スープラ DB の研究 その1
この都度、スープラDB型の整備マニュアルを見たので、その知識などを含めて、多分数回になると思うスープラ研究との表題で記してみたい。
トヨタでは2002年に生産終了したスープラ(A80系)から17年を経て、新スープラ(DB系)は販売されている。ただし、このスープラは、一応共同開発という名目だが、基本はBMW・Z4の新型(G29)のクーペ版と云って良いと云うのが真相ではないだろうか。そもそも、トヨタはBMWとは2011年以来技術提携しておりトヨタ製ディーゼルエンジンをBMWに供給したりという動きはあった。それが、トヨタで新スポーツカーを企画するに当たり、さほど需要が見込めないこの分野に新規開発をゼロから開発するムダを省き、しかしラインナップアイテムとしては欲しいということからBMWに声を掛けたと云うところが真相ではないだろうか。
そもそもBMWはZ4シリーズというのが、2003年以来継続販売しており、その3代目が今回のG29型となる。今回のG29以前のZ4シリーズの歴史を振り返ると、初代のE85はホロタイプだったが、ちょっと遅れてクーペボデーのE86が追加されている。このE85、86だが、まったくの新規開発かと云えばそうではなく、同時代の3シリーズセダン(クーペ、ワゴン含む)のE46型と前部骨格だとかサスペンション構成部品、エンジン、TM、デフなどの、パワーユニットや動力伝達系は相当に共通部品を持つ車両であった。
Z4シリーズは、2009年にフルモデルチェンジを行い、E89モデルとなった。それまでのホロから、バリオルーフと呼ぶ折りたたみ収納可能なオープンボデーだが、ルーフを閉じればクーペ相当の車両となることから、クーペが開発されることはなかった。なお、E89モデルも、同時代の3シリーズモデルである3シリーズ(E90)と相当な互換部分を持っていた。
そして、2019年にフルモデルチェンジしたZ4がG29モデルだ。初代と同じく、やはりその雰囲気が好まれると思考しただろう、ホロタイプに回帰している。なお、E85やE89と同じくやはり現行の3シリーズであるG20とは相当な互換部品があると考えて良いであろう。
ただし、E46もE85も同時期に相当な距離数乗り回したことがあるので、様々な評価意見と下せると思っているのだが、互換部品は多くエンジン型式も同じとはいえ、その外見が車高が低くホイールベースが短いだけの小さな違いかと云えば、そういう感覚はまるでない。
エンジンなどは、これが同じ型式のエンジンかと訝るほど、吹き上がりのイナーシャ感が小さく、排気音などまるで異なる。
走りの性能も、ステアリングオーバーオールレシオ(ロックツウロック)が、E46で2.5回転程度が、E85では2回転程と小さくなされていたり、絶対的な車高(最低地上高)が低められているので、有効なホイールトラベル減少に伴い、バネレートやダンパー減衰力は強められており、E46であったしなやかな足の動きはかなり失われているが、その分スポーティ感が強められている。ただし、ショートホイールベース化されているにも関わらず、立体駐車場等での傾斜が急に変わる局面では、前端下部が触れるよりも、フロア中央部付近が触れてしまうと云う程に車高が低く過ぎ、路面形状には気を使い過ぎる車高の低さと感じた。
ところで、BMWでは、5シリーズ(E60)から採用されだした、ダッシュパネル前のアルミ骨格構造だが、その後7シリーズなどにも同一技術は使われる様になっていたが、最量販車種である3シリーズには、前モデルのF30までアルミ化なされることはなかった。これは、アルミ化によりFRレイアウトながら、エンジンの後退化(フロントミドシップとも呼ばれる)と共に、旋回時のレスポンスに影響する車両前部マスの低減に効果があることは利点だが、クラッシュ時の修理性に難点が出てくることを考慮していたからとは筆者の解釈だ。しかし、現行G20型では、先行した5、7シリーズと同様に、車両前部骨格のアルミ化がなされた。この構造は、そっくり新型Z4であるG29やそのクーペ版となるルー-プラDBにも引き継がれている。
