奈良のニュース 続報
【入学許可決定に町側が即時抗告
奈良の車いす少女】
設備が整っていないことを理由に、
希望する奈良県下市町立下市中学校への
入学を認めないのは不当として、
車いすで生活する同県立養護学校中等部在籍の
谷口明花さん(12)と両親=下市町=が同中学校への
入学許可を求めていた訴訟で、
町側が、町教委に仮の入学許可を義務づけた
奈良地裁の決定を不服として即時抗告していたことが
2日、分かった。即時抗告は1日付。
7月2日12時16分配信 産経新聞
今日、残念なニュースが流れました。
町側が、町教委に仮の入学許可を義務づけた
奈良地裁の決定を不服として即時抗告しました。
頑なに拒否してきた町側の人間性を考えれば、
不思議なことではありませんが、
それでもやはり、悔しい思いだけが残ります。
一握りの差別的な、根性の悪い人間が、
そのポジションについていると、
こんな悪行を堂々と行える、「別学制度」そのものが
間違っているのだと思います。
以下の記事は、6月29日付け毎日新聞です。
支局長からの手紙:
三度「笑顔が消えないうちに」 /奈良
◇ 三度(みたび)「笑顔が消えないうちに」
この手紙で、これまで2度紹介した12歳の
女の子の名前は、谷口明花(めいか)さんといいます。
やっと名前が出せたのは、
裁判所が素晴らしい判断をしてくれたからです。
体が不自由で車椅子生活の明花さんは、
地元の下市町立下市中学校への進学を希望しましたが、
町教委が拒否しました。
このため裁判になっているのですが、
裁判所は「ひとまず」中学に入学させなさい、
と町に命じたのです。
「ひとまず」という表現が正しいかどうか分かりませんが、
法律用語では「仮の義務づけ」といいます。
「仮」というのは、入学を求めた正式な裁判が
続いているので、その判決が出るまでということです。
残念ながら、明花さんが中学卒業まで
通学できるとは決まってはいません。
裁判所の決定文を読んでみました。
その内容は町側にとても厳しいものです。
町が入学を拒否する最大の理由は、
中学校のバリアフリー化がされておらず、
整備する予算もないので明花さんの安全を
確保できないということです。
これに対し裁判所は
「整備には国庫補助があり、現段階でも、
可能な範囲でスロープを設置するなど
段差解消のための工夫を試みる余地はある」
と指摘しています。
つまり、町は何の努力も工夫もしていないと
言われているのに等しいのです。
裁判所はこうも言っています。
「(障害者の就学の判断は)
生徒自身が何ができないかとの観点のみから
判断するのではなく、
どのような能力が残され、何ができるのかとの観点から
将来の可能性を信じて判断するのが
教育の理念に沿うものなのに、
町の判断は著しく妥当性を欠き、
理念を没却するといわなければならない」
裁判所が言っていることは、
私がこれまで手紙で書いてきたことと同じことだと思います。
脳性まひで生まれてきた少女が
両親とともに必死でリハビリと勉強を続け、
小学校の6年間で周囲の友達に追いつけるようになった。
さらに中学でも普通学級で学ぶことで、
更に障害を克服して学力を向上させたい。
そんな願いをかなえてあげるのが、
大人の責任だということです。
下市町の堀光博教育長は、
この問題が裁判になる前に会った際、
「第三者である裁判所の判断を仰ぐのは仕方ない」
と言っていました。
その裁判所の判断は出ました。
「まだ、本裁判がある」として争いを続けることは、
決してあってはならないと思います。
裁判所の決定が出た26日、明花さんはさっそく、
町内の呉服店で中学校の制服の寸法を測りました。
店の人は、障害を持つ明花さんが着やすいように
改良しようと言ってくれたそうです。
翌日、明花さんに電話してみました。
「よかったね」と言うと、
「はい」と本当にうれしそうな声が返ってきました。
その笑顔を想像するだけで、私もうれしくなってきました。
またまた、書かなければなりません。
町は早急に、明花さんの入学を正式に認めてあげてください。
明花さんにとって何が最善か、
当事者として真剣に考えてほしいのです。
【奈良支局長・山内雅史
(yamauchi‐m@mbx.mainichi.co.jp)】
6月29日13時1分配信 毎日新聞
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