最近、古い版権切れ映画が安価なDVDとして販売されておりますが、昔テレビで見た懐かしい「ローマの休日」を鑑賞して想ったこと等を記してみます。
この「ローマの休日」ですが制作年が1954年(昭和29年)ですから、私の生まれる前で、戦後10年も経ていない頃の映画です。画像もモノクロですが、オードリー・ヘップバーンもグレゴリー・ペックも、そしてローマの風景も、色鮮やかに輝いて見えるから不思議です。
画面に登場するクルマ達も、当時の イタリアでも未だモーターリゼーション全盛という訳ではなかったのでしょうが、当時の日本と比べれば明らかに進歩していたものだと想います。フィアット社の「トポリーノ」(ハツカネズミの意だそう)というクルマや、ビアジオ社の「ベスパ」というスクーターが走り廻り楽しませてくれます。
どちらのメーカーも現在も健在ですし、その設計思想だとかデザインモチーフの数々は、我が国にも多大の影響を与えて来たのだと想います。
しかし、現在のイタリアのクルマメーカーに関しては、フェラーリ、マセラティ、アルファロメオ、ランチア、アバルト等を総てがフィアット社の傘下となってしまってことは、ちょっと残念にも感じられます。そして、今起きている世界的な危機により、我が国にでも似た様な状況が起こらないとも限りません。これは、決してクルマに限らず、大資本を要する金融、保険業等も含んだものだと想像されます。
最後に、フィアット車ですが、我が国での人気はドイツ車等と比べると著しく低いものだと感じられてしまいます。それでも、最近買い物に行った先の駐車場で見た、現行型のフィアット500ですが、変わり映えのしない日本車の中で目立つものを感じたものです。ちょっと側面窓越しに室内のインパネ廻りを眺めて見ましたが、日本車とは大きく異なるデザインモチーフを明確に感じたものです。
イタリアというと、料理は我が国でも一般化しましたし、洋服やバック等のブランドデザインは、私はともかく、一般には人気を持っております。何れにしても、イタリアの産するインダストリアル・デザインというのは、我が国には不足しているものも多く、総てを真似する必要はありませんが、見習うべき点も多いものと感じられます。