私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

クルマと寒さ

2011-01-05 | 技術系情報
 大晦日から元旦に掛け、山陰地方の国道で積雪のために数珠繋(じゅずつな)ぎに渋滞した多数の車両(600台とも)に24時間以上もの時間、多くの人が閉じ込められる事態が生じたとのことです。正月早々、酷い目にあったものだなと思いますが、この様な場合燃料が途切れてしまったクルマは、生死に関わる事態も想定されます。北海道など冬季の極寒冷地方では、長距離の移動では常に燃料の残量を多く保つことに気を配るそうです。それは、いつ何時、雪の吹きだまりに埋まり込み、救助までに相当の時間を車内で待つ必要があるからとのことです。
 話しは変わりますが、昔のクルマでは冷却水も冬季以外は通常の水を使用していました。冬季は冷却水の凍結によって、オーバーヒートを生じたり、エンジン内部の冷却水路が氷結する際の膨張力でエンジン本体に亀裂が生じるなどの深刻なダメージを受けるため、冬季は不凍液に入れ替えたものでした。ただし、この不凍液は粘度が高いため、冬季以外の使用はエンジンのオーバーヒートを生じるため季節の変わり目で入れ替える必用があったのです。しかし、これもLLC(ロングライフクーラント)の採用により、年中入れ替えなしで使用できる様になった訳です。
 エンジンオイルも、現在の様なマルチグレードタイプと云って、温度による粘度の変化が少ないものがない時代(つまりシングルグレードしかない時代)は、冬季の始動性向上のため粘度の低いものに入れ替える必用があった訳です。なお、消防車などの緊急車両ではエンジンオイルパンの下部に当たる位置の床に、赤外線ヒーター(その昔は炭火)でオイルを加温し、始動性を良くしていたものでした。これは、今でも古い消防署へ行けば、その名残が見られるはずです。
 ところで、最近話題のEV(電気自動車)ですが、バッテリーの特性故にでしょう、寒冷時の航続距離が短くなってしまうことがある様です。これは、バッテリーの能力低下とヒーター用の加熱器に大きな電力を要するためなのでしょう。寒冷時にバッテリーの能力が低下するのは、例えば寒冷野外でデジカメのバッテリーが案外早くエンプティ表示が出ることなどで実感されます。また、通常車でも能力の低下したバッテリーで寒冷時にスターターモーターが重くて廻り難いときがあります。この様なとき、バッテリーにヤカンのお湯を掛けてやるだけで、たちまち勢いよくスターターモーターが廻り始動に成功することは時々あるものです。


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