第2章
ひとくくりにしないで!
一人ひとりがかえがえのない存在です
子どもたちは、一人ひとり、みんな違います。
誕生日が同じでも、双子でも、同じ子どもはいません。
歩き始めた日が同じでも、言葉を話し始めた日が同じでも、みんな違います。
名前が同じでも、血液型が同じでも、一人ひとり違います。
話せる言葉の数が同じでも、子どもはみんな違います。
子どもたち一人ひとりに、感情の感じ方や表し方があり、人間関係の量と質があり、たった数年であったとしても「その子だけの歴史」があり、かけがえのない「居場所」を、自分のなかに守っているのです。
小さな子どもは、はじめはお母さんといつも「一緒」「いっしょ」を求めます。でも成長とともに、「じぶんで」「じぶんで」と、ひとりでたべること、ひとりで着替えることを求めます。
安心できる人とともにいることと、「じぶん」の主人公であることを、誰もが持っていたいと願います。
それは、たとえ食べること、着替えること、歩くことができなくても、同じです。
子どもが生きることは、「じぶんで」が育つということだからです。
その子の「じぶんで」をなしにして、何かが「できる」ようにさせようとする係わりには、大事なことがぬけ落ちていきます。
どんな障害や不自由があっても、一人ひとりは、子どもとして尊重されるべきものです。
私たちは、生まれたばかりの赤ちゃんが、まだしゃべれないと分かっていながら、「ことば」で話しかけます。かけがえのない「つながり」の実感を確かめようと、何度も何度も、名前をよび、話しかけます。
そのときには、「ことば」がひとつの道具にすぎないことを、私たちは知っています。
この子とのつながりの実感。
そのために、ことばを使ってはいるけれど、言葉の意味とは別のところで、この子と確かめ合っていることを、私たちは知っています。
だから、ひとりの子どもの表現を大事に援助しようとするときに、「どんな障害があっても、子どもはクラスの一員として尊重されるべきもの」であるという認識の重要性は倍増します。
子どもの気持ちや表現を大事にしている家族は、この重要性をわかっています。
また、よいケアでは、一人ひとりの子どもの自発性を考慮して、何を手伝うか、何をしないかを計画します。
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