表題においては色々思い浮かぶところだが、今回は対物超過担保特約における矛盾(不公平さ)を記して見たい。
そもそも対人、対物などは損害賠償責任であって、民法709条の不法行為責任によって、法的に損害賠償の責が生じる。賠償保険では、この法律が賠償の対象とするであろうところの損害を支払うということが大前提になっている。なお、709条冒頭の故意については、賠償約款の偶然、外来のというところで、保険金の支払いを目的にするもの、いわゆる犯罪行為を除外している。
民法709条
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
さて、対物超過特約だが、対物賠償としての賠償金限度は、修理費と時価額(保険会社の判断したものでなく世に認められるであろう額)と比べ、どちらか低い方が限度となることは、法律条文にはないが最高裁判決を受けて広く世の損害賠償理論として確立している。しかるに、対物超過特約では、対象を車両の限定し1台当たり損害賠償額を一定範囲(ほぼ50万の様だ)まで超過しても、実修理を6ヶ月以内に完了していることなどを持って、保障するという内容だ。
この特約は、以下の様な保険契約者、事故の相手方(被害者)、保険会社、関わる者にとって、以下の様なメリットを生む。
・保険契約者:対物事故において時価額限度という損害賠償理論の中で解決遅延が改善される。
・相手方(被害者):保険会社の一方的に云う時価額が限度とされるが、修復して乗り続けたいという希望が否定されていたのを修理ができる余地が明らかに増加する。事故の示談解決が早まる。
・保険会社:保険会社にとって、事故受付から解決までの日数は、なるべく短くしたいところだ。しかし、多発する物損事故において、いわゆる全損事故で、保険会社の提示する時価額に納得できないなどとして遅延する案件は多く、同特約により大きく改善の余地を見込んだのだろう。
・関わる者:関わる者として修理工場があるが、本特約は従来全損判断で修理ができなかった、すなわち売上に寄与できなかった入庫車について、修理の実施の余地を広め、大歓迎するところだろう。
という、4方Winで良いだろと思われる方も多いと思うが、同特約が導入された直後から、以下の様な保険会社に求められる公平性からちょっとおかしいんじゃないかと思うところだ。
①そもそも対物賠償においては、その賠償額の上限が対象とされる物品の時価額を限度とすることは、過去の裁判所の判例に照らし十分に確立されたものだ。
②その裁判で確立された問題に対し、法律上の上限を超えた賠償を行うことを許容するのは、例えその時の事故での保険契約者および事故の被害者にとって救済されることであったとしても、社会的な不公平を生むこととなると思える。
③社会的な不公平とは、今回上げた特約に加入していた場合と加入していなかった場合で、交通事故の被害者に対し、実際の賠償額で差異を生じることだ。
④この様な保険商品が販売拡大することにより、対物賠償の倫理(時価額が限度となること)を狂わせる要因ともなるとも思える。業務絡みで触れあう被害者等から、対物超過保険に入っていなかったのは契約者の責任であり、時価額を超えた修理費を払って当然という要求を何度も受けているという実例がある。
そもそも対人、対物などは損害賠償責任であって、民法709条の不法行為責任によって、法的に損害賠償の責が生じる。賠償保険では、この法律が賠償の対象とするであろうところの損害を支払うということが大前提になっている。なお、709条冒頭の故意については、賠償約款の偶然、外来のというところで、保険金の支払いを目的にするもの、いわゆる犯罪行為を除外している。
民法709条
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
さて、対物超過特約だが、対物賠償としての賠償金限度は、修理費と時価額(保険会社の判断したものでなく世に認められるであろう額)と比べ、どちらか低い方が限度となることは、法律条文にはないが最高裁判決を受けて広く世の損害賠償理論として確立している。しかるに、対物超過特約では、対象を車両の限定し1台当たり損害賠償額を一定範囲(ほぼ50万の様だ)まで超過しても、実修理を6ヶ月以内に完了していることなどを持って、保障するという内容だ。
この特約は、以下の様な保険契約者、事故の相手方(被害者)、保険会社、関わる者にとって、以下の様なメリットを生む。
・保険契約者:対物事故において時価額限度という損害賠償理論の中で解決遅延が改善される。
・相手方(被害者):保険会社の一方的に云う時価額が限度とされるが、修復して乗り続けたいという希望が否定されていたのを修理ができる余地が明らかに増加する。事故の示談解決が早まる。
・保険会社:保険会社にとって、事故受付から解決までの日数は、なるべく短くしたいところだ。しかし、多発する物損事故において、いわゆる全損事故で、保険会社の提示する時価額に納得できないなどとして遅延する案件は多く、同特約により大きく改善の余地を見込んだのだろう。
・関わる者:関わる者として修理工場があるが、本特約は従来全損判断で修理ができなかった、すなわち売上に寄与できなかった入庫車について、修理の実施の余地を広め、大歓迎するところだろう。
という、4方Winで良いだろと思われる方も多いと思うが、同特約が導入された直後から、以下の様な保険会社に求められる公平性からちょっとおかしいんじゃないかと思うところだ。
①そもそも対物賠償においては、その賠償額の上限が対象とされる物品の時価額を限度とすることは、過去の裁判所の判例に照らし十分に確立されたものだ。
②その裁判で確立された問題に対し、法律上の上限を超えた賠償を行うことを許容するのは、例えその時の事故での保険契約者および事故の被害者にとって救済されることであったとしても、社会的な不公平を生むこととなると思える。
③社会的な不公平とは、今回上げた特約に加入していた場合と加入していなかった場合で、交通事故の被害者に対し、実際の賠償額で差異を生じることだ。
④この様な保険商品が販売拡大することにより、対物賠償の倫理(時価額が限度となること)を狂わせる要因ともなるとも思える。業務絡みで触れあう被害者等から、対物超過保険に入っていなかったのは契約者の責任であり、時価額を超えた修理費を払って当然という要求を何度も受けているという実例がある。