《身体のなかを流れるつながりの声》
□
木の幹に聴診器を当てると、地中から吸い上げられ、流れる水の音が聞こえるという。
幹のなかを水が流れる音は、雪解けの季節にもっともよく聞こえる。
□
子どもたちのあいだを、水のように流れるつながりの声も、6歳の雪解けの春にもっともよく聞こえる。
聴診器がなくても、子どもたちのつながりの根と幹と枝と葉に流れる、よろこびの声が聞こえる。
□
私たちは、子ども時代に聞いた声を忘れない。名前も顔も思い出さえ忘れても、忘れない声や歌がある。
見えないなら、聞こえないなら、それなら隣の席の子が手をつないで授業を受ければいい。
そう考えた6歳の子どもたちのつながりの根は、いつまでも尽きない水を吸い上げ続けているだろう。
そのつながりの水の音をききたい。