事故車の復元修理という商品を購入するユーザーの視点で考えたとき、その工場の選択や価格の妥当性を判断することは、なかなか難しいことであると思います。事故復元修理が完了してから、その修理品質に不満足という思いを抱くユーザーは結構多いものですし、そこまでのユーザーの不満が生じない場合でも、それなりのクルマを知る者から見れば、なんて下手な修理が為されたんだと知る機会もあります。
それと、復元修理の直後は、品質上の問題がないからといって、数ヶ月から半年後位に、塗膜面に膨らみ(ブリスターと云う)が生じたり、塗膜面にパテ跡やペーパー目が表出して来るなんているケースは時々あります。
また、1年後や2年後に腐蝕が生じて来たなんて云うものまで考えれば、復元修理の施工について、如何にその良否が問題を生み出している場合が多いのかを感じます。
以上は、主に美観のことですが、修理後に走行スタビリティ(安定性)に変化を生じたり、酷い場合は、タイヤに片減りが生じたなんてこともあります。
私もクルマとの付き合いは30年を超えますし、その間にクルマのディーラーでのサービスメカニックとして、その後は保険会社に所属するアジャスターとして、事故車とその復元修理というものを、身近に接して来た訳です。
例えば、復元修理に使用される塗料として、昔はラッカーが主流でしたので、新車ラインでの熱硬化型塗料との耐候性に違いは歴然と大きく、塗装修理した部位の経時変化による黄変化や燃料注入口付近の変色なんかは、当たり前のことでした。しかし、今やウレタン塗装が主流ですから、耐候性は新車の熱硬化型とほとんど遜色なくなりました。ウレタン塗料の中には、熱硬化型より耐候性等の諸性能が優れたものさえあります。ですから、塗料自体の耐候性の差による復元車両の見劣りはないのですが、その色味の差異やメタリック塗装等でのムラや粒子の不揃い、そして表面肌(ラウンド等と云う)の違い等々、施工する工場毎に違いが生じてることを見て来ました。
一方、その復元修理の価格は、先に記した復元修理の品質と必ずしもリンクしている訳でもないことも度々感じて来ました。つまり、修理費が高い工場である程、必ずしも高い修理品質が生み出されている訳でもないのです。
以上の様に、事故車の復元修理という商品は、購入するユーザーの視点に立てば、極めて商品選択が難しいものであると断言できるものと感じます。
話しはちょっと変わりますが、昔、調査先のある工場経営者さんから「◎◎君(私の名)、家の工員は腕が悪いから時間が掛かるんだ、そこを考えて見積を作ってくれよな」と云われたことがありました。これは、私が保険会社アジャスターであるからこそ、云えた言葉でありましょうし、冗談としての言葉であったと思います。しかし、ある意味で真実を含んでいるものとも感じられました。
事故復元車両の修理は、そのほとんどが人間によって為されます。その人間の技術力の優劣により、要する時間は、場合によれば数倍以上にさえ差異を生じる場合だって珍しいことではないのだと認識されます。
ですから、技術力のない工場程、その価格は高くなる要素を持っているとも云えます。そんな不合理を防ぎ、ユーザーの信頼を得る目的として、それなりの機関において工数だとか指数等の、いわば標準的な作業時間表というものが策定されているのです。しかし、板金・塗装という作業については、事故損傷車とは事故の大小や部位を含めそれぞれ違う訳ですから、指数の策定範囲にもおのずと限界がありますし、従来の知見や経験を踏まえた感により行わざるを得ないものなのです。
この修理費というものに含まれる諸問題点は、まだまだ記したいことが多くありますので、今後機会を改めて記したいと思っています。
最後に、私が訪問先の板金工場で、最も真剣に注意深く自己見積を作る工場のことを記します。その様な工場とは、私が自己見積を提出すると、何も文句を云われず、そのままになってしまう工場なのです。ある意味しっかりした工場は、私の自己見積に落ち度があれば、必ず云って来ますから、ある意味安心しているのです。まあ、それでも、余りいい加減な自己見積を作ると馬鹿にされますから、なるべく正当な見積作りに留意はしていますが・・・。