なお、エンジンは6気筒は3LはB58B30AからB58B30Bで40ps程出力アップしているが加給の程度を上げたに過ぎないのではないだろうか。TMはZF製8速トルコン付きステップATのみの設定となってる。なお、4気筒モデルはB48B20AとB48B20Bの2種があり最大出力が異なり70psほど違うが、これも加給圧の違いと付帯した冷却系の余裕の違い程度であろうと想像する。なお、この6気筒3Lと4気筒2Lは、単シリンダー500ccとなり、BMWが他ブランドであるミニなどで4気筒2Lと3気筒1.5Lでやっているのと同様なモジュラーエンジンというもので、燃焼室形状やインテーク、エキソーズトバルブ、カムトレイン機構などを共通化させている。なお、Z4(G29)およびスープラ(DB)共に、6気筒および4気筒でカムトレイン機構は、エンジン後端部に装着される。つまり、フライホイール(というかドルコンの付くドライブプレート)の前に位置する。
ただし、E85の前提となったE46との違いで述べた様に、スペック上同じ馬力であっても、その吹き上がりのシャープさなどイナーシャ感はトルクコンバーターの容積などを含め相当な感覚上の違いを出しているのではないのかと予想する。
ところで、BMWにとっては苦言となるが、この最新型エンジンだが、未だにバルブトロニックという吸気弁の開度で吸入空気のコントロールを行う方式を踏襲している。なぜ、この方式が優れていたかは、低負荷時のスロットルバルブ開度が小さい領域において、給気管負圧が大きくなることによる絞り損失をなるべく少なくすることにあった。
このメカがBMWで出され、多少の間をおいたがトヨタやニッサンでも同等のエンジンを作り出したが、継続生産されることはなかったし、その他世界のメーカーでも追随する動きはなかった。
この理由を筆者は、以下と解釈している。
つまり、EGRの装着に理由はあるのだ。EGRは排気ガスを吸入空気に還流させることで、燃焼温度を抑えてNOxを減少させる効果を持つが、ガソリンエンジンの場合、三元触媒を使う前提でEGRは必用はないのだ。
ただし、ディーゼルでは、その出力調整を吸入空気ではなく燃料噴射量で行っており、例えスロットルバルブが付いていたとしても、運転状態としてのスロットルベダルの動きに連動せず、常に目一杯の吸入空気が送られており、ディーゼルの給気管負圧が高まることはほぼない。つまり、ディーゼルエンジンというのは、余程の高負荷でない限りほとんどの運転状態でリーン燃焼している訳で、三元触媒を使用することはできない。従って、NOxを低減するには、EGRを掛けるが、掛け過ぎると出力低下と燃費の悪化を招くので、昨今は尿素SCR方式で、NOxを還元する方式が主流になっているのだ。
と、だいぶ回り道をしたが、ガソリンエンジンにあえて必用ないEGRが最近何故付き始めたのかということにやっと戻るのだが、排気ガス(概ねCO2と考えて良いだろう)を吸気に還流させることで、燃えない気体を給気管に導くことで給気管負圧を低下させ絞り損失を低減するのが目的で、BMWが金掛けて高精度なインテーク機構でやっていることを、EGRというおそらくコスト的には1/10以下で同様の効果を得ているのがガソリンエンジンのEGR機構なのだ。しかも、バルブトロニックは、燃費に関係ないアイドルとか減速時にも働き、常時給気管負圧は小さいがため、ブレーキ用バキュームブースタ用にバキュームポンプまで必用となるが、EGR機構なら必用に応じてカットできるので、アイドルや減速時などの燃費に関係ない領域ではカットオフしており、EGRを掛けるのはあくまで軽負荷巡航時のパーシャルスロットル領域だけだ。全負荷に近い領域では、スロットルバルブが全開しており給気管負圧は小さくなるというかターボ加給のこのクルマでは正圧以上になる。
