ワニなつノート

 詩集「こどもという手続き」(2)



 詩集「こどもという手続き」


《てつづきのはじまり》




ある日 心臓の音がきこえる かんじる
それが てつづきのはじまり

生まれるまえの記憶
母の心臓の音 血の流れる音
その遠くから 語りかけてくるこえがある


一つひとつの音はまだ聞き取れない
ただ声の抑揚と間の気配は いつも同じひとのもの
それが「あんしん」のもとと いずれ知る


その生き物の生まれる前の手続きは 選ばないことだった
なぜなら その生き物はさびしいと死んでしまうから


生まれる前から こどもの手続きは はじまっている
その生き物は ひとりだったことがない
はじめから この子がさびしくないように まもられている


やがて生まれ、出会い、触れ、交わり、泣き、聞き、笑う……

こどものてつづきがはじまる
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