私の思いと技術的覚え書き

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金融庁が修理工場へ独自アンケートを出状した件

2023-06-24 | コラム
金融庁が修理工場へ独自アンケートを出状した件
 過日(6/21)に「日車協連が損保と団体交渉へ」の表題で記している。その後間もなくして、金融庁が日車協連経由で、個別単組(県別の車体共同組合)に対して、個別工場向けのアンケート形式への記入と提出を求めているという情報を得た。

日車協連が損保と団体交渉へ(日刊自動車新聞6/21記事)
2023-06-21 | コラム
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/96ad0c9c0422d54303342096fc773800

 ここでは、このアンケート状そのものの公表は控えるが、金融庁としては、今回の修理料金値上げに絡む問題だけでなく、背景として扱い損保3社および損保協会では手に負えない問題となっているビッグモーター事件の終局を早期に付けたいというものもある様に感じるところだ。

 そこで、今般のアンケート内容だが、個別修理工場と損保間にはどんな問題があるのかという、主に料金関係の不満として質す設問となっていることは理解できるところだ。ただし、うがった見方かもしれないが、金融庁としては、個別工場の料金不満だけをもって、例えば昨年対比で今年4月以降の値上げ率のグラフを作り、どのような値動きになっているかを明示する。そこで、損保には物価高騰に対する配慮が欠けているじゃないかとか、工場にはそこそこ損保の配慮もなされているじゃないかなどと、結論付け終局を狙うと云う方向付けなのではないのかとも想像されてしまう。ここで、同アンケート眺め、気になる点を3点に絞り以下に記してみたい。

問題1
 アンケート項目として、料金の不満というものを工賃単価(対応単価)だけに注目している様に見えるが、料金とは指数(もしくは工数)×工賃単価で決まるもので、日本の実情としては、8、90%も普及してしまった指数値の問題があまり意識されていない様に感じる点は思考として抜け落ちている様にも感じるところだ。

問題2
 近年修理工場側の実負担として高騰化しつつ、自動車修理以外の建築土木工事に際する損害には目くじら立てない損保が、自動車修理工場だけには、産業廃棄物費用は単価に含まれるという理由付けで決して認めようとない問題のことは、今回のアンケートにはない。これについては、自由記入欄に記せば書けるのだろうが、記入する工場の意識の問題もあり何処まで工場側の不満を汲み取れるのだろうかとも思える。

問題3
 アンケート設問の中に、「同じ作業を行った場合に、保険利用と個人負担で料金に差がありますか?」という様な設問がある。これついては、アンケート回答者として、修理の受託とか実務を知らない者が集計するという意識を十分持ち回答しなければならない問題だと思える。
 一般論として一定のモラルを持つ工場なら、保険だろうが個人負担だろうが、同じ修理なら料金は同じが当たり前だろうと回答する場合もあるのかもしれない。しかし、これは工場側と云うよりユーザー感情が大きく影響を与える問題を内在していることを工場側なら理解することだろう。つまり、自己負担のないユーザーは、得てして最高の修理品質を求めるという極当たり前の心情があると考えるべきだろう。その点、修理を受託する工場も、あまり極端な場合は、諫めたり説得するのだが、やはり顧客の希望を無視はできかねるということになるだろう。従って、この設問を集計し、修理工場は保険修理で実費修理より高い価格を得ているかの様な結論付けは意味をなさない。

まとめ
 今回の金融庁発のアンケートだが、現在のところ、日車協連を通じて傘下の個別単組に降ろされており、その提出先は金融庁だというが、そもそもアンケート設問に日車協連は関わっていないように見えてしまう。

 それと、アンケートは日車協加入工場には基本的に流れることと思うが、実のところ日車協の組織率は低く、全国あまたの未加入工場にもアンケートが流れる工夫を是非してもらいたいものだと思うところだ。

 何れにしても、従前6/4付け記事でも述べたが、日車協連と損保の団体工場は30年ぶりの出来事だということだが、現下情勢は30年ぶりに単に単価問題だけを解消するのではなく、さまざまな積年した問題を解消する良い機会にするという意識が、日車協連幹部には当然あることと思うが、個別単組や未加入工場も、そのことを十分意識して取り組まなければならない問題と思える。


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