#スープラ DB型 研究
この都度、スープラDB型の整備マニュアルを見たので、その知識などを含めて、多分数回になると思うスープラ研究との表題で記してみたい。
トヨタでは2002年に生産終了したスープラ(A80系)から17年を経て、新スープラ(DB系)は販売されている。ただし、このスープラは、一応共同開発という名目だが、基本はBMW・Z4の新型(G29)のクーペ版と云って良いと云うのが真相ではないだろうか。そもそも、トヨタはBMWとは2011年以来技術提携しておりトヨタ製ディーゼルエンジンをBMWに供給したりという動きはあった。それが、トヨタで新スポーツカーを企画するに当たり、さほど需要が見込めないこの分野に新規開発をゼロから開発するムダを省き、しかしラインナップアイテムとしては欲しいということからBMWに声を掛けたと云うところが真相ではないだろうか。
そもそもBMWはZ4シリーズというのが、2003年以来継続販売しており、その3代目が今回のG29型となる。今回のG29以前のZ4シリーズの歴史を振り返ると、初代のE85はホロタイプだったが、ちょっと遅れてクーペボデーのE86が追加されている。このE85、86だが、まったくの新規開発かと云えばそうではなく、同時代の3シリーズセダン(クーペ、ワゴン含む)のE46型と前部骨格だとかサスペンション構成部品、エンジン、TM、デフなどの、パワーユニットや動力伝達系は相当に共通部品を持つ車両であった。
Z4シリーズは、2009年にフルモデルチェンジを行い、E89モデルとなった。それまでのホロから、バリオルーフと呼ぶ折りたたみ収納可能なオープンボデーだが、ルーフを閉じればクーペ相当の車両となることから、クーペが開発されることはなかった。なお、E89モデルも、同時代の3シリーズモデルである3シリーズ(E90)と相当な互換部分を持っていた。
そして、2019年にフルモデルチェンジしたZ4がG29モデルだ。初代と同じく、やはりその雰囲気が好まれると思考しただろう、ホロタイプに回帰している。なお、E85やE89と同じくやはり現行の3シリーズであるG20とは相当な互換部品があると考えて良いであろう。
ただし、E46もE85も同時期に相当な距離数乗り回したことがあるので、様々な評価意見と下せると思っているのだが、互換部品は多くエンジン型式も同じとはいえ、その外見が車高が低くホイールベースが短いだけの小さな違いかと云えば、そういう感覚はまるでない。
エンジンなどは、これが同じ型式のエンジンかと訝るほど、吹き上がりのイナーシャ感が小さく、排気音などまるで異なる。
走りの性能も、ステアリングオーバーオールレシオ(ロックツウロック)が、E46で2.5回転程度が、E85では2回転程と小さくなされていたり、絶対的な車高(最低地上高)が低められているので、有効なホイールトラベル減少に伴い、バネレートやダンパー減衰力は強められており、E46であったしなやかな足の動きはかなり失われているが、その分スポーティ感が強められている。ただし、ショートホイールベース化されているにも関わらず、立体駐車場等での傾斜が急に変わる局面では、前端下部が触れるよりも、フロア中央部付近が触れてしまうと云う程に車高が低く過ぎ、路面形状には気を使い過ぎる車高の低さと感じた。
ところで、BMWでは、5シリーズ(E60)から採用されだした、ダッシュパネル前のアルミ骨格構造だが、その後7シリーズなどにも同一技術は使われる様になっていたが、最量販車種である3シリーズには、前モデルのF30までアルミ化なされることはなかった。これは、アルミ化によりFRレイアウトながら、エンジンの後退化(フロントミドシップとも呼ばれる)と共に、旋回時のレスポンスに影響する車両前部マスの低減に効果があることは利点だが、クラッシュ時の修理性に難点が出てくることを考慮していたからとは筆者の解釈だ。しかし、現行G20型では、先行した5、7シリーズと同様に、車両前部骨格のアルミ化がなされた。この構造は、そっくり新型Z4であるG29やそのクーペ版となるルー-プラDBにも引き継がれている。
