国交省は、衝突被害軽減ブレーキや、夜間自動ライトなどの装着義務化に後方カメラなど、車両後部の安全装置を装着義務化の方針でいることが報じられている。この件について、方針の制定化に向けて、現在パブリックコメント(以下パブコメ)の募集がなされている。
当件については、私の意見は基本的に反対なのだが、パブコメとして提出した私の憂慮する考え方を紹介してみたい。
【送信メール内容】
見出し:【パブコメ】道路運送車両法の保安基準一部改正(後退時の車両直後確認装置)
【本文】
国土交通省自動車局安全・環境基準課 意見募集担当 あて
道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令案及び
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部を改正する告示案に対する意見
氏名 ** *
住所 沼津市*****
電話 090-****-****
email ******@wise-net.co.jp
【意見本文】
保安基準の改定として、後退時に運転者が運転者席において自動車直後の状況を確認できる装置を備えなければならないことを新設するとのことだが、結論的には反対する。
この理由は、過去からよりも近年の方が多くなっている傾向すら感じる、いわゆる自分の子供を引くなどの事故が絶えないと云うことを上げなければならないだろう。想像も含むが、これらの該当車には、いわゆるバックカメラやバックソナーなる、後方各に装置が装備されていた可能性も高いと思われるのにも関わらずだからだ。
では、何故この様な装置が装備されているにも関わらず、先の様な事故が継続して生じているのかを考察してみたい。
私は過去にある保険会社の事故調査担当者として30年近く勤続してきた者だが、そもそもこういう事故を生む運転者というのは、乗用車など後方を振り向けば直接視認が可能であるのに、あえて後方を直接視認もせず、運転席前方の後方カメラモニターだけを見つつ運転を行っていたことが想像される。また、後方カメラがない場合でも、なんらか後方に障害物があれば後方ソナーの警報音もしくはモニターでの表示がされるからと、同様の運転操作を行っていたとも思える。
以上のことから、今回の告示案は、そもそも乗用車などで後方を振り返れば直視が可能な車両でさえ、ますます直視を行う運転者の減少を招きかねない処置だと懸念するのだ。
子供なお、いわゆる親族間事故の場合、子供の行動把握が杜撰であることが、先の事例の様な事故を招いているのだろうが、子供は固定しておらず動き回るということがある。
つまり、直前も後方カメラモニターの視覚には写らなかったものが、事故直近に視覚に入る訳だが、そもそも後退時に後方カメラモニターだけを見続ける訳にもゆかず、この様な事故が生じてしまうのだろう。
ということで、すべての乗用車において、本件の様な後方監視装置の装着を義務付けることは、今よりさらに後方を現認しようとする運転者を減少させる恐れが多く、反対せざるを得ないと考える。
なお、貨物車など、その装備の関係上、そもそも後方直後が見えない構造の車両にあっては、本装置の装着義務付けは妥当だろうと思える。
さらに追記しておきたいが、昨今、一般の乗用車であっても、外観意匠優先で、何ら改造などしていないメーカーの標準仕様であっても、後方視界が悪すぎる車両が増えつつある様にも感じることがある。また、前方も急傾斜フロントガラスと太いフロントピラーが前方視界に広く入り込むことにより、主に右斜め前の死角が大きい車両が増えすぎたとも感じている。この様な、運転中の直接視界を、一定の基準で確保しつつ、あまりに杜撰ともいえる概観意匠優先の製造者を規制するのも、保安基準の役目ではないだろうか。
以上
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【伝える報道内容】
衝突被害軽減ブレーキ、オートライトに続き、後方カメラも義務化か
2021年4月1日、国土交通省は自動車の後方部分にカメラやセンサーを装着することを義務化する方針を明かしました。
近年では、衝突被害軽減ブレーキやオートライトなど安全に寄与するさまざまな機能が義務化されていますが、今回の後方カメラやセンサーはどのような経緯で義務化されるのでしょうか。
現状のバックカメラは、車種によって標準装備やオプションとなり、装着度合いは異なっている。
現状のバックカメラは、車種によって標準装備やオプションとなり、装着度合いは異なっている。
今回の後方カメラやセンサーに関する内容は、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で「後退時車両直後確認装置に係る協定規則」が新たに採択されたことをうけて2021年3月30日に開かれた「令和2年度第3回車両安全対策検討会」にて検討されました。
改正案としては、自動車の後退時に発生する事故に対する安全対策の強化のため、後退時車両直後確認装置(後方カメラ、検知システムまたはミラー)を車両に備えるというもの。
