≪抜き出されること≫
「みんなのいる教室から、一人だけ抜き出されて、違う扱いをされること」
「みんなのいる教室」というのは、
子どもにとって安全な居場所という意味があります。
だから、そこから一人抜き出されるのは、不安を伴います。
みんなから、置き去りにされる不安。
「置き去りにされる?」
「どこへ?」
「……」
それが分からない不安。
ただ、勉強についていけない、という単純なことではありません。
みんなといっしょに楽しく過ごしたい、という期待が裏切られる不安。
自分が、みんなとは「違う」子どもであるという確認。
「ちがう? どんなふうに?」
それが分からない不安。
その不安を、うまく言葉にすることもできない不安。
だまっていると、そうした不安は自分のせいになる。
いつしか、自分自身に恥ずかしさ、罪悪感を感じるようになる。
そうした子どもの痛みは、誰が受けとめてあげるのだろう。
もし運がよければ、子どもの味方をして、
子どものために弁護してくれる人が出てくる可能性があるかもしれません。
子どもにとって、分けられることが、どれほどの痛みをもたらすか、
分かっている人もいるのですから。
もし、そういう人に出会うことができれば、
子どもは、自分に行われていることは
理不尽なことだと分かるかもしれません。
その結果、この悲しい一連のことを自らの歴史の一コマとして認め、
組み込めるかもしれません。
もしそうなれば、その子はその後一生、
そのできごとのために自分を責めたりせずにすみます。
不安、疎外、みんなと一緒にいたいという期待が裏切られたこと。
無力感、恥辱、罪責感、それらすべての痛みを、
子ども一人で背負うことはとてもできません。
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