ワニなつノート

《新しい能力  メモ③》


《新しい能力  メモ③》


《自分の意思を通そうとする能力》



「自分の意思を通そうとする」能力。

それは「能力」か?


野茂をはじめ、イチロー、ダルビッシュ、大谷と、野球好きな人なら、「自分の意思を通そうとする」能力が「野球の能力」と同じくらい大切だったことを知っている。

「野球の能力」だけでは、「自分の夢」「なりたい自分」に届く道も生き方も開かれなかった。

相撲の豪風や舞の海もそうだった。

周りから「無理」と反対され、「自分の意思を通そうとする能力」がなければ、「その場所」に立てなかったスポーツ選手は無数にいる。

岡崎も本田も、今も現役を続けているカズの姿も。サッカーの能力が優れていることと同時に、「自分の意思を通そうとする能力」がどれほど優れているか。

そして、それらの能力は、その選手、その子ども時代を支えてくれた人によって育てられたものだ。


               ◇


「自分の意思を通そうとする能力」。

それは「能力」か?

そう、自分の人生を、自分で歩くためにもっとも大切な能力だ。

なのに、私は今日まで、この言葉を使ったことがない。

それはなぜか?

今まで、それを何と呼んできたか。

いや、私はなんと呼ばれてきたか。

わがまま。

生意気。

自分勝手。

協調性がない。

空気が読めない。

社会性がない。

問題行動。

その他いろいろ。


(そうした「特徴」を拾い集めて、「発達障害」とくくられてしまう子どもがいるような気がする。そして、その子たちの「教育」は、「特別支援」個別指導」がいいと言われる。本当かな。)


           ◇


今回の「新しい能力」言葉は、ミラーおばさんの本から。


【…母がのちに誇らしげに話してくれたことによれば、私は生後六カ月でオムツをはずすことができたし、とてもいい子で何も問題はなかった、自分の意思を通そうとする時は別だったけれど。

それに、そういう時でも厳しい目で一睨みすれば、すぐに正気に戻ったというのです。

…私は母のこの視線を恐れて、多くのことを口にできませんでしたし、そもそも考えることすらできなかったのです。

もっとも、その種のことを言ったり考えたりする能力を、自分が結局のところ手に入れた、ということもいまの私にはわかっています。】

(「闇からの目覚め」アリス・ミラー 新曜社)
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