北海道夕張市の老朽化した救急車が、急病患者の搬送中に高速道路で動かなくなり、他の自治体の救急車の助けを借りて急場をしのいでいたことが分かった。 夕張市の救急車は2台。いずれも札幌市などの基準では更新期を過ぎているが、財政破綻(はたん)した夕張市は自力で新車を購入できない。「夕張市民に安心 を」。藤倉肇市長が6日朝、北海道庁を訪ね、「新車」の配備を陳情した。実現までは老朽車をだましだまし使っていくしかないという。
エンストを起こした老朽救急車(左)と、救急車の代役を務めた火災原因調査車(右) |
市消防本部自前の救急車がエンストしたのは、8月15日午前7時すぎ。急患の搬送は、財政難のため、市の基幹病院だった市立総合病院(171床)から診 療所(19床)に衣替えした夕張医療センターからの要請で、苫小牧市立病院に向かっていた。それが、道央自動車道の千歳インター付近で完全にエンジン停止 してしまったという。
焦った救急隊員は近くの千歳市消防救急隊に応援要請。15分ほど現場で待っただけで代替搬送してもらったため事なきを得た。
この救急車は、96年購入で走行距離12万4000キロ余。点検した結果、エンジンの交換が必要だったが、財政事情から修理代を含め47万円の中古のエンジンにせざるを得なかったという。
00年に購入した他の1台も、走行距離はすでに13万5000キロ。札幌市消防局の基準(購入から6年または走行距離12万キロ)なら、どちらも更新期をとうに過ぎている。
「これでは夕張市民は安心して暮らせない。せめて1台は新しく」
藤倉市長は道庁への陳情を前にこう話した。
救急車の新車は約1900万円。仮に陳情が実っても、中に積む救命措置機材や消防用無線などの内装費用約1300万円は市の負担になりそうだが、財源のめどは立っていないという。
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