私の思いと技術的覚え書き

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「華麗なる賭け」とデューンバギーの思いで

2019-04-19 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 今、映画「華麗なる賭け」(1968年)を久しぶりに再視聴しながらこの記事を記しています。見て下さる中でも私と同じく役者ステーブ・マックイーンに好感を抱く方がいるでしょう。wikiで調べると「華麗なる賭け」はマックイーンが38才の時の作品で、この3年後に「栄光へのル・マン」(1971年)が公開されています。

 この「華麗なる賭け」はテーマ音楽「風のささやき」(ミシェル・ルグラン)も素晴らしいです。そして、登場するクルマ達が何処か当時の日本車のオリジナルデザインであって、如何に当時の日本車はアメ車がデザインのトレンドリーダーとなっていたか知れます。しかし、現代では逆転し、今では日本デザインが大きくアメ車に影響を与えていると見えます。その端緒となったのが、乗用車ナイズしたSUVたるトヨタハリヤーだったろうとは私見です。

 ところで、「華麗なる賭け」後半部で砂丘を走り回るデューンバギーですが、VWビートル(いわゆるType1)ベースであることが判ります。私が社会人として業務を為す様になった頃にはブームは去っていたのですが、その数年前くらいまで整備工場の中にも自作バギーを作って楽しむというささやかなブームがあった様です。私が初めて触れあった15才程年上の先輩にも、写真を見せてもらったりと制作の苦労話を感心を持って聞いたものでした。

 その概要は、車体(シャシ)はいわゆる50Φ位の丸パイプをロールゲージ様に組み合わせて溶接組み立てしたものです。前後のサスはVWType1のサスユニットを前後バルクヘッド部に溶接付けするという構造だった様です。写真のType1のベアシャシを見てもらえば判ると思いますが、フロントはダブルトレーリングアームでトーションバースプリング式で、ベースからそっくり切り取り移植すれば容易にマウントできます。リヤもトレーリングアームとトーションバーで、スイングアクスル式ですから、移植は行い易いということなのでしょう。但し、先輩の言は、エンジン含めてVWじゃ面白くないからと、2Tエンジン(1600OHV)に換装していたそうです。となると、いわゆるベルハウジングとインプットシャフト(いわゆるメンドラ)が問題になってきます。ベルハウジングは、間に厚板鋼板を加工した互換スペーサーを自作したとのこと。メンドラは、切断し溶接(この時代は工場に被覆アーク溶接しかなかったハズです)して仕上げたそうです。ダイヤルゲージで僅かに振れ出たが良しとしたとのことなどを、嬉しそうに語ってくれたものでした。この先輩、なかなかとっつきにくい方でしたが、その視点はなかなか鋭く、口癖は「調子が悪くないのをやたらさわるんじゃない!」というものでした。そんな先輩でしたが、出会ってから数年後に病魔に倒れ僅か40才で世を去ったのは寂しい出来事でした。

Youtube 風のささやき https://www.youtube.com/watch?v=7W6Kyvm9fuc



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