《この子が障害のある身で安心して生きていくために》
子どもが「自分のできなさや不安」と向き合うためには、「怖れなくていいよ。大丈夫だよ」といってくれる人が必要です。
親やきょうだいはもちろん、保育園や学校で出会う仲間みんながそう言ってくれるとうれしい。
それは「個別」の大人一人でない方がいい。
ふつう学級は、親やきょうだいの「ふつう」という認識を変える働きもあります。
10年位前のこと。あーちゃんの隣にはお母さんが付き添っていました。
冬休み、「どうしたら離れられますか」とメールが届き、私の知っている「離れ方」を伝えました。
親の付き添いがなくなって、あーちゃんが最初にしたことは、お姉ちゃんの教室をのぞきに行くことでした。一人で。
もうひとつの変化。
それまで母親に「おともだちがね…」と話していたことばが、「○○ちゃんがね…」と、一人ひとりの名前に変わりました。
その変化のなかで、彼女が感じた安心は、親一人で付き添い守ってくれた安心感とは別のものだと分かります。
その安心を、親は贈ることができません。
親にできるのは、その安心を贈り合う子どもの関係を守ることです。
子どもが、自分で、自分の存在の力で、「お友だち」でなく、「○○ちゃんという一人の名前をもった友だち」と出会い、安心を感じること。
この子が安全に感じることは、「障害や生きづらさ」と向き合うための必要条件です
この子が自分で見つける友だちと安心の主体感覚は、かけがえがないものです。
だからこそ、ふつう学級という出会いの機会を、子どもから奪ってはいけないと思うのです。
ふつう学級とはどういう場所か。
ふつう学級とは、「授業という生活」と同時に、子どもの体がそこにいて、自分の「主体感覚」を確かめ、同年代の仲間と触れあい、もめあい、人生において自分の居場所が安全だと感じる経験なのです。
わたしたちは、生まれる来る子どもたちみんなに、ひとりの例外なく、「怖れなくていいよ。大丈夫だよ」といえる学校をつくりたいと思います。
※ 当時のブログは以下に。
http://sun.ap.teacup.com/waninatu/785.html
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yo
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ありゃま
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