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保守記事.175-2 結局、どっち?

2007-08-01 14:15:40 | 記事保守

実刑で高まるファンド攘夷論

困った時は「救世主」、平時は「敵役」に振れる


 「まるでファンド攘夷論だ」

 7月19日、村上ファンド前代表、村上世彰被告に実刑判決を言い渡した東京地方裁判所の判決理由を聞いた投資ファンド関係者は、ため息をついた。

 懲役2年を言い渡した東京地裁は、ニッポン放送株を巡るインサイダー取引の過程でフジテレビジョンやライブドアを手玉に取った村上被告のビジネス スタイルを指し、「『ファンドなのだから、安ければ買うし、高ければ売る』という徹底した利益至上主義には、慄然とする」と強く非難した。

不正は指弾されるべきだが

 もちろん、ライブドアから得たインサイダー情報で巨額の利益を得た不正取引は指弾されるべきだ。だが、「安く買って高く売る」のは市場原理そのもので、それを否定されたのでは、あらゆる投資ファンドが利益至上主義と非難されかねない。

 米投資ファンド、スティール・パートナーズによるブルドックソースの買収防衛策の差し止め請求を棄却した東京高等裁判所はスティールを「濫用的買 収者」と認定した。村上ファンドからニッポン放送株を買ってフジテレビの支配を画策したライブドア前社長の堀江貴文被告は証券取引法違反罪で懲役2年6月 の実刑判決を受けている。

 日本では「買収者」に対する評価が定まらない。最初は「ハゲタカ」と忌み嫌い、しばらくすると不良債権の山を切り崩す「救世主」と持ち上げ、今また「攘夷論」である。

 風向きを読み違えると、英雄になるはずが突然、悪者に突き落とされる。経営者や投資家にとって、世間の空気を読む力は、生き抜くための必須スキルと言える。

 楽天の三木谷浩史会長兼社長は6月28日、TBSの株主総会への出席を土壇場でキャンセルした。

 「席を作ってお待ちしていたんですけどねえ」(TBS幹部)。TBS側は肩透かしを食らった格好だ。三木谷社長はその少し前にも、メディアの取材を直前にキャンセルしている。

 「買収防衛策で保身に走るTBS経営陣を徹底的に糾弾する」と戦闘態勢を取っていた三木谷社長が、突然首を引っ込めたのはなぜか。

 関係者は「(スティールに対抗するための買収防衛策導入を決めた)ブルドックソースを世論が擁護し始めたのを見て、三木谷社長は急に神経質になった」と証言する。

三木谷社長が恐れた烙印

 買収者は悪者で、買われる側は被害者という世論が膨らむ中で、三木谷社長は自分が、村上被告らと同じ「利益至上主義の買収者」と見なされることを恐れたのだ。

 確かに、あの時点でTBS経営陣を批判する論陣を張っていたら、楽天も「悪質な買収者」の烙印を押されていたかもしれない。TBSとの交渉で後手に回り、本業にも一時の切れ味が見えない三木谷社長だが、時代の風を読む能力は健在のようだ。

 「しばらくは首を引っ込めて嵐が去るのを待つのだろう」。楽天関係者は今後の三木谷社長の動向をこう予測する。確かに、再び企業業績が悪化し株価が下がれば攘夷論が鳴りを潜め、買収待望論が再燃するかもしれない。

 しかし、お金が足りない時は神様で、足りている時は敵役という定見のなさをいつまでも続けていると、いつか日本全体が海外の投資家に愛想を尽かされる。

 最近、日本の株主総会を取り上げた英経済誌のエコノミストは、「日本の政治家やメディアは、モノ言う株主を、企業の中長期的な成長を犠牲に短期の利益をむさぼる悪魔に見立てた」と安易な攘夷論を批判した。

 村上被告が去った後、ニッポン放送の経営改革は進んだか。買収防衛策を導入したブルドックソースは、今後、株主価値をどう高めるのか。買収者が去って胸をなで下ろしたい気持ちは分かるが、祝杯を挙げるのはまだ早い。

 日経ビジネス2007年7月30日号11ページより

保守記事.175 業界さいへん?




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