観測にまつわる問題

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労働分配率に関して

2021-02-04 07:26:26 | 経済財政

Clayton Christensen World Economic Forum 2013.jpg
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クレイトン・クリステンセン(ウィキペディア 20121/02/04 8:00 参照)

健保組合、従業員に二重苦 半数は負担割合上昇(日経新聞 2021年2月4日)

少子高齢化の負の影響を軽く見るべきではありませんが、労働分配率は(世界的な傾向もあって)下がっているので(世界企業 日本の立ち位置(3)労働分配率、日米欧で低調 日経新聞 2017年9月5日)、この見出しはミスリードを誘うのではないかと思います(人件費が上がっており、企業に余裕が無いような印象です)。日本だけでなく世界で必要なのは労働分配率を上げる政策かと。まぁコロナの影響も小さくはないでしょうが、政府が経済対策している面もあります。

労働分配率は大企業ほど低いようです(労働分配率の推移(資本金規模別) 内閣府)。大企業は効率的だと思いますが、その分を必ずしも労働者に分配している訳ではないのでしょう。中小企業を淘汰して大企業に転換するとは、菅首相の経済ブレーンと言われるデービッド・アトキンソン氏の戦略ですが(筆者は著書を複数買っており、嫌いではありません)、生産性が上がって、賃金が上がっても(一般に中小企業より大企業の方が待遇はいいでしょう)、格差が広がり、労働分配率の問題は別にどうにかする必要はあるかもしれません。

イノベーションは一般にプラスに見られるでしょうが、労働分配率を下げる効果もあるようです(第3節 イノベーションの進展による労働分配率と生産性への影響 内閣府)。だからと言って、イノベーションを否定する訳にはいきませんが、それはそれとして労働分配率の問題は別に考える必要はありそうです。イノベーションのジレンマ(グロービス経営大学院 >革新的な技術やビジネスモデルで従来の企業を打ち破った企業が、大企業になると革新性を失ってしまう状態や、さらに最先端の技術開発をしても成功に結びつかない状態などを、総じてイノベーションのジレンマと呼ぶ)とは有名な言葉ですが、プラスの意味で捉えられるイノベーションが労働分配率の低下に繋がる動きもイノベーションのジレンマと言えなくもありません。写真のクレイトン・クリステンセンは「イノベーションのジレンマ」の著者として著名です。念のため。

DX(デジタルトランスフォーメーション)に対応する教育訓練は必要と思いますが、それだけでは労働分配率の問題を「解決」しないかもしれません。

生産性を上げると賃金は上がるのでしょうが、それ以上に労働分配率を下げるようです。余裕を持つんでしょうね。難しいところです。