100:0被害事故で常に時価額が妥当な賠償額となるのか?
これは、最近Youtubeで、何処かのホンダディーラーの納車直前のシビックタイプRが商品として販売できなくなり、全面賠償で若干損保と揉めた案件を見つつ思ったことから記したい。
なお、この案件については、これを見た、どちらかと言えば、損保は常に出し渋るとかネジ巻く動画を出している者もいて、時価額がどうだこうだというものもあるのだが、ひっくるめて私の損保調査員時代から、常識として来た損害賠償論を述べて行きたい。
まず、全損の場合は、クルマに限らず時価という考え方はある。そこでの時価は、損保の当初提示するレッドブック掲載値でもなく、またある程度経年してレッドブックとかディーラーでの下取り査定値がない車両で云う、新車価格の10%でもない。これは、法令で決まっている訳ではないが、過去の裁判例として、同種、同年式、同一程度の走行距離で同程度の市場販売価格相当額(売価)と云うことは、ある程度裁判例から確立されている。
ただし、この同種同程度の売価というのは、個人所有の車両の場合の時価だ。例えば、キャリアカーで新車陸送中に事故被害に遭い、新車として販売できなくなったとしたら、新車販売価格が妥当として請求できるか。また、先にタイプRの様に中古車販売として契約済みでその販売契約額すべてが時価として、妥当な賠償請求額として請求できるか。という問題は、私の損保調査員時代にも数々あった。これは、クルマに限った話しではなく、あらゆる商品について云える。
そもそも、新車にしても中古車にしても、販売者は事故でなくとも、何時何時、天災だとか自らの過失などで、商品をお毀損したり滅失したりするリスクを負っている。その代わり、正常に販売できれば、それなりの利益を得ることができるというのは商売の原則となることだ。こういった場合、他人の責で商品が必ずしも全損でなくとも、少なくとも正常な新品として販売できなくなった場合は、その新品販売との差額は損害賠償として請求できるのだが、その場合利益相当の額までは請求できないと考えるのが一般的な損害賠償論となるだろう。というのは、先に述べた通り、商売をしている限り、必ずしも事故でなくとも、契約通りに販売できなくて利益を得られないというリスクは常に存在しているからと考えるべきだろう。
と云うことで、損害賠償論としては、原価部分が賠償の上限となり、これが時価相当となると考えて良いだろう。具体的には、新車キャリアカーでの陸送中は、メーカーもしくは自販会社経由であれば、蔵出し価格もしくはディーラーの仕入れ価格であり、中古車であれば仕入れ価格+加修費などとなるだろう。
ただし、新車メーカーにしても、中古車販売店にしても、仕入れ価格をなかなか正直に明示したくないという問題があるだろう。それは、エンドユーザーに対し、それを明白にすることにより利益額が明白になり、値下げを要求されるなどの問題があることも理由の一つだろう。実際のところ、訴訟にでもなり、徹底的に争う場面では、証拠提出を求めることになり、そういう資料が提出される場合もあるのだが、示談として話し合いの解決では、そこまで販売業者などに求めるのは酷とも思えるので、ある程度のところで双方が妥協することになると思うが、原理原則はそういうことなのだ。
ちなみに、過去にこういう事故があった。被害車両は大型トラックで、積み荷は某メーカー新車用のアルミホイールを数百本満載していた。追突事故により大型トラックは大破すると共に、積み荷のアルミホイールは多くが荷台から外に散乱して、到底新品として使用することはできなくなった。この場合、総計損害額も高額となり、積み荷の蔵出しか価格の資料を提出してもらうことになったのだが、その額は1本平均2千円程度と判明した。その当時でも、該当アルミホイールのメーカー小売価格は2万5千円程度であった。
これは、最近Youtubeで、何処かのホンダディーラーの納車直前のシビックタイプRが商品として販売できなくなり、全面賠償で若干損保と揉めた案件を見つつ思ったことから記したい。
なお、この案件については、これを見た、どちらかと言えば、損保は常に出し渋るとかネジ巻く動画を出している者もいて、時価額がどうだこうだというものもあるのだが、ひっくるめて私の損保調査員時代から、常識として来た損害賠償論を述べて行きたい。
まず、全損の場合は、クルマに限らず時価という考え方はある。そこでの時価は、損保の当初提示するレッドブック掲載値でもなく、またある程度経年してレッドブックとかディーラーでの下取り査定値がない車両で云う、新車価格の10%でもない。これは、法令で決まっている訳ではないが、過去の裁判例として、同種、同年式、同一程度の走行距離で同程度の市場販売価格相当額(売価)と云うことは、ある程度裁判例から確立されている。
ただし、この同種同程度の売価というのは、個人所有の車両の場合の時価だ。例えば、キャリアカーで新車陸送中に事故被害に遭い、新車として販売できなくなったとしたら、新車販売価格が妥当として請求できるか。また、先にタイプRの様に中古車販売として契約済みでその販売契約額すべてが時価として、妥当な賠償請求額として請求できるか。という問題は、私の損保調査員時代にも数々あった。これは、クルマに限った話しではなく、あらゆる商品について云える。
そもそも、新車にしても中古車にしても、販売者は事故でなくとも、何時何時、天災だとか自らの過失などで、商品をお毀損したり滅失したりするリスクを負っている。その代わり、正常に販売できれば、それなりの利益を得ることができるというのは商売の原則となることだ。こういった場合、他人の責で商品が必ずしも全損でなくとも、少なくとも正常な新品として販売できなくなった場合は、その新品販売との差額は損害賠償として請求できるのだが、その場合利益相当の額までは請求できないと考えるのが一般的な損害賠償論となるだろう。というのは、先に述べた通り、商売をしている限り、必ずしも事故でなくとも、契約通りに販売できなくて利益を得られないというリスクは常に存在しているからと考えるべきだろう。
と云うことで、損害賠償論としては、原価部分が賠償の上限となり、これが時価相当となると考えて良いだろう。具体的には、新車キャリアカーでの陸送中は、メーカーもしくは自販会社経由であれば、蔵出し価格もしくはディーラーの仕入れ価格であり、中古車であれば仕入れ価格+加修費などとなるだろう。
ただし、新車メーカーにしても、中古車販売店にしても、仕入れ価格をなかなか正直に明示したくないという問題があるだろう。それは、エンドユーザーに対し、それを明白にすることにより利益額が明白になり、値下げを要求されるなどの問題があることも理由の一つだろう。実際のところ、訴訟にでもなり、徹底的に争う場面では、証拠提出を求めることになり、そういう資料が提出される場合もあるのだが、示談として話し合いの解決では、そこまで販売業者などに求めるのは酷とも思えるので、ある程度のところで双方が妥協することになると思うが、原理原則はそういうことなのだ。
ちなみに、過去にこういう事故があった。被害車両は大型トラックで、積み荷は某メーカー新車用のアルミホイールを数百本満載していた。追突事故により大型トラックは大破すると共に、積み荷のアルミホイールは多くが荷台から外に散乱して、到底新品として使用することはできなくなった。この場合、総計損害額も高額となり、積み荷の蔵出しか価格の資料を提出してもらうことになったのだが、その額は1本平均2千円程度と判明した。その当時でも、該当アルミホイールのメーカー小売価格は2万5千円程度であった。