私の思いと技術的覚え書き

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海自護衛艦「しらね」の火災事故から思うこと

2008-01-05 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 本日のニュースで昨年12月14日に海上自衛隊横須賀基地で停泊中の護衛艦「しらね」の戦闘指揮所(CIC:Combat Information Center)から出火した火災事故について報道がなされていました。その修理見積は200億円もしくは300億円程度で修理期間も2年程度も要するとの報道です。この護衛艦「しらね」は、1980年就航ということで、修理しても後5年程度が耐用年数であり「除籍」とする方向で検討中とのことです。
 ところで、このCICと云うのは、艦の戦闘指揮の中枢を担う場所であり、レーダーやソナーや通信情報をコンピューター機器で集約しつつ統合管理して、各種武装の制御等を行っている場所です。従って、このCICが全焼したとなると、その修復費用は膨大なものとなるのも頷けることなのだと感じます。今回の火災原因は特定されていないとのことですが、艦は停泊中でCICも施錠がなされていたとのことであり、電気系統の不具合である可能性が高いと云います。このCICは、高度な機密情報区域であり、一般の乗員でも立ち入りが制限されていると云います。私が2003年10月に海自の観艦式でイージス護衛艦「きりしま」の乗艦した際も、CICは非公開でした。なお、今回の火災がイージス護衛艦のCICであれば、さらに修理費用は膨らんだものと思います。
 ところで、この様な火災事故というのは、クルマにおいても希にですが生じることがあります。走行中の場合やエンジン停止状態での駐車中にも生じる場合があります。私の業務でも時々ですが、車両火災事故に携わる機会がありますが、その原因特定は中々に困難な場合があります。車両火災の原因としては、燃料系、排気管系、電機系、その他がありますが、特に原因探求が困難なのが電機系のものであると感じます。例えば電機系でワイヤリングハーネスの噛み込み等が生じており、その初期症状として極短時間の断続的なショート状態が継続しますと(パチパチと火花が飛ぶ状態)、ヒューズは飛ばずに、ハーネス被覆の燃焼から火災に至る場合があるのです。従って、事故修復過程でいい加減なワイヤリングハーネスの引き回しをしたり、そのクランプ箇所を省いたり、後付パーツで安易な配線の引き回しをしたりしますと思わぬ車両火災に発展しかねないのです。特に最近の車両では、電装系パーツの使用量は増加しており、ワイヤリングハーネスの使用量も増加していますから、余計にこの様な事故は増加する要因になっているとも感じられるのです。

※掲載写真は2003年10月に海自観艦式(予行)に参加した際に、「きりしま」艦上から写した「しらね」の姿です。この観艦式のことは、本ブログの「過去の紀行文」内の、2003/10/26「観艦式見物行のこと」で記していますので、興味がある方は見て下さればと思います。 
 


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