回転寿司舐め動画拡散事件で賠償金を保険で支払えるか
回転寿司チェーン「スシロー」で、醤油差しを舐める動画がNetで拡散した事件だが、スシローの運営会社が加害少年側に6700万円の損害賠償を民事賠償として提訴した件が報じられている。正直アホなガキで、こんなのが私の息子だったとしたら、親としてどう解決したら良いだろうかと悩むことだろう。余程の資産家なら、そんな賠償額痛くもないわと支払うことができるだろうが、到底賠償しきれるものではないという場合の方が多いだろう。
ここで、幾つか考えるところだが、まず6700万円という賠償額がどうやって積算されたのかと云うことを考えてみたい。そもそも損害賠償には直接損害と間接損害に分けられる。今回のケースでは、直接賠償となるのは、事件発覚により、店舗の皿とか醤油差しとか機具全般を消毒したりという作業とか、その間店舗営業を休業せざるを得ない訳だが、その間の利益とか食材で保管できず廃棄せざるを得ない様な費用だろう。
民法には、損害被害者にも損害の拡大を防ぐために、合理的な処置を取る「損害軽減義務」があるとされている。だから、いたずらに、休業期間を延ばしたりして損害が拡大したという主張はできない。
ただし、動画をNet拡散されて、当面の客足が減ったなどのことを理由に、今回の6700万円は積算されていると思えるが、何処まで合理性があるか、それは今後の裁判の中で詰められると思うが、幾ら何でも全店舗の営業損失が出たまでは認めない様に私には思える。ただ、民事訴訟においては、ある程度双方の主張が収束する中で、裁判官は判決を下しことより、示談を促すだろう。これひとえにひねくり廻した判決文書を書くのがめんどくさいという裁判官心理がある。彼らも、多くの事案を抱え、処理の多さが評価対象になる故のことだ。
ところで、今回の事案で、親が家族を包含する個人賠償保険に入っていたら、保険の対象になるのかを検討して見たい。この結論だが、賠償責任保険とは自動車でもまったく同じだが、支払い要件の筆頭に事故が、急激、偶然、外来という3要件がある。それと、これに内在することになるが、故意性がある事故は対象外となることから、醤油差しを舐めたアホガキは、たまたまではではなく、誤ってでもなく、自ら故意的にこれをなしたという点で到底保険の対象ではないことになる。
ついでに個人賠で、保険支払いの対象とならない事案として、業務中の事故がある。例えば、自動車整備もしくは板金修理の業にある被保険者が、業務中に誤って顧客の車両のガラスを割ってしまった場合、良識ない経営者だと個人責任だと弁償を要求されたとしても、この場合に個人賠償保険は使えない。なお、業務中の事故の場合、余程本人に重過失とか故意性がない限り、経営者にも従業員に個人弁償しろとまでは云えない。これは、そもそも経営とは、それらも含め、リスクを負っているのであって、それをヘッジしたいなら、受託車賠償保険とか自動車管理者賠償保険に加入しておかねばなるまい。
回転寿司チェーン「スシロー」で、醤油差しを舐める動画がNetで拡散した事件だが、スシローの運営会社が加害少年側に6700万円の損害賠償を民事賠償として提訴した件が報じられている。正直アホなガキで、こんなのが私の息子だったとしたら、親としてどう解決したら良いだろうかと悩むことだろう。余程の資産家なら、そんな賠償額痛くもないわと支払うことができるだろうが、到底賠償しきれるものではないという場合の方が多いだろう。
ここで、幾つか考えるところだが、まず6700万円という賠償額がどうやって積算されたのかと云うことを考えてみたい。そもそも損害賠償には直接損害と間接損害に分けられる。今回のケースでは、直接賠償となるのは、事件発覚により、店舗の皿とか醤油差しとか機具全般を消毒したりという作業とか、その間店舗営業を休業せざるを得ない訳だが、その間の利益とか食材で保管できず廃棄せざるを得ない様な費用だろう。
民法には、損害被害者にも損害の拡大を防ぐために、合理的な処置を取る「損害軽減義務」があるとされている。だから、いたずらに、休業期間を延ばしたりして損害が拡大したという主張はできない。
ただし、動画をNet拡散されて、当面の客足が減ったなどのことを理由に、今回の6700万円は積算されていると思えるが、何処まで合理性があるか、それは今後の裁判の中で詰められると思うが、幾ら何でも全店舗の営業損失が出たまでは認めない様に私には思える。ただ、民事訴訟においては、ある程度双方の主張が収束する中で、裁判官は判決を下しことより、示談を促すだろう。これひとえにひねくり廻した判決文書を書くのがめんどくさいという裁判官心理がある。彼らも、多くの事案を抱え、処理の多さが評価対象になる故のことだ。
ところで、今回の事案で、親が家族を包含する個人賠償保険に入っていたら、保険の対象になるのかを検討して見たい。この結論だが、賠償責任保険とは自動車でもまったく同じだが、支払い要件の筆頭に事故が、急激、偶然、外来という3要件がある。それと、これに内在することになるが、故意性がある事故は対象外となることから、醤油差しを舐めたアホガキは、たまたまではではなく、誤ってでもなく、自ら故意的にこれをなしたという点で到底保険の対象ではないことになる。
ついでに個人賠で、保険支払いの対象とならない事案として、業務中の事故がある。例えば、自動車整備もしくは板金修理の業にある被保険者が、業務中に誤って顧客の車両のガラスを割ってしまった場合、良識ない経営者だと個人責任だと弁償を要求されたとしても、この場合に個人賠償保険は使えない。なお、業務中の事故の場合、余程本人に重過失とか故意性がない限り、経営者にも従業員に個人弁償しろとまでは云えない。これは、そもそも経営とは、それらも含め、リスクを負っているのであって、それをヘッジしたいなら、受託車賠償保険とか自動車管理者賠償保険に加入しておかねばなるまい。