レストアとは元の状態に復元する行為を指します。国宝等の貴重な文化財となる建物や絵画等々、適宜のレストアという行為によって、後生にまで伝えられて行くのです。現代に住む私達は、それら文化遺産に直接触れ合うことによって、過去の偉大な人々の活動に思いを馳せ、その感激を得られるのだとも思います。
私の好きなクルマの歴史はたかだか100年程度のものです。しかし、クルマはその本来目的としての必然から、走行しつつ消耗しますし、事故で破損したりして、新しいより性能の優れた世代のクルマに受け継がれていく宿命を持っています。ですから、その当時はどんなに優れたクルマであっても、性能は陳腐化して打ち捨てられ忘れ去られて行くのです。
そんなクルマの世界ですが、古いクルマを愛し、それを所有することに喜びを持つ人々がいます。また、それら人々の欲求を満たすべき、レストアという行為を業務として営む人々もいます。
ところで、このレストアですが、場合によっては、新規製品を生み出すよりも多大な人、モノ、金というエネルギーを生じる場合が多々あります。ですから、「そんなに費用を要するなら、新しい製品を買うわ」ということが合理的な世の一般的な考え方となるのでしょう。そんな、合理的な思考が、消費社会としての現代生活を生み出していることも必然のことなのでしょう。
現在、レストアの対象となる主なクルマは、その生産台数が少ない等としての希少性から資産価値として高いものが多いのが実情と感じられます。しかし、必ずしも希少性だけでは計れない場合もあると感じられます。我が国のモーターリゼーションの端緒となったとも云える、爆発的に売れた初代カローラ(KE10型)を希に見る機会がありますが、最新型車にない魅力を感じてしまうのは私ばかりではないと思うのです。