施設・里親家庭で暮らす子供らの支援、「18歳上限」撤廃へ…自立可能か個別判断
2022/01/31 読売新聞
厚生労働省は虐待や貧困などで保護され、児童養護施設や里親の家庭で暮らす子どもや若者が支援を受けられる年齢の制限を撤廃する方針を固めた。現在は原則18歳、最長でも22歳で自立を求められるが、年齢ではなく自立可能かどうかで判断し、大人向けの支援に引き継ぐまで継続的にサポートを受けられるようにする。開会中の通常国会に児童福祉法改正案を提出する。
厚労省
厚労省によると、児童養護施設などで暮らす子どもや若者は、2021年3月時点で全国に約4万2000人いるが、現行の児童福祉法では、施設などで暮らせるのは原則18歳までとなっている。継続的な支援が必要と判断された場合は最長で、22歳を迎える年度末まで延長可能だが、大半は高校卒業とともに自立を求められる。
一方、施設などを離れたケアリーバーには頼れる大人がおらず、虐待を経験したことによる心身の不調などから、退学や離職に追い込まれたり、孤立や困窮状況に陥ったりするケースが少なくない。厚労省が21年に公表した実態調査では、5人に1人が施設を出た後、収入より支出の多い「赤字」の生活に陥っていた。また、自立を促すため、交流を控える施設もある。
厚労省はこうした状況を踏まえ、年齢で一律に支援期間を区切るのではなく、対象となる子どもや若者が自立可能かどうかに着目する必要があると判断した。
具体的には、児童福祉法を改正して支援対象の年齢制限をなくす。継続的な支援が必要と判断した場合は、大人向けの就労支援や困窮者向けの給付金、医療機関につなぐまでの間、施設や里親の家庭、自立支援のための専門施設などで暮らせるようにする。支援の必要性は、都道府県や児童養護施設などが連携して判断する。
厚労省はこのほか、施設などで暮らす子どもや若者の進学や就職、自立後の生活の相談に乗る専門職の都道府県への配置を増やすほか、ケアリーバーに生活費を貸し付ける事業を拡充するなど、サポート体制を強化する。
◆ケアリーバー =虐待や貧困、親との死別で児童相談所に保護され、児童養護施設や里親の家庭などで育った社会的養護の経験者。
保護(ケア)を離れた人(リーバー)を意味する。厚労省は昨年、初の全国実態調査の結果を公表するなど、対策を強化している。
■ ■ ■
ケアリーバーやヤングケアラーという新しい言葉を作って、子どもを分けて「助ける」んじゃなくて、「定員内不合格」をなくし、15歳で働いて自分をケアしなければいけない状況をなくし、すべての子が18歳までは安全を確保できる制度を。
へぇ~の記事。噂は聞いていたけど、これなんだね。
でも、でも、でもさ。
この記事を読んだ人は、これで「養護施設」から15や18で「追い出されなくてすむ」って思うんだろうけど。
私は「より孤独に」なる、「少数の子」が、「より苦しむ」ことになるように思える。こうした助け方により、「制度」があるのに、「守れない自分」を感じる子が必ず出てくるからだ。
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なぜか?
私のホームには今まで10年余り、15歳、16歳、17歳の子が養護施設から来ている。地域差はあるらしいが、千葉では高校に進学しない時や高校中退すると、そこに居続けることはできなくなるのが現実だ。養護施設も児相も、それを食い止めることはないように見える。つい先日も、中退した子が養護施設からうちに来た。
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15歳~17歳の子が、次々といられなくなるところ、そして仕方なくであれ、児相が次の場所を探さざるを得ない状況で、22歳までOKとか、それ以上もOKとしても、何が変わるのだろうと思う。
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これを言えるなら、同時に制度から零れ落ちる子を一人もなくすために、「高校」(後期中等教育)を義務化(準義務化)すべきじゃないか。そうすることで養護施設も高校も、15歳から18歳まで、一人も切り捨てず、一人もこぼれ落とさないような最低限のセーフティーネットを確保することができるのだ。
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なぜ、この基本をしないのだろう?
ヤングケアラーの支援にしてもそうだが、高校に通いながら過酷で孤独なケアする子を助けるのは大切だと思う。だが、もっとも孤独で過酷なヤングケアラーは、15歳で就職する0.1%の子ではないかと思うのだ。同世代の中で、0.1%の子だけに、「義務教育は終わったから、自分で自分の面倒をみろ」という社会で、高校・大学に通う「ヤングケアラー」を助けます、というのは、どこか噓っぽい。
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この年齢延長のニュースも同じだと思う。
助けられる子が「増える」のは、うれしいことだ。
でも、「こぼれ落ちる」子が出ないためには、社会的養護の子とかヤングケアラーとか、分けて助ける制度を増やすと同時に、「15~18歳」の教育と生活を一人残らず守る制度が不可欠だと思う。
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ちなみに、うちにも20歳と21歳の子がいるが、二人とも中学卒業時に養護施設から来た子だ。(^^)v
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