私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

職人達の人間関係を思う

2008-11-04 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 大昔読んだ本で「タテ社会の人間関係」(中根千枝:著)があります。この本でも判ることですが、特に日本人はタテ社会における人間関係が重視され、それが社会を動かして来たことは否めないことであると思います。これは企業組織等においても、軍隊組織程ではないにせよ、タテの上下関係は絶対の前提条件であることは自明のことです。

 ところで、もの作りにおける職人としての自営業の方々には、企業組織におけるタテの関係とは異なる相互の関係が持たれていることを感じつつ、私はアジャスターとしての活動を過ごして来ました。このタテの関係とは異なる関係のことを、私はヨコの関係として認識しているのですが、いわゆる職人間における子弟関係を表すものであると感じてきました。具体的に云えば、A工場主の修業時代の親方がB工場であるということは、良くあることです。また、昨今は職人気質(かたぎ)が薄れて来たと云え、その工場主にとって技術的な師匠と仰ぎ見る別の工場主という場合もあるでしょう。

 私は、アジャスターとして、クルマの整備、鈑金、塗装の各工場主方々との触れ合いを通じ、そのことを意識させられ、また努めて意識しつつ、その様な関係の実態を知ろうと思い続けてきました。何故ならば、そのことが私の業務で必要とされる、これら修理業界との信頼関係の醸成に役立つものと意識して来たからでもあるのです。

 一方、修理業界にもタテ社会とも云える組織体があります。これは、車体協会やアウダ会等も含まれるのだと思いますが、その構成員たる会員方々のことを意識することも必要なことと思います。

 以上記して来た様な、タテとヨコの関係を持つクルマの修理業界ですが、例えばあるアジャスターがあるBP工場と喧嘩となった等ということが生じると、こんな情報は結構に早く近隣のBP業界に広がって行くものです。彼ら(BP工場)が集まれば、アジャスター絡みの話題も出るでしょうし、あるアジャスターに関して生じた疑問等は、直ぐヨコの関係のある工場に連鎖していくものなのです。ですから、所属するグループとしてのタテの関係や、懇意な人的関係としてのヨコの関係を意識するのは大切なことと思います。

 こんなタテとヨコの関係としての知識を前提として、最終目的はアジャスターが修理工場と如何に信頼される関係を育て得て行けるのかということだと思います。そのことが、適切公平妥当な損害額の決定のために、きっと役立つものと確信します。なお、工場との信頼関係を育てる基本は、真摯で誠心誠意な対応を行う、公平に接する、人としての情を忘れないことは当然のことです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。