※昨年の記事だが、改めて再掲してみます。
2017-05-18 | コラム
近年の排ガス対策されたディーゼルエンジンには、DPF(Diesel particulate filter)が排気管に付き、排気ガスのPM(Particulate matter=粒子状物質=煤)をトラップしている。昨今のディーゼルは、超高圧の電子制御燃料噴射(いわゆるコモンレールシステム)が当然となったが、それでも減ってはいるが煤は出るのだ。それ故、シリンダー壁を流れ落ちた煤によりオイルは黒化するのだ。では、何故ディーゼルエンジンに煤が生じ易いのかといえば、ガソリンエンジンと違い、噴射燃料だけで出力をコントロールしているディーゼルは超希薄空燃比での運転が可能で、CO、HCは少ない。いわゆる圧縮着火による拡散燃焼であるが、一般的なガソリンエンジンの混合気の吸気ではなく、燃焼室内において空気と直接噴射された燃料は交わるのだが、交わり切れない部分が生じる。これは、燃焼室壁面近くに空気と交わり切れず燃え残り炭化した煤が生じるということの様だ。昨今のコモンレールレールの高圧化は、より微口な多憤穴ノズルによる微粒子噴霧により、燃え残りを少なくしたいという思いがなしているのだが、DPFを不要としたディーゼルは困難だろう。(※マツダのSKYACTIVは現在国内仕様はないが北米仕様はDPF付きだ。)
一方、火花点火式燃焼のガソリンエンジンでも、昨今はターボとの組み合わせにおいて排気量が小さくなる傾向にあり、その中で直接噴射方式が増加し、プレイグニッション防止や圧縮比の低減を少なくしてきている。しかし、今のところ規制はなくDPFも装着されないが、ディーゼルと同様にPMは多くなってきている様だ。このことは直接噴射式エンジンのオイルの黒化から明かなことだろう。何れはガソリンエンジンでも、PM規制からDPF付きが採用されるのかもしれない。
さて、本論のDPFだが、最近の装備車にはメーター内にDPFの目詰まり具合を示すインジケーターが装備されている。これはDFPの入口と出口の差圧をセンシングしてインジケートする訳だ。しかし、ちょっと前の年式や後付けDPF装備車だと、DPFインジケート機能がなかったり再生機能がない。ところで、継続検査においてディーゼルエンジン車は、黒煙(ディーゼルスモーク)試験を受けるが、結構新しいコモンレールディーゼル車でも、不合格になる事例がある。DPF再生機能があれば、当然それを行うか、スキャンツールなどで強制DPF再生モードを行えば良いのだが、DPF再生機能もない場合どうするか?
どうしてもダメなら、DPFを外して洗浄を行う専業社に依頼することになるのだろう。但し、インジケート機能の付いているクルマを、ある程度走らせて見れば判ることだが、増加したメーターが、走行パターンで減じる現象に気付くことだろう。その走行パターンとは、高速道路などでの高速高回転の連続なのだ。つまり、排気温度が高温になることによって、DPFのセルフクリーニングがなされるということだろう。
表題のもう一つ、オイル交換のインターバルについてだが、昨今はメーカーを問わずやけに伸びて来ている印象を持つ。昨日も、三菱ふそうのディーラーへ大型バスのリコール対象車を持ち込んだ際、「最新型のオイルインターバルをメーカーは何キロ毎と云ってる?」と問えば、「35千キロ毎とのこと」。「それで大丈夫なの?」と更に問えば、「これは路線用貨物車みたいに高速主体で年間走行10万を超える様なクルマでは大丈夫だろうけど、近距離の小口輸送用貨物などには、お勧めしていない」との返答であった。以前もBMW車で25千キロ毎交換の指定を疑問視した記事を掲載した際、同様の思いを持たれている方(たぶんBMWを多く手掛けている自整業の方)より、同意として「家では25千キロの半分での交換をお勧めしているが、エンジン内部のトラブルが大きく減ったと」するご意見を戴いた。
当件について思うのだが、新車から5~6万キロ(期間にすれば3~4年)は、長いインターバルでもスラッジはさほど堆積せず平気だろうが、それを越えて長期間となると、スラッジは確実に堆積するだろう。特にディーゼルやガソリンでも直噴だとカーボン混入により、黒化しつつ汚損増大する。25千とか35千キロの間には正常であってもオイルの消費により減り補充する必用がある場合も多いだろう。それを補充してまで乗り続けるなら、いっそ交換してしまうのが正解なのではと感じるのだ。特に最近のエンジンは、カム進角機能など油圧を利用して、ソレノイドで流量制御と位置センサーで作動角の検出を行うなどのメカが増えているが、これらのトラブルの根本原因にオイル汚損にあるとい事例は結構ありそうだ。
そして、過日記したDPF再生機能に起因するオイルダイリューション(希釈)の問題もある。個人的に所有欲は到底持たぬが、欧州ではディーゼル乗用車の人気が高く、BMWなどは力を入れており正規輸入されるBMWでも、横に停止したBMWの新しいクルマの軽いディーゼルノック音でそれと判る機会が増えている。しかし、ディーゼルにおいても25千インターバルをやってることだろうし、例のエンジンオイルレベルゲージが電子式だろうけど、基準以下に減ったのは検出し警告するだろうが、基準を超えてオーバーしたのは検出して警告するのだろうか?
2017-05-18 | コラム
近年の排ガス対策されたディーゼルエンジンには、DPF(Diesel particulate filter)が排気管に付き、排気ガスのPM(Particulate matter=粒子状物質=煤)をトラップしている。昨今のディーゼルは、超高圧の電子制御燃料噴射(いわゆるコモンレールシステム)が当然となったが、それでも減ってはいるが煤は出るのだ。それ故、シリンダー壁を流れ落ちた煤によりオイルは黒化するのだ。では、何故ディーゼルエンジンに煤が生じ易いのかといえば、ガソリンエンジンと違い、噴射燃料だけで出力をコントロールしているディーゼルは超希薄空燃比での運転が可能で、CO、HCは少ない。いわゆる圧縮着火による拡散燃焼であるが、一般的なガソリンエンジンの混合気の吸気ではなく、燃焼室内において空気と直接噴射された燃料は交わるのだが、交わり切れない部分が生じる。これは、燃焼室壁面近くに空気と交わり切れず燃え残り炭化した煤が生じるということの様だ。昨今のコモンレールレールの高圧化は、より微口な多憤穴ノズルによる微粒子噴霧により、燃え残りを少なくしたいという思いがなしているのだが、DPFを不要としたディーゼルは困難だろう。(※マツダのSKYACTIVは現在国内仕様はないが北米仕様はDPF付きだ。)
一方、火花点火式燃焼のガソリンエンジンでも、昨今はターボとの組み合わせにおいて排気量が小さくなる傾向にあり、その中で直接噴射方式が増加し、プレイグニッション防止や圧縮比の低減を少なくしてきている。しかし、今のところ規制はなくDPFも装着されないが、ディーゼルと同様にPMは多くなってきている様だ。このことは直接噴射式エンジンのオイルの黒化から明かなことだろう。何れはガソリンエンジンでも、PM規制からDPF付きが採用されるのかもしれない。
さて、本論のDPFだが、最近の装備車にはメーター内にDPFの目詰まり具合を示すインジケーターが装備されている。これはDFPの入口と出口の差圧をセンシングしてインジケートする訳だ。しかし、ちょっと前の年式や後付けDPF装備車だと、DPFインジケート機能がなかったり再生機能がない。ところで、継続検査においてディーゼルエンジン車は、黒煙(ディーゼルスモーク)試験を受けるが、結構新しいコモンレールディーゼル車でも、不合格になる事例がある。DPF再生機能があれば、当然それを行うか、スキャンツールなどで強制DPF再生モードを行えば良いのだが、DPF再生機能もない場合どうするか?
どうしてもダメなら、DPFを外して洗浄を行う専業社に依頼することになるのだろう。但し、インジケート機能の付いているクルマを、ある程度走らせて見れば判ることだが、増加したメーターが、走行パターンで減じる現象に気付くことだろう。その走行パターンとは、高速道路などでの高速高回転の連続なのだ。つまり、排気温度が高温になることによって、DPFのセルフクリーニングがなされるということだろう。
表題のもう一つ、オイル交換のインターバルについてだが、昨今はメーカーを問わずやけに伸びて来ている印象を持つ。昨日も、三菱ふそうのディーラーへ大型バスのリコール対象車を持ち込んだ際、「最新型のオイルインターバルをメーカーは何キロ毎と云ってる?」と問えば、「35千キロ毎とのこと」。「それで大丈夫なの?」と更に問えば、「これは路線用貨物車みたいに高速主体で年間走行10万を超える様なクルマでは大丈夫だろうけど、近距離の小口輸送用貨物などには、お勧めしていない」との返答であった。以前もBMW車で25千キロ毎交換の指定を疑問視した記事を掲載した際、同様の思いを持たれている方(たぶんBMWを多く手掛けている自整業の方)より、同意として「家では25千キロの半分での交換をお勧めしているが、エンジン内部のトラブルが大きく減ったと」するご意見を戴いた。
当件について思うのだが、新車から5~6万キロ(期間にすれば3~4年)は、長いインターバルでもスラッジはさほど堆積せず平気だろうが、それを越えて長期間となると、スラッジは確実に堆積するだろう。特にディーゼルやガソリンでも直噴だとカーボン混入により、黒化しつつ汚損増大する。25千とか35千キロの間には正常であってもオイルの消費により減り補充する必用がある場合も多いだろう。それを補充してまで乗り続けるなら、いっそ交換してしまうのが正解なのではと感じるのだ。特に最近のエンジンは、カム進角機能など油圧を利用して、ソレノイドで流量制御と位置センサーで作動角の検出を行うなどのメカが増えているが、これらのトラブルの根本原因にオイル汚損にあるとい事例は結構ありそうだ。
そして、過日記したDPF再生機能に起因するオイルダイリューション(希釈)の問題もある。個人的に所有欲は到底持たぬが、欧州ではディーゼル乗用車の人気が高く、BMWなどは力を入れており正規輸入されるBMWでも、横に停止したBMWの新しいクルマの軽いディーゼルノック音でそれと判る機会が増えている。しかし、ディーゼルにおいても25千インターバルをやってることだろうし、例のエンジンオイルレベルゲージが電子式だろうけど、基準以下に減ったのは検出し警告するだろうが、基準を超えてオーバーしたのは検出して警告するのだろうか?