なお、エンジンは6気筒は3LはB58B30AからB58B30Bで40ps程出力アップしているが加給の程度を上げたに過ぎないのではないだろうか。TMはZF製8速トルコン付きステップATのみの設定となってる。なお、4気筒モデルはB48B20AとB48B20Bの2種があり最大出力が異なり70psほど違うが、これも加給圧の違いと付帯した冷却系の余裕の違い程度であろうと想像する。なお、この6気筒3Lと4気筒2Lは、単シリンダー500ccとなり、BMWが他ブランドであるミニなどで4気筒2Lと3気筒1.5Lでやっているのと同様なモジュラーエンジンというもので、燃焼室形状やインテーク、エキソーズトバルブ、カムトレイン機構などを共通化させている。なお、Z4(G29)およびスープラ(DB)共に、6気筒および4気筒でカムトレイン機構は、エンジン後端部に装着される。つまり、フライホイール(というかドルコンの付くドライブプレート)の前に位置する。
ただし、E85の前提となったE46との違いで述べた様に、スペック上同じ馬力であっても、その吹き上がりのシャープさなどイナーシャ感はトルクコンバーターの容積などを含め相当な感覚上の違いを出しているのではないのかと予想する。
ところで、BMWにとっては苦言となるが、この最新型エンジンだが、未だにバルブトロニックという吸気弁の開度で吸入空気のコントロールを行う方式を踏襲している。なぜ、この方式が優れていたかは、低負荷時のスロットルバルブ開度が小さい領域において、給気管負圧が大きくなることによる絞り損失をなるべく少なくすることにあった。
このメカがBMWで出され、多少の間をおいたがトヨタやニッサンでも同等のエンジンを作り出したが、継続生産されることはなかったし、その他世界のメーカーでも追随する動きはなかった。
この理由を筆者は、以下と解釈している。
つまり、EGRの装着に理由はあるのだ。EGRは排気ガスを吸入空気に還流させることで、燃焼温度を抑えてNOxを減少させる効果を持つが、ガソリンエンジンの場合、三元触媒を使う前提でEGRは必用はないのだ。
ただし、ディーゼルでは、その出力調整を吸入空気ではなく燃料噴射量で行っており、例えスロットルバルブが付いていたとしても、運転状態としてのスロットルベダルの動きに連動せず、常に目一杯の吸入空気が送られており、ディーゼルの給気管負圧が高まることはほぼない。つまり、ディーゼルエンジンというのは、余程の高負荷でない限りほとんどの運転状態でリーン燃焼している訳で、三元触媒を使用することはできない。従って、NOxを低減するには、EGRを掛けるが、掛け過ぎると出力低下と燃費の悪化を招くので、昨今は尿素SCR方式で、NOxを還元する方式が主流になっているのだ。
と、だいぶ回り道をしたが、ガソリンエンジンにあえて必用ないEGRが最近何故付き始めたのかということにやっと戻るのだが、排気ガス(概ねCO2と考えて良いだろう)を吸気に還流させることで、燃えない気体を給気管に導くことで給気管負圧を低下させ絞り損失を低減するのが目的で、BMWが金掛けて高精度なインテーク機構でやっていることを、EGRというおそらくコスト的には1/10以下で同様の効果を得ているのがガソリンエンジンのEGR機構なのだ。しかも、バルブトロニックは、燃費に関係ないアイドルとか減速時にも働き、常時給気管負圧は小さいがため、ブレーキ用バキュームブースタ用にバキュームポンプまで必用となるが、EGR機構なら必用に応じてカットできるので、アイドルや減速時などの燃費に関係ない領域ではカットオフしており、EGRを掛けるのはあくまで軽負荷巡航時のパーシャルスロットル領域だけだ。全負荷に近い領域では、スロットルバルブが全開しており給気管負圧は小さくなるというかターボ加給のこのクルマでは正圧以上になる。
#スープラ DB型 研究