末尾、本書の締め括りにおいて『東海道中膝栗毛』を取り上げ、近代ヒューマニズムからすれば眉をひそめざるを得ないようなその猥雑さとアナーキーぶりに、人生や世界を軽妙なものと割り切った「明るいニヒリズム」があり、それが当時の日本人、ひいては前近代人の前個的な心性の特徴だったと、短く結論していることが注目される。それは、合理的な個的段階の前に自他未分離な前個的段階、いわば幼少期の心性が人間集 . . . 本文を読む