それと、復元修理の直後は、品質上の問題がないからといって、数ヶ月から半年後位に、塗膜面に膨らみ(ブリスターと云う)が生じたり、塗膜面にパテ跡やペーパー目が表出して来るなんているケースは時々あります。
また、1年後や2年後に腐蝕が生じて来たなんて云うものまで考えれば、復元修理の施工について、如何にその良否が問題を生み出している場合が多いのかを感じます。
以上は、主に美観のことですが、修理後に走行スタビリティ(安定性)に変化を生じたり、酷い場合は、タイヤに片減りが生じたなんてこともあります。
私もクルマとの付き合いは30年を超えますし、その間にクルマのディーラーでのサービスメカニックとして、その後は保険会社に所属するアジャスターとして、事故車とその復元修理というものを、身近に接して来た訳です。
例えば、復元修理に使用される塗料として、昔はラッカーが主流でしたので、新車ラインでの熱硬化型塗料との耐候性に違いは歴然と大きく、塗装修理した部位の経時変化による黄変化や燃料注入口付近の変色なんかは、当たり前のことでした。しかし、今やウレタン塗装が主流ですから、耐候性は新車の熱硬化型とほとんど遜色なくなりました。ウレタン塗料の中には、熱硬化型より耐候性等の諸性能が優れたものさえあります。ですから、塗料自体の耐候性の差による復元車両の見劣りはないのですが、その色味の差異やメタリック塗装等でのムラや粒子の不揃い、そして表面肌(ラウンド等と云う)の違い等々、施工する工場毎に違いが生じてることを見て来ました。
一方、その復元修理の価格は、先に記した復元修理の品質と必ずしもリンクしている訳でもないことも度々感じて来ました。つまり、修理費が高い工場である程、必ずしも高い修理品質が生み出されている訳でもないのです。
以上の様に、事故車の復元修理という商品は、購入するユーザーの視点に立てば、極めて商品選択が難しいものであると断言できるものと感じます。
話しはちょっと変わりますが、昔、調査先のある工場経営者さんから「◎◎君(私の名)、家の工員は腕が悪いから時間が掛かるんだ、そこを考えて見積を作ってくれよな」と云われたことがありました。これは、私が保険会社アジャスターであるからこそ、云えた言葉でありましょうし、冗談としての言葉であったと思います。しかし、ある意味で真実を含んでいるものとも感じられました。
事故復元車両の修理は、そのほとんどが人間によって為されます。その人間の技術力の優劣により、要する時間は、場合によれば数倍以上にさえ差異を生じる場合だって珍しいことではないのだと認識されます。
ですから、技術力のない工場程、その価格は高くなる要素を持っているとも云えます。そんな不合理を防ぎ、ユーザーの信頼を得る目的として、それなりの機関において工数だとか指数等の、いわば標準的な作業時間表というものが策定されているのです。しかし、板金・塗装という作業については、事故損傷車とは事故の大小や部位を含めそれぞれ違う訳ですから、指数の策定範囲にもおのずと限界がありますし、従来の知見や経験を踏まえた感により行わざるを得ないものなのです。
この修理費というものに含まれる諸問題点は、まだまだ記したいことが多くありますので、今後機会を改めて記したいと思っています。
最後に、私が訪問先の板金工場で、最も真剣に注意深く自己見積を作る工場のことを記します。その様な工場とは、私が自己見積を提出すると、何も文句を云われず、そのままになってしまう工場なのです。ある意味しっかりした工場は、私の自己見積に落ち度があれば、必ず云って来ますから、ある意味安心しているのです。まあ、それでも、余りいい加減な自己見積を作ると馬鹿にされますから、なるべく正当な見積作りに留意はしていますが・・・。