適用範囲は、二輪自動車、側車付自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車などに加え、バックミラーの装置を備えることができない車両を除く、自動車が対象です。
主な要件としては、車両直後のエリア内の障害物を確認できること、確認手段はカメラ、検知システム又はミラーによることとされています。
法改正時期の予定は2021年6月上旬とされ、適用時期は新型車が2022年5月、継続生産車は2024年5月と予定されています。
この改正案について、2021年4月1日から5月1日までの期間、国土交通省のパブリックコメントにて意見を募集しています。
今回の後方の安全システムの義務化について、国土交通省の担当者は以下のように話します。
「後方安全システムの義務化について、駐車場での後退時に子どもやお年寄りを死傷させてしまう事故を減らすことが目的で、導入の検討が開始されました。
今回、さまざまなメディアでニュースとなっているのは、装備の導入にあたり告示したパブリックコメント募集についてです。
そのため、国土交通省からの公式発表はまだおこなっておりません。
現在はパブリックコメントを募集しているので、さまざまな意見を取り入れながら法改正の準備を進め、新型車に関しては2022年5月を目処に施行する予定となっています」
※ ※ ※
今回の報道では、あくまで国土交通省の公式発表ではないものの、後方カメラ、ミラーの取り付けを義務化する規定について、準備が進められているようです。
また、改正案では後方に取り付ける装置について、後方カメラ、検知システム又はミラーのどちらかの取り付けが定められていますが、両方ではなく、なぜ「いずれか」の装着と定められたのでしょうか。
前出の担当者は、次のように説明しています。
「バックカメラとセンサーの両方を装着したほうがより安全といえますが、クルマによっては後方カメラを装着できない車種があります。
後方カメラを装着するためには、カメラ映像を映し出すモニターの装着が必須です。
多くのクルマにモニターを装着できるスペースはありますが、モニターやカメラを装着することによって、車両価格が値上がりしてしまう可能性があります。
購入費用の負担を抑えるためにも、カメラまたはセンサーのどちらか一方を装着するという改正案となっています」
当件については、私の意見は基本的に反対なのだが、パブコメとして提出した私の憂慮する考え方を紹介してみたい。
【送信メール内容】
見出し:【パブコメ】道路運送車両法の保安基準一部改正(後退時の車両直後確認装置)
【本文】
国土交通省自動車局安全・環境基準課 意見募集担当 あて
道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令案及び
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部を改正する告示案に対する意見
氏名 ** *
住所 沼津市*****
電話 090-****-****
email ******@wise-net.co.jp
【意見本文】
保安基準の改定として、後退時に運転者が運転者席において自動車直後の状況を確認できる装置を備えなければならないことを新設するとのことだが、結論的には反対する。
この理由は、過去からよりも近年の方が多くなっている傾向すら感じる、いわゆる自分の子供を引くなどの事故が絶えないと云うことを上げなければならないだろう。想像も含むが、これらの該当車には、いわゆるバックカメラやバックソナーなる、後方各に装置が装備されていた可能性も高いと思われるのにも関わらずだからだ。
では、何故この様な装置が装備されているにも関わらず、先の様な事故が継続して生じているのかを考察してみたい。
私は過去にある保険会社の事故調査担当者として30年近く勤続してきた者だが、そもそもこういう事故を生む運転者というのは、乗用車など後方を振り向けば直接視認が可能であるのに、あえて後方を直接視認もせず、運転席前方の後方カメラモニターだけを見つつ運転を行っていたことが想像される。また、後方カメラがない場合でも、なんらか後方に障害物があれば後方ソナーの警報音もしくはモニターでの表示がされるからと、同様の運転操作を行っていたとも思える。
以上のことから、今回の告示案は、そもそも乗用車などで後方を振り返れば直視が可能な車両でさえ、ますます直視を行う運転者の減少を招きかねない処置だと懸念するのだ。
子供なお、いわゆる親族間事故の場合、子供の行動把握が杜撰であることが、先の事例の様な事故を招いているのだろうが、子供は固定しておらず動き回るということがある。
つまり、直前も後方カメラモニターの視覚には写らなかったものが、事故直近に視覚に入る訳だが、そもそも後退時に後方カメラモニターだけを見続ける訳にもゆかず、この様な事故が生じてしまうのだろう。
ということで、すべての乗用車において、本件の様な後方監視装置の装着を義務付けることは、今よりさらに後