1013 ふじあざみラインで大型観光バス横転 追記その5「どうしたら乗客を死なせず済んだか」
既にこの事故のことを鱚のは5回目となるが、どうしたら乗客を死なせず済んだかという視点で記して見たい。
当ブログ筆者は交通事故に関連する業務に携わって40年になるが、交通事故とは不条理なものを内在していて、事故は大小さまざまあるが、例えどんな大きな多数台の車両や家や構築物などを損壊させても、運転者以外の人に負傷がなければ、単なる物損事故であり、一切の行政処分も刑法上の訴追もない。自分以外の人の負傷の大小があり、初めて訴追があるのだ。今回のバス事故でも、運転者だけが乗る回送状態でまったく同じ事故でバスが転覆しても、事情聴取され飲酒や薬物の有無を疑われることはあっても、逮捕など絶体あり得ない。ただし、営業車だからして、運行不能の事故は、各地運輸支局に報告の義務があり、後刻に臨時立ち入り監査を受けることになるかもしれないが、それはしっかりした運行管理業務を記録しつつ行っていれば、恐れることもない。
さて、今次の「ふじあざみライン]の事故のことを知り、バス運輸会社としてどういう思いを持っているか知りたくて、久しぶりに知り合いの小規模バス会社に伺いそこの奥さん(経理担当)と会話したのだった。
そのバス運輸会社は整備業と兼業しているのだが、コロナ勃発以後は受注は冷え込んでいたのだが、ここ半年近くから、学校の生徒をスポーツ大会の遠征などで、僅かだが受注は出ている様だが、まだまだ本来の回復には程遠いというのが実態の様だ。ただし整備部門は、中大型が中心だが業務は比較的順調の様だ。そんな中、その奥様の言葉は「(バス運営が)怖くなった」とうのが第一声だった。
私もバス運行については、その道40年のドライバーを経て運行管理経験者の二人にさまざまな事柄を聞き及んだり、さまざまな運行規則を勉強しながらバス管理業務を数年経験して来たのだが、そもそも新規ドライバーの採用と専任には、ナスバ(NASVA:自動車事故対策機構)の新ドライバー研修を受講させるだけでなく、さまざまな教習期間としてバスに同乗し、運転対応を観察しつつ各種指摘を行い、確実で安全な業務をまっとうできるかの確認後、初めて専任ドライバーとして登録してきた。
正直云えば、私自身大型免許を所持はするが、バストラ含めマイクロバス程度はまあまあ運転できるが、中大型の特に12m長のバスは、到底運転したくないししても満足な運転はできかねる。しかし、管理する立場となるとそれは話しが別で、ブレーキの掛け方から、前方の凹凸を避け如何に乗員を不快にさせないか、夜間のヘッドライトのハイローの繰り替えで積極的にハイビームを使用するなど、おそらく私の注意を聞くものにとり、頭に来る発言を相当にして来たと思う。このバス会社だが、あるホテルに従属するホテル資本のバス会社で、ホテルの宿泊客を新宿や最寄り近郊駅まで送迎仕事も多かったのだが、送迎において乗客降車後にホテルフロントから、バス車内に忘れものの問い合わせがあり、私がバス車内を点検して見つけることが続いたことがあった。それは特定ドライバーで、つまり乗客降車後の車内点検を行っていないということなのだ。この際には、私よりよほど高齢のドライバーであったが、かなり強く注意したことさえある。
今年、静岡県の幼稚園バスで幼稚園児がバス車内に取り残され、熱中症で死亡する事件があったが、この最終乗客降車後の室内点検を行っておれば防げる事故だ。
さて、今回述べたい本論から脱線したが、今回事故について「どうしたら乗客を死なせず済んだか」という視点で、これはあくまで結果論で差し迫ったままならないとっさの場合にそこまで求めるのは酷ということを理解しつつ、あくまで論という意味も込めて記してみたい。
まず、これを見てくれている方でPCでGogoleMAPを見れる方は以下の位置座標値を検索欄にコピー&ペーストして欲しい。
