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指数の疑問 その9【米ミッチェル工数との対比考察】

2022-06-09 | 問題提起
指数の疑問 その9【米ミッチェル工数との対比考察】
 損保指数については、日本の場合損保の運営指導が良かったのかどうか、BP作業の主に脱着もしくは取替作業については実態上かなり普及がなされている。ただし、国産小型車のみの普及であり、輸入車でも一部指数は作られている様だが普及には至っていない。
 なお、中・大型車などの車体整備については、主にキャブ(運転台)が中心となるが全大協(全国大型自動車整備工場経営協議会)工数というのがあり利用されている様だ。なお、メカニカル関係については日整連の点数表というのが作成されており、ご利用の工場も多いのではないだろうか。

 さて、従前のその6で、【指数値は実態に合っているのという疑問】のことを触れた。また、その5では、指数策定の手法として、海外の類似の工数策定機関の手法に習い、基表方式という手法で指数は作成されている様だ。ちなみに世界の工数策定機関を以下に並べてみる。

日本 自研センター・・・指数 JKC
スェーデン・・・・・・・MYSBY(ミスビー)工数
イギリス・・・・・・・・Thatcham(サッチャム)工数 https://www.thatcham.org
ドイツ・・・・・・・・・アリアンツセンター AZT工数
スペイン・・・・・・・・セスビマップ・セズビ工数
アメリカ・・・・・・・・Mitchell(ミッチェル)工数
            モーター工数・CCC

 さて、今回は、上記一覧にもある米ミッチェル社の工数表について指数との対比を考察してみた。なお、車種はプリウス30(ZVW30)とし、車体の外面のパネルと前後サスペンション程度の14項目とし、指数値とミッチェル値の対比表を作成してみたので添付資料として示す。

 ただ、この対比を行うに当たっては、同じ作業項目を指定した場合でも、含まれるもしくは除外されるという様な、工数策定においての考え方の違いというのがあるので、一応その辺りもできるだけミッチェル値を補正した上で対比したが、十分ではないのかもしれない。この違いだが、例えば、ミッチェルのクォーターパネル取替には、別添資料のごとく表記されるのだが、リヤバンパー、リヤウインドウ、リヤシートなど指数では除外される作業が、含まれる作業とされている。なお、この規定も混乱するが、個別項目の工数値の左側に#マークが付く場合は、その近くに最優先される基準が入っている場合も多い。ただし、今回のプリウスでは、#マークなしの17.5(左側)であり、しかもバックドアタイプなので、リヤバンパーとリヤシートの脱着分を控除して補正値としている。


 この様な補正など見比べを14作業項目で行い、添付の対比表を作成したのだが、表の最下段に合計平均乖離地として指数1に対し、ミッチェル値が幾らかを平均値として求めたのだが、14項目すべての平均値は2.1(倍)という値となった。なお、ボルト系と溶接系に区分して集計した結果は、ボルト系で2.0倍、溶接系で3.2倍という予想したより大きな乖離が生じていることが判った。


 なお、国が違えば、工場の考え方や策定者の考え方の違いも大きいのだろう。ただし、今回の比較で、指数とミッチェルがまったく同一の項目が1つだけあった。それは、リヤバンパーだ。ただし、フロントバンパーなどは1.2~1.7倍ほど乖離が出ており、複雑な部品ほど乖離が大きい傾向がある様にも感じるところだ。

 だが、ヘッドライト、フロントフェンダー、フードなど、さして複雑でもないものでも、乖離値が2.5~4.5までと大きいものもある。ヘッドライトは、ミッチェルではエーミングが別で0.8加算、フェンダーやフードはどういう理由でここまで乖離したのか正直良く判らない。

 ただ、一つ指摘しておきたいのは、指数で取替の場合は、その含まれる構成部品をすべて取替るのが基本だ。だから接着式モールは、再使用など前提にしていないで、新品着のみ含まれているという前提だ。

 これを持って、直ちに指数はおかしいと主張しても、難しいことではあると思う。しかし、先にも例を出したクォーターパネル7.1だから、今日は始業時間から初めて残業せずに終えられるかと考えてもらえば、仮に10人の作業者の内、何名が達成できるだろうか・・・。


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