怖れさせる言葉(その2)
「ふつう学級では、自己肯定感がなくなりますよ」
その言葉は、どういう意図で使われるか。
すぐに思いつくのは3つくらいだ。
① ただ事実を述べている。
② 障害のある子どものために、善意で言っている。
③ 親がふつう学級という間違った選択をしそうだから、考えを改めさせてあげるため。
⇒子どもの自己肯定感がなくなることを望む親はいない。
だから、そう言えば、ふつう学級をあきらめるだろう。(怖れさせるため)
①と②は理由になっていない。
「ふつう学級で自己肯定感を失くした障害児がいた」ことが本当だとしても、その子が「自己肯定感を失くした」理由が「ふつう学級」というのは何の説明にもなっていない。
その「ふつう学級」で何があったか、が問題なのだ。
担任がその子を拒否していることもある。
そういうクラスではいじめも起きやすい。
親が勉強や宿題をがんばらせすぎてしまうこともある。
そうした状況を抜きに「ふつう学級」では自己肯定感がなくなりますよとは言えない。
結局のところ、①②③はどれも、子どもの苦しみを強調することで、親を「怖れさせて」、ふつう学級をあきらめさせるという手口になっている。
そのことは、「特別支援教育」を受ける子どもにとっても不幸なことだ。
□
「ふつう学級では、自己肯定感がなくなりますよ」
そんなことはない。むしろ「特別支援」の方が、「みんなと分けられて」しまうことで、自己肯定感が持てなくなる。
そう言い返してしまえば、どちらが、子どもの自己肯定感をなくさせるかの闘いになる。
もしも子どもが自己肯定感を失くしてしまうことがあるとしたら、それはどうしてなのか。
どうしたら、子どもが自己肯定感をなくすことを防げるのか。
どこであれ、子どもが自己肯定感をなくすことのないようにするにはどうすればいいのか。
私たちが、子どもと話したい言葉はこっちだ。
「ふつう学級では、自己肯定感がなくなりますよ」
「どうしてですか? どういう状況で、障害のある子が自己肯定感を失くしてしまったのですか?」
ふつう学級にも、特別支援学級にも、たくさんの子どもが生活しています。
学校の中のどこであっても、子どもが「自己肯定感」をなくさないようにするためには、私たちはどうすればいいのか。
どこにいても、親も子も「怖れなくていい」学校や社会を、私たちは望んでいる。
そのためには「闘う」のではなく、「怖れないで」いられる人のつながりが必要なのだ。
そのための就学相談会とは、何をどう話し合うことだろう。
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