35.366596,138.808505
そして、この地点のGoogleMAP地図および航空写真と事故場所付近で進行方向および逆方向のそれぞれを見たものを添付写真として付けておく。
この位置座標値は事故現場の東経および西経の座標値だが、ここがほぼ今回の事故現場となる。その付近のGoogleMAP地図より事故地点座標と該当カーブの円弧を大雑把に旋回半径を作図して地図右下の100m基準線と比べると旋回半径は50Rと判る。また、この事故の前のカーブは深い旋回角度を持つが曲率としては4倍ほど緩い200Rだと判る。当然これらカーブは曲がるだけでなく下り勾配の傾斜路である。
報道情報しかないが、この手前の200Rカーブの時点で既にフェードは生じておりセンターラインオーバーのタイヤ痕跡もあるとのことだが、ブレーキ制動は諦めてステアリング操作だけで200Rコーナーは内側の立木がある程度密生しているが巨木はないので、車体左側を擦りつけつつ走行したら、ある程度減速できた可能性を想像する。
また、これは対向車があるので困難だと思うが、おもいっきりセンターオーバーして旋回しつつ、車体の右側面を立木のぶつけつつ旋回するのも同様の効果を生みそうだ。しかし、まともなセンターオーバーを続けるのは、あまりに危険だろうから、先の左側を擦りつけずつ左旋回が有利だろう。ただ現実には既に制動困難で速度オーバーしたパニック状態だったろうからそんな操作の余裕はなかったろうことは承知の上の仮定の話しだ。
そして今回事故となる右カーブだ。ここはセンターライン上は50Rだが、アウトインアウトで旋回すれば100R近くまで旋回半径は持っていけるだろう。先の200Rである程度減速に成功していて、ハンドル操作に余裕があるのなら、ここで右旋回し、故意に右側に路外逸脱させれば、右側はスコリヤ大地の下りなので、バスのタイヤは潜り込み車体底面を擦りつけ相当な減速度で10m~20mで止まりさほど大きなショックを受けずに済むだろう。
それと、今回事故で、左側をスコリヤ盛り上がりに衝突させ、車体の左側が持ち上げられて右方向に転倒したのだが、衝突直前ステアリングを左に切り、できるだけカーブ外側へ垂直に近い方向へぶつけてやるのも有効の様に思える。
というのは、今回事故では50Rカーブを限界に近い速度で入って、車体はロール限界に近くまで車体左側が沈み込んだ状態でスコリヤ盛り上がりに乗り上げたので、その衝突抵抗も大きく、左側を強く持ち上げられて右方向へ転倒し、死亡者まで出たのだろう。ここで、事故直前に車体のロールを戻し、車両前方を左右均等に高くしてスコリア盛り上がりにぶつけてやれば、やはりその衝突ショックは大きいものの、車両損傷は前部下部だけでスコリヤ盛り土というある意味ザクザクとした抵抗により急制動より当然大きな減速度とはなるが、横転して大きな衝撃を受けるより重症者は少なかった様に思える。
ちなみにスコリヤというのは、その径が1センチ未満のデコボコザラザラとした小石の集まりで、火山性の噴火により生成されたものだ。このスコリヤの上を歩くと、雪ほどではないが、足が潜り込む込むようなザクザクした性質を持ち、東富士演習場の周辺など、このスコリヤの上を知らぬままに車を乗り入れると、2WD車ではタイヤがめり込んで車体底面が触れてしまい脱出できなくなることがある。
こんなことを想像したのも、今回の死亡者は運転者直後かどうか定かではないが、当該バスの右側の前の方に座っていたという報道があった。ここから想像できるには、乗員はシートベルトをしておらず、バスがスコリヤ盛り土にぶつかった前方減速度で前に投げ出されてたことが原因と云うより、右に転覆したことで、右側面窓ガラスを破り路面に叩き付けられたことが死因となったのではないかと想像しているのだ。
以上記したことを自分が運転手だったらやれたかと問われたら、難しいと答えざるを得ないだろう。ただし、最後の右転蛇から左転蛇への操作はやっていたろうと思う。
