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ダイカストの最新技術

2022-06-07 | コラム
ダイカストの最新技術
 ダイカスト(キャスト)という技術は、鋳造の一種で溶融金属を鋳型の空間(キャビティと呼ぶ)内に注入して冷間硬化させ、製品を取り出す点では、昔からとか現在でも鉄製品など溶融温度が高い金属では使われている砂型鋳造という技術を、砂型の場合は毎回砂型を壊して取り出すのだが、ダイカストでは砂型ではなく精密金型を使用し、溶融金属の注入も極めて高圧で行うと云う違いがある。このことは、製品のサイクルタイムが極めて速いことや全自動化が図れるとか、寸法精度が高く、製品表面波だが美しいなど利点が多く、現代のマスプロダクション製品の金属製品には数多く使用される。

 一方、金属ほどの応力は不要で、しかも軽くて安価な成型品には、射出成型という工法が多用されている。この代表例が、プラモデルというのがあるが、組み立て前のプラモデルがランバーという樹脂の流れる経路に沿って個別部品が流れて作られている点で、ダイカストと類似する部分がある。

 そんなことから、ダイカストを作る機械であるダイカストマシンと射出成形機は動作原理とか、金型を使用する点では共通性があるのだ。

 さて、沼津市内には芝浦機械(元東芝機械)という日本でも有数の大型ダイカストマシンや射出成形機を作る企業がある。そこの企業の方に、最近の現状をちょっと聞く機会があったので、そのことを書き留めてみたい。

 ダイカストマシンは、その型締力(金型(固定型と可動型の2つ)を押し付ける力で、その機械の大きさとか金型の最上限サイズが決まる様だ。そこで、日本でも最大クラスとなる2500~3500トンクラスのダイカストマシンを作っているのは、この芝浦機械と宇部マシナリー(セメントの宇部興産系企業)の2社だという。この最大クラスのダイカストマシンを使って、現在のシリンダーブロックは多くが作られているほか、トランスミションケースとかベルハウジングなどもダイカスト製がほとんどだろう。なお、これらダイカストマシンを使用して、ダイカスト製品を作っている企業として、日本では有数なのがリョービという企業だという。BtoC企業としては、釣り具の企業のイメージがあるが、BtoB企業として、リョービのダイカスト製品は各車両メーカーやサプライヤーに供給され続けている様だ。



 ところで、型締力が大きくなど程、金型を取り付けるダイ(金型を示す用語)プレートが大きくできるのだが、なせその様な高い力で金型を押し付けなければならないかといえば、2つの金型を密着後、溶融金属をプランシャーという溶湯供給口から圧入するのだが、この圧力が半端ない程大きいそうなのだ。そのため、ダイの大きさが広がる程、その反発に耐えるには、型締力を上げる必用があるらしい。このダイカストのプランジャー圧は、樹脂射出成形の場合の10倍を超えるとの説明であった。なお、添付図2枚は溶湯の温度をシミュレーションした図だが、この様な経路で高圧プランジャーで注入され、注入部はビスケットという俗称で呼ばれるが、整形後切断され再熔解されて再利用される。

 この様にダイカスト製品は、エンジンとかメカニカルな部分に使われて来たのだが、最近の新型車などでは、フロント骨格のいわゆるストラットタワー部のみアルミダイカスト製にするのがある意味共通項になっている。これは当初はR35・GTRなどや、ドイツのベンツなどがやり始めたのだが、今やBMWミニ、レクサスなどのストラットタワー部もアルミダイカスト製になっている。


 なお、もっと驚くことは添付図のフロント骨格すべてがアルミダイカストの写真を見て欲しい。これはテスラモデルYだと説明されているが、これでは衝突変形で直せない構造であることを、ボデー修理の技術者なら直感できるだろう。


 拙人は、現在のASVが目指す先にあるのは自動運転車もしくは無人運転車の時代には、およそクルマのスタビリティがとか運動性能がという要素はなくなっていくと予見している。そういう時代、以下にコスト安で共通化した車台を作るかという時代になるだろうと予見している。最終的には、ボデーも各部位のユニット化が進む方向だろう。このテスラの骨格写真は、そのことを事実として示していると思うところだ。


#ダイカスト #ダイカストが自動車のボデーもユニット化する


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