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空燃比センサーの多用は何故か

2023-01-12 | コラム
空燃比センサーの多用は何故か
 現代ガソリンエンジンにはディアルO2センサーを使用するのが常道となったが、この意味はおそらく米カルファルニアの10万マイル規制(16万キロ走行後の排出ガス規制値の維持)を保障せんがための触媒劣化の検出のためだ。つまり、触媒上流側と下流側の02センサーの相関で触媒劣化を検出しようと云うものだ。なお、この際のO2センサーそのものは、上流もしくは下流で同一特性(配線長の関係で部品番号は異なるがセンサーとしては同じ)のものを使用する。

 一方、この10年弱程度前より、上流側のO2センサーを空燃比センサー(トヨタなどではクウネンヒセンサー)もしくはA/Fセンサーといういうものが多用される傾向にある。およそ、こういう設問は、修理書などに明示もされていないので、試験にはでないのだが、アルゴリズム(プログラム順序)の思想を持つ者なら想定ができるはずだ。

 ところが、自動車整備士にしても損害調査員にしても、マニュアルに記してあることは、ある程度答えられるが、そうでない事柄は、案外極簡単なことでも想像もできない場合が多いことを知ると、その知力というか想像力の欠落に驚くことが多々ある。これも、現代教育の問題とか、そもそも日頃から関係する多種の文献に接していないことから生じる様に思っているところだ。

 これについては、過去に記しているのだが、簡単に述べれば、O2センサーは残存酸素量の大小でデイタル的に多いか少ないかの2値しか判定できないが、A/Fセンサーではアナログ的にA/Fの絶体値をセンシングでき、補正するまでのタイムラグが小さいことにあると云うことだ。つまり、O2センサーでは、仮にO2が少ないと、空燃比が濃いと判断し薄めて行くが、どの程度薄めれば良いか判らないので、アルゴリズムとしては仮に5%づつ薄めて、その結果の判定を繰り返す。従って。O2センサーの値が反転するまでの間、空燃比がベスト(ストイキ)になるまで時間が要するという問題があると云うことだ。その他、副次的に、軽負荷走行などで、故意に空燃比をリーンにして燃費を稼ぐこともやるが、あくまで軽負荷の場合のみだ。つまり、空燃比がストイキ(理論空燃比)でないと、CCRO(三元触媒)のCO、HC、Noxの同時浄化はできないからだ。軽負荷だと、そもそもNoxが少なく問題はないというところだろう。

 なお、最近の記事にも記しているが、軽負荷だと空燃比をリーンにするのと合わせて、EGRを掛けて吸気管負圧を上げてやり、吸気損失を減らすことで、さらに燃費を稼いでいる。

O2センサーからA/Fセンサーへの移行は何故か?
2022-02-13 | 技術系情報
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/94255290d07899b588789e8cc0d796fa


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