既にこの事故のことを鱚のは5回目となるが、どうしたら乗客を死なせず済んだかという視点で記して見たい。
当ブログ筆者は交通事故に関連する業務に携わって40年になるが、交通事故とは不条理なものを内在していて、事故は大小さまざまあるが、例えどんな大きな多数台の車両や家や構築物などを損壊させても、運転者以外の人に負傷がなければ、単なる物損事故であり、一切の行政処分も刑法上の訴追もない。自分以外の人の負傷の大小があり、初めて訴追があるのだ。今回のバス事故でも、運転者だけが乗る回送状態でまったく同じ事故でバスが転覆しても、事情聴取され飲酒や薬物の有無を疑われることはあっても、逮捕など絶体あり得ない。ただし、営業車だからして、運行不能の事故は、各地運輸支局に報告の義務があり、後刻に臨時立ち入り監査を受けることになるかもしれないが、それはしっかりした運行管理業務を記録しつつ行っていれば、恐れることもない。
さて、今次の「ふじあざみライン]の事故のことを知り、バス運輸会社としてどういう思いを持っているか知りたくて、久しぶりに知り合いの小規模バス会社に伺いそこの奥さん(経理担当)と会話したのだった。
そのバス運輸会社は整備業と兼業しているのだが、コロナ勃発以後は受注は冷え込んでいたのだが、ここ半年近くから、学校の生徒をスポーツ大会の遠征などで、僅かだが受注は出ている様だが、まだまだ本来の回復には程遠いというのが実態の様だ。ただし整備部門は、中大型が中心だが業務は比較的順調の様だ。そんな中、その奥様の言葉は「(バス運営が)怖くなった」とうのが第一声だった。
私もバス運行については、その道40年のドライバーを経て運行管理経験者の二人にさまざまな事柄を聞き及んだり、さまざまな運行規則を勉強しながらバス管理業務を数年経験して来たのだが、そもそも新規ドライバーの採用と専任には、ナスバ(NASVA:自動車事故対策機構)の新ドライバー研修を受講させるだけでなく、さまざまな教習期間としてバスに同乗し、運転対応を観察しつつ各種指摘を行い、確実で安全な業務をまっとうできるかの確認後、初めて専任ドライバーとして登録してきた。
正直云えば、私自身大型免許を所持はするが、バストラ含めマイクロバス程度はまあまあ運転できるが、中大型の特に12m長のバスは、到底運転したくないししても満足な運転はできかねる。しかし、管理する立場となるとそれは話しが別で、ブレーキの掛け方から、前方の凹凸を避け如何に乗員を不快にさせないか、夜間のヘッドライトのハイローの繰り替えで積極的にハイビームを使用するなど、おそらく私の注意を聞くものにとり、頭に来る発言を相当にして来たと思う。このバス会社だが、あるホテルに従属するホテル資本のバス会社で、ホテルの宿泊客を新宿や最寄り近郊駅まで送迎仕事も多かったのだが、送迎において乗客降車後にホテルフロントから、バス車内に忘れものの問い合わせがあり、私がバス車内を点検して見つけることが続いたことがあった。それは特定ドライバーで、つまり乗客降車後の車内点検を行っていないということなのだ。この際には、私よりよほど高齢のドライバーであったが、かなり強く注意したことさえある。
今年、静岡県の幼稚園バスで幼稚園児がバス車内に取り残され、熱中症で死亡する事件があったが、この最終乗客降車後の室内点検を行っておれば防げる事故だ。
さて、今回述べたい本論から脱線したが、今回事故について「どうしたら乗客を死なせず済んだか」という視点で、これはあくまで結果論で差し迫ったままならないとっさの場合にそこまで求めるのは酷ということを理解しつつ、あくまで論という意味も込めて記してみたい。
まず、これを見てくれている方でPCでGogoleMAPを見れる方は以下の位置座標値を検索欄にコピー&ペーストして欲しい。
35.366596,138.808505
そして、この地点のGoogleMAP地図および航空写真と事故場所付近で進行方向および逆方向のそれぞれを見たものを添付写真として付けておく。
この位置座標値は事故現場の東経および西経の座標値だが、ここがほぼ今回の事故現場となる。その付近のGoogleMAP地図より事故地点座標と該当カーブの円弧を大雑把に旋回半径を作図して地図右下の100m基準線と比べると旋回半径は50Rと判る。また、この事故の前のカーブは深い旋回角度を持つが曲率としては4倍ほど緩い200Rだと判る。当然これらカーブは曲がるだけでなく下り勾配の傾斜路である。
報道情報しかないが、この手前の200Rカーブの時点で既にフェードは生じておりセンターラインオーバーのタイヤ痕跡もあるとのことだが、ブレーキ制動は諦めてステアリング操作だけで200Rコーナーは内側の立木がある程度密生しているが巨木はないので、車体左側を擦りつけつつ走行したら、ある程度減速できた可能性を想像する。
また、これは対向車があるので困難だと思うが、おもいっきりセンターオーバーして旋回しつつ、車体の右側面を立木のぶつけつつ旋回するのも同様の効果を生みそうだ。しかし、まともなセンターオーバーを続けるのは、あまりに危険だろうから、先の左側を擦りつけずつ左旋回が有利だろう。ただ現実には既に制動困難で速度オーバーしたパニック状態だったろうからそんな操作の余裕はなかったろうことは承知の上の仮定の話しだ。
そして今回事故となる右カーブだ。ここはセンターライン上は50Rだが、アウトインアウトで旋回すれば100R近くまで旋回半径は持っていけるだろう。先の200Rである程度減速に成功していて、ハンドル操作に余裕があるのなら、ここで右旋回し、故意に右側に路外逸脱させれば、右側はスコリヤ大地の下りなので、バスのタイヤは潜り込み車体底面を擦りつけ相当な減速度で10m~20mで止まりさほど大きなショックを受けずに済むだろう。
それと、今回事故で、左側をスコリヤ盛り上がりに衝突させ、車体の左側が持ち上げられて右方向に転倒したのだが、衝突直前ステアリングを左に切り、できるだけカーブ外側へ垂直に近い方向へぶつけてやるのも有効の様に思える。
というのは、今回事故では50Rカーブを限界に近い速度で入って、車体はロール限界に近くまで車体左側が沈み込んだ状態でスコリヤ盛り上がりに乗り上げたので、その衝突抵抗も大きく、左側を強く持ち上げられて右方向へ転倒し、死亡者まで出たのだろう。ここで、事故直前に車体のロールを戻し、車両前方を左右均等に高くしてスコリア盛り上がりにぶつけてやれば、やはりその衝突ショックは大きいものの、車両損傷は前部下部だけでスコリヤ盛り土というある意味ザクザクとした抵抗により急制動より当然大きな減速度とはなるが、横転して大きな衝撃を受けるより重症者は少なかった様に思える。
ちなみにスコリヤというのは、その径が1センチ未満のデコボコザラザラとした小石の集まりで、火山性の噴火により生成されたものだ。このスコリヤの上を歩くと、雪ほどではないが、足が潜り込む込むようなザクザクした性質を持ち、東富士演習場の周辺など、このスコリヤの上を知らぬままに車を乗り入れると、2WD車ではタイヤがめり込んで車体底面が触れてしまい脱出できなくなることがある。
こんなことを想像したのも、今回の死亡者は運転者直後かどうか定かではないが、当該バスの右側の前の方に座っていたという報道があった。ここから想像できるには、乗員はシートベルトをしておらず、バスがスコリヤ盛り土にぶつかった前方減速度で前に投げ出されてたことが原因と云うより、右に転覆したことで、右側面窓ガラスを破り路面に叩き付けられたことが死因となったのではないかと想像しているのだ。
以上記したことを自分が運転手だったらやれたかと問われたら、難しいと答えざるを得ないだろう。ただし、最後の右転蛇から左転蛇への操作はやっていたろうと思う。