ガザ地区で新たな空爆、死者270人超える
ガザ市(CNN) イスラエルは28日朝、ガザ地区を新たに空爆し、ミサイルがガザ市内の警察署を直撃した。イスラエル側で取材活動にあたっているCNN記者は、午前8時15分頃にガザ地区の方向で大きな爆発が3度あり、黒煙が立ち上ったと語った。標的は今のところ不明。
空爆による死者は少なくとも275人、負傷者は600人に増加した。イスラエル軍は空爆継続を認め、27日午前から攻撃したイスラム強硬派勢力ハマス指導 部関連の標的が、210カ所余りにのぼることを明らかにした。同軍によると、ハマスは27日午前からイスラエルに向けてロケット弾110発余りを発射し、 うち1発が民家に着弾して女性1人が死亡した。
パレスチナのリヤド・マンスール国連大使は、空爆を非難するよう国連に求める意向を表明。国連安全保障理事会の緊急会合前、記者団に対して「一握り
の(過激派の)行動を理由に、ガザ地区の住民150万人を罰することは正当化できない。われわれは今夜、安保理の対応を強く望む」とコメントした。
ガザ空爆で国連安保理が緊急協議
【ニューヨーク28日共同】パレスチナ自治区ガザに対するイスラエル軍の大規模空爆で、国連安全保障理事会は27日、緊急協議を開いた。空爆への非難声明を出すことで合意できるかどうかが焦点。
協議でロシアは、報道陣向け声明案を提示した。イスラエル軍に対し「軍事行動の即時停止」を促し、情勢悪化に深刻な懸念を示す内容だが、空爆に理解を示す米国などの合意が得られるかどうかは不透明だ。
協議に先立ち、国連の潘基文事務総長は27日、ガザからイスラエルへの継続的なロケット弾攻撃にも言及しつつ、多数の死者を招いたイスラエルの「過度の武力行使」を非難した。 (16:30)
IISIAが読み解くマーケットと国内外情勢
去る27・28日の両日、イスラエル空軍はパレスチナのガザ地区に対し、戦闘機とヘリコプターによる大規模な空爆を実施、民間人を含む300名余の住民
が死亡した。イスラエル側はガザ地区で活動を展開するイスラム系原理主義組織「ハマス」に対する非難をここにきて強め、とりわけ25日の段階でエジプトを
訪問したリヴニ外相が記者会見において「ハマスによる攻撃はもうたくさんだ。状況はまもなく変わる」と述べ、空爆を示唆していただけに、1967年以来と
いわれるその規模はともかく、空爆自体は“想定内”の出来事であったというべきだろう。
多数の犠牲者が出る一方で、世界中のマーケッ
トとそれを取り巻く国内外情勢の動向を見る限り、今回の“空爆”を事実上待ち望んでいたかのような「潮目」が見え始めている点が見落とせない。たとえば空
爆の当事者であるイスラエルであるが、来年(2009年)2月10日に実施予定の総選挙を控え、与野党共に膠着する内政状況を打開するための「ブレイクス
ルー」を必要とする状況に置かれてきた。米国発の金融メルトダウンによる深刻な影響はイスラエルにも及んでおり、今年(08年)だけで同国株式市場指数は
実に49パーセントも下落してしまっている。今回の空爆を受け、イスラエル市場では株式・債券ともに大幅な下落を見せたが、今後ますます“国威発揚”が語
られるようになる中で総選挙に向けた集票活動が活発となっていくことは間違いない。
他方、国際社会の反応を見ると、米国が民間人への
攻撃を非難するにとどまったのに対し、EU、フランスそしてロシアが即時停戦をイスラエルに対し求め、対照的な対応を示したことが際立つ展開となってい
る。今後の戦線拡大について一つの大きなカギとなるのが、米軍による支援の可能性であろう。しかし、現段階で米海軍の機動部隊の内、中東地域に展開してい
るのは一つだけであることから、米軍がイスラエル軍をただちに支援し、さらには参戦するという動きに出ることは非常に考えにくい。
さ
らにもう一つの大きなカギを握っているのがロシアだ。8月に発生したグルジア紛争において、グルジア側が持つイスラエル製最新兵器を電撃的に破壊したの
が、自国製兵器で武装したロシア軍であった。そのためその後、イスラエル製兵器の脅威に悩むアラブ諸国がロシア側に武器輸出を相次いで要請。ロシアの軍事
産業はにわか景気に沸いてきたが、他方でこれがイスラエル側にとって悩みの種となってきた経緯がある。今回の空爆に先立つ今月中旬、イスラエル国防省幹部
はモスクワを訪問。イスラエルが世界に誇る無人航空機(UAV)の対ロシア供与について話し合われたことがロシア軍幹部によって明らかにされている。これ
によってロシアとの間ではガザ空爆を控え“握った”とも言えようが、去る23日にロシアはモスクワを訪問したパレスチナ政府幹部に対し、引き続きの“支援
”をラブロフ外相の発言という形で表明したばかりである。また、イランに対してはイスラエルの恐れる最新鋭地対空ミサイルS-300を供与したとの情報も
ある。これを見る限り、今回の空爆とこれから続く長期化の兆しの中で、国際社会が最も恐れている「対イラン空爆」、あるいは「アラブ諸国との全面戦争」と
いう構図への飛び火は想定しにくいと考えられよう。
そのアラブ諸国であるが、彼らもまた実は今回の空爆と歩調をあわせて行動している
節がある。もちろん表向きはイランに対する非難を続けているものの、たとえば本日(29日)、オマーンで開催される湾岸諸国会議(GCC)では域内通貨統
合に向けた“歴史的合意”が発表される可能性があるものと考えられている。これら諸国の最大の悩みは何よりもまず原油価格の暴落だ。イスラエルによる空爆
の“長期化”は、地政学リスクを高め、ひいては原油価格の反転を招く可能性があるため、その言葉とは裏腹に内心は歓迎すべきものととらえられている可能性
がある。間もなく発表される今次会議の合意文書に要注目だ。
米国におけるオバマ次期政権の就任という決定的な「潮目」に向け、残りわ
ずか20日余となった世界。これまでの膠着した状況を乗り越え、原油、軍事、そして金(ゴールド)と為替(米ドル)に至るまで“反転”のための理由づけと
して、イスラエルによるガザ空爆が引き続き用いられることになることに十分警戒すべきだろう。(執筆者:原田武夫<原田武夫国際戦略情報研究所
(IISIA) CEO>)
保守記事.1【FT】なぜ中東の炎は鎮火できないのか
保守記事.1-3 エルサレムの平和のための
保守記事.1-4 エルサレムの平和のための
保守記事.1-5 エルサレムの平和のための
保守記事.1-6 分かってはいたことだけど
保守記事.1-7 エルサレムの平和のための
保守記事.1-8 どこまで本気。。。。