追突事故と火災【燃料タンク位置】

　Youtube動画の追突事件風景だが、アップ府付け比較的最近だが、追突実験は１９７８年と比較的古い。
　実験は停止の小型乗用車に大型セダンが56km/h（35mph)で追突しているのだが、スローモーション画像を見てもらえば判りますが、たぶん被追突車のトランク床下の燃料タンクが圧壊したのでしょう。左後輪後ろから燃料が噴き出しています。そのまま、、大型セダンは押し込んで進みますが、やがて揮発したガソリンに、接触部位の金属同士の火花などから点火したのでしょう。火炎が一気に広がります。

　これは燃料タンクの装着位置がトランク床下に合ったのでしょう。また、給油口も左後輪後ろ部辺りにあったのかもしれません。それで、この様な異なるとはいえ、乗用車同士の追突事故でもガソリンが漏れ火災に至っているのです。

　ちなみに筆者は、４０年を超えて車の構造や交通事故の減少を見てきたのですが、衝突安全ボデーなどと云う言葉が出だした頃、年度で云えば１９９０年がスカイラインＲ３２発売年ですが、この車両の燃料タンクはトランク床下に吊り下げて取り付けられていました。一般的な乗用車は以前は、このトランク床下の装着が一番多かったことを思い出します。なお、衝突の変形特性というのが車両の構造によってある程度違いが生じる訳ですが、このトランク床下に燃料タンクが装着されているボデーでは、燃料タンクの上に立てに縦貫しているサイドメンバーが強く、後部を強くぶつけても、タンクの変形が生じない様に留意はされていたものです。一般的には、タンクの前部となる、サイドメンバーがセンターフロアーからリヤサスペンションの干渉を逃れるため山になっているのですが、この部位で座屈をして衝撃を吸収するという特性があったものです。

　ちなみにスカイラインはＲ３３以降は、燃料タンクの位置を、現在の一般的乗用車でもっとも多い位置となる、後部座席床下に移動しています。ただ、高の位置にタンクを設置するとなると、特にＦＲの場合は顕著になるのですが、タンク中央部をくびれさせた、いわゆる鞍型燃料タンクになり、燃料残量が少なくなった場合の燃料油面を左右で揃える機構と云うと大げさですが工夫が必要になって来ます。なお、トランク床下に燃料タンクがなくなったボデーでは、車体後部のつぶれ剛性を意図的に落とし、昔のクルマより大きくつぶれる様になりました。




The most surprising crash tests　2020/11/19
https://www.youtube.com/watch?v=y7MxjFheykE&list=LL&index=1