梅毒の患者数 約20年で最も多いペース
9月12日 17時01分
性感染症の「梅毒」について、ことし、全国の医療機関から報告された患者の数は、今月3日までに3700人余りと、この20年近くでこの時期としては最も多くなっていることがわかりました。専門の医師は「薬で治るので気になる症状があれば速やかに受診してほしい」と呼びかけています。
「梅毒」は細菌による感染症で、性的な接触などによって感染して発疹などの症状が出て、放置すると血管が破裂する原因になるほか、妊娠中の母親が感染すると子どもに重い障害がおきるおそれがあります。
国立感染症研究所によりますと、ことしに入って今月3日までに全国の医療機関から報告された梅毒の患者数は3728人に上ることがわかりました。
現在の方法で統計を取り始めた平成11年以降の19年間では、患者数が最も多かった去年の、この時期をおよそ850人上回り、最も多くなっています。都道府県別にみると、東京都が1185人と最も多く、次いで大阪府が497人、愛知県が208人などとなっています。
梅毒の年間の患者数は、昭和20年代には20万人が報告されていましたが、抗生物質の普及とともに減少傾向を示し、平成9年には500人程度になりましたが、6年ほど前から再び増加に転じています。
梅毒に詳しい、プライベートケアクリニック東京の尾上泰彦医師は「男性だけでなく、最近は20代の若い女性に増えているのが特徴で、原因ははっきりしていないが不特定多数の人物との性行為が感染のリスクを高めていると考えられる。薬の治療で治るので気になる症状があれば、早めに受診してほしい」と話しています。
梅毒患者の推移
しかし、その後、抗生物質が普及して薬で治るようになると患者数は減少傾向になり、平成9年には年間に報告される患者数が500人を下回りました。
こうした状況は10年以上続きましたが、平成23年ころから再び増加に転じ、年間の患者の報告数は平成25年に1228人と1000人を超え、平成27年には2690人、去年は4559人と大幅に増えています。
ことしも、報告される患者数は増加傾向が続いていて、今月3日までに3728人と、去年の同じ時期を850人余り上回って、現在の方法で統計を取り始めた平成11年からの19年間ではこの時期としては最も多くなっています。
梅毒に詳しい、プライベートケアクリニック東京の尾上泰彦医師によりますと、「ここ数年梅毒の患者が増えているが、ことしはさらに多くの人が診察に訪れていて、その多くが梅毒とわかり、治療を行っている。患者の比率は男性がおよそ7割程度で女性は3割程度だが特に20代の女性の患者が増えていて、リスクの高い性風俗に関わる人で流行が深刻になっている」と話しています。