私の思いと技術的覚え書き

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フラッターとシェイク

2017-09-10 | 技術系情報
 最近記したゼロ戦のことだが、開発設計者の堀越二郎氏の著述によれば、開発の最終段階のテスト飛行において、2名の殉職者を出したという。原因はフラッターと呼ばれる、機体(各翼、補助翼や胴体)の高速時の空気力学的な振動による破壊だという。つまり空中分解という現象だ。ゼロ戦の場合は主翼および補助翼(エルロン)の剛性に問題があったことで、悔やむべきことであったと記されていた。このゼロ戦開発当時でも、風洞実験装置はあったのであろうが、現在の様に精度高い計測も困難であったろう。現代であれば、スーパーコンピューターで各種パラメーター変化によるシミュレーションを繰り返し、最軽量かつ必要十分な剛性を得られるのだろう。

 それでも現在三菱が開発中のMRJが、遅延を重ねているのも、フラッターが生じている訳ではなかろうが、機体の各部位に設置した応力センサー値が想定を上回るなど、何らかの要因があるのではないかと、素人ながら想像している。飛行機は、幾ら計算を尽くしても、実際に飛ばしてみなければ判らないことは多いのだろう。これはクルマでも同様のことだが、飛行機とクルマでは安全率が全然違う。クルマの場合には、応力限度の5とか10を乗じたものを部位により安全率とするが、飛行機にこれを当てはめると飛べなくなってしまう。飛行機の安全率は部位にもよるのだろうが1.5程度だと聞く。

 さて、シェイクだが、クルマの振動のことを指す。似たような問題としてシミーというのがあるが、ステアリングの周方向への振動を云う。このシェイクだが、一般的は高速(80km/h以上)で、インストルメントパネル全体やステアリングコラムが上下に振動する現象を呼ぶ。そこで、フロントボデーシェイクと呼ばれる場合もある。

 このシェイクの原因だが、タイヤもしくはホイールの要因がほとんどであろう。場合によっては、ホイールとハブとのインロー部の勘合が悪くセンターリングが狂っている場合もあるだろう。当然誰しも想定するホイールバランスの問題がある。しかもホイールバランスは、スタティックバランス(静的)とダイナミック(動的)があり、最近のバランスマシンでは同時に計測し最低量のバランスマスを装着すれば良い仕組みに進化している。しかし、バランスさえ釣り合っていればOKかといえば、異なる場合もあり得るのだ。それは、タイヤのラジアルおよびラテラルのランアウトと呼ばれる外周および側面周の振れが、十分小さいことが必要だろう。そして、現代の国産タイヤでは、新品時に全品検査した上で出荷されていると聞く、ユニフォミティ(タイヤの剛性的均一性)に問題がないかを考えてみる必要があるだろう。タイヤメーカーではタイヤに接地加重を与えた状態で回転させ、接地反力(剛性)の振れが基準以下であることを確認している。しかし、古いタイヤなどで内部カーカスにセパレーションを生じたとか、あまり聞かない輸入タイヤであると、保証しかねる問題となってくるだろう。

 最後に、シミーの話に少し触れる。この原因の多くは、ホイールバランスの中でダイナミックバランスが狂っていると顕著に表れる場合が多い。また、タイロッドエンドにガタがあるなども要注意であろう。なお、ブレーキを踏んだ時だけシミーが現れるのは、ディスクプレートの荒れや振れであろう。

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