昨今、海上自衛隊のイージス護衛艦と漁船の事故が問題を生じております。発表のズレや、事故や不祥事の連続から、組織的に問題があるとまで指摘されています。ところで、太平洋戦争での日本海軍のことを記してみます。
旧日本軍の中でも海軍は、明治時代の日露戦争での東郷元帥率いる連合艦隊がバルチック艦隊を圧倒的に撃破する日本海海戦での大活躍がありました。その様な活躍もあり、昭和の海軍にも、規律正しく清廉であるというイメージが、陸軍よりある様に表現した書物や風評があります。しかし、明治と昭和では、まるでその志というものに格差があると云うのが私の感じることです。
太平洋戦争の初戦におて、時代が戦艦ではなく航空機の機動力が大きな戦力となることを認知し、だからこそ真珠湾攻撃は空母と航空機を使用して実施されたのです。そして、戦艦同士の艦隊決戦等はあり得ず、陳腐化した思想だということが判っていながら、一番艦の戦艦大和を、二番艦の武蔵と、資源も限られた中で製造して行ったのです。なお、さすがに三番艦の大鵬は途中で空母に改装されたのですが、就航早々に米国潜水艦の雷撃で沈没させられています。
連合艦隊司令長官の山本五十六元帥については、戦艦大和の建造に反対し、日米開戦にも反対していたと伝えられます。しかし、開戦前の言葉として、「初めの半年や一年は随分暴れてご覧に入れますが・・・」等と言っていますが、真珠湾での開戦の約6ヶ月後のミッドウェイ海戦では、戦略・戦術の不手際等から大敗しています。米側が空母1隻を喪失に対し、日本海軍は主力空母4隻を失う大損害・大打撃を生じたのです。この原因は、山本五十六長官を含めて、戦略・戦術の未熟さがあったのだと思います。そして、レーダー等の電子機器の開発遅れや、インテリジェンス(情報収集分析能力)の劣後さがあったと感じます。
それと、私の住まいのある静岡県にも存在したのですが、日本各地に海軍工廠なる海軍としての兵器研究製造工場があったのですが、ここにも問題点があったのではと想像されます。それは、この様な市場原理が働かない工場では、生産性が向上しないという問題を内在していたはずと感じます。三菱航空機や中島飛行機だけでなく、場合によってはトヨタや日産辺りにも航空機も製造させていれば、まだまだ生産性は向上していたのにと思うのです。また、レーダー(当時は電探と呼んでいた)の開発も、日本電気や東芝、日立、松下電器等に競争させていれば、もっともっと開発は進展したのだと思うのです。
さて、海上自衛隊のことに話を戻しますが、明治時代の日本海軍の誇り高い志を取り戻して欲しいと念じます。石破大臣は相当に大変だと思いますが、改革を進めて戴きたいと願います。
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