03年にあった鹿児島県議選の公職選挙法違反事件に絡み、任意の事情聴取を受けた同県志布志市志布志町、ホテル経営川畑幸夫さん(61)が「県警 の警部補(44)から家族の名前などを書いた紙を踏みつける『踏み字』を強要されるなど、違法な取り調べを受けた」として県に慰謝料など200万円を求め た訴訟の判決が18日、鹿児島地裁であった。高野裕裁判官は「取り調べ手法が常軌を逸し、公権力をかさに着て原告を侮辱する行為で、精神的苦痛は甚大」と して、警部補を雇用している県に60万円の支払いを命じた。
判決によると、警部補は03年4月中旬の3日間、支援する候補者への投票を依頼する目的で市内の建設業者にビールを配ったなどとして川畑さんを任 意で取り調べた。この時、「早く正直なじいちゃんになって」などと家族からのメッセージに見立てた文言を勝手に3枚の紙に記し、川畑さんの両足首をつかん で踏ませた。
県側は「反省を促すために、両足首を軽くつかみ、3枚のうち1枚の端の方に置いた」と主張したが、高野裁判官は「違法な有形力の行使であることは 明らか。仮に1回でも、足先のみ紙にのせたとしても、違法性は十分認められる」と判断した。他に、任意の取り調べなのに自由を侵害するなどの違法行為が あったことも認めた。
川畑さんはこの事情聴取の後、同じ候補者をめぐる別の現金による買収容疑で逮捕されたが、不起訴になっている。一連の公選法違反事件では、候補者 ら13人が起訴(1人は死亡で公訴棄却)されて公判中。12人の被告全員が川畑さんと同様、「違法な取り調べで自白を強要された」などと無罪を主張する極 めて異例な展開になっている。
この日の判決について、県警監察課の上永田政夫課長は「主張が認められず残念。判決内容を検討し、対応を決めたい」と話した。