私の思いと技術的覚え書き

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世界覇権へ何時か来た道

2019-03-12 | コラム
 現在、米国は中国製モバイル製造大手のファーウェイとZTEについて、盗聴の疑いなどがあるとして輸入制限を自国と関係国へ広めつつある。こんなニュースを見ながら、様々な論評者の発言を聞いていて、その実相が見えて来たので記してみたい。

 まずは、関係する企業だが、ファーウェイ、ZTE、ハイシリコン、クアルコムという4社が上げられる。この内、ハイシリコンとクアルコムは端末そのものでなく、内部に使用されるCPUとかLSIとかのチップメーカーであり、ハイシリコンはファーウェイの子会社で中国の企業、クアルコムは米国企業だということである。今、この2社において次世代モバイル端末の通信規格である5G(Gはジェネレーション=世代)の確立で覇を競っているのだ。その規格の詳細は定かではないが、通信速度としては10M/bpsだというが、そのプロトコルだとか機能の詳細はエンドユーザーには見えてこない。だたし、何れかに決まれば、その接続互換性だとかによって、一気に世界のモバイル通信のデファクトスタンダート(標準)となり、チップメーカーには莫大な利益が入ることになるのだろう。ということで、盗聴が何たらというのは難癖で、次世代規格を何が何でも自国企業のクアルコムに与えてしまおうというのが米国の本音のところなのであろう。

 ちなみにファーウェイは中華企業だが、国営でなく純民族資本であり、株式は非公開だが株式の95%超を社員が持つという企業で、子会社にハイシリコンというチップメーカーを持つ。もう一方のZTEは中華国営のチップメーカーで、正に盗聴問題を疑わなければならない企業体だろう。

 ここまでの話しを理解すると、恐らく30年前にインターネット(米軍需通信技術の民間開放)と共に一気に普及したパソコンのOSのと統一の様相と酷似していることを思い出さざるを得ない。つまり、極僅かなアップル社を除いて、総てがマイクロソフト社のウインドウズに統一されてしまったことをだ。そして、チップ関係もインテル社が大きなシェアを保持することになった。今や、日本のチップメーカーは凋落し、次世代5G規格に対応しうるようなメーカーは存在しない。ところが、パソコンの創世記には、トロンという和製チップとOSのコンセプトが半ば完成されようとし、全国の小・中学校だとか官公庁のパソコンに普及させようという動きが明らかになっていたのだ。しかし、米国から新たな非関税障壁だと決めつけられ、潰されたのが日本の歴史だったのだ。ある意味、80年代に世界中の電子機器を席巻した日本凋落の序章だったのだろう。

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