私の思いと技術的覚え書き

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ターボ+水噴射付加の時代が来るのか?

2015-07-12 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 ネット記事で、BMWが市販車にダイレクト・ウォーター・インジェクションなる新たなデバイスを導入するとのことを知りました。これは、あたかも新しい技術の様に感じる方もいるのでしょうが、第二次大戦中の航空機用レシプロエンジンに採用されていた、いわゆる「水噴射」のリバイバルなのでしょう。

 大戦中の航空機用レシプロエンジンは、総排気量が2~3万ccにもなる巨大なもので、さらに遠心式の過給器(スーパーチャージャー)が併用されているものがコンベンショナルな仕様であったとのことです。この様な超大排気量の火花点火式エンジンは、シリンダー総数を増やすにも限界がありますから、単室シリンダーのボア径が150mm近くにまで達してしまうものも多く、常にノッキング、デトネーション、プレイグニッションなどの問題から逃れることは困難で、なんとかスペック出力をださんがために、超高オクタン価のガソリンが要求された訳です。しかし、日本など高オクタン価ガソリンを精製するのも困難となった結果、窮余の策として水噴射が導入されていたとのことの様です。(高空の低気温下での凍結防止の必用から、アルコールと水の混合による水メタノール噴射という装置ではあった様です。)

 今回のBMWエンジンですが、詳細はまだまだ未知なるものではありますが、ダイレクトと表現されるもののシリンダー内直接の意ではない様です。吸気ポートなのか、さらに上層のサージタンク内なのか判りませんが、ある程度の高圧で吸気中に霧化して噴射させてやることにより、水の気化潜熱により吸気温も下げられる、燃焼室内温度も下げられる、点火タイミングのリタードも少なくでき、エンジンの要求オクタン価も下げられる、もちろん圧縮比の設定も高めを狙う、という結果として熱効率も向上するというものなのでしょう。

 しかし、こんな昔からあった技術のリバイバルが何故今なのか?こんなことは、世界中の各自動車メーカー共に気付くし、何らかの実験や試作は行って来ていたと思えます。それが、リバイバルとしてもBMWが再登場の口火を切ったのは何故なのか?

 新たなデバイス採用は、使用過程において新たなトラブルを生じるリスクが増加すると感じます。ガソリン直噴がインテークポートや燃焼室のカーボン堆積やオイルの汚損増加を招いた様に、水噴射も、燃焼室内の腐蝕、シリンダー摩耗の増加、オイル汚損増加など、予想しうるところだと感じてはいるのですが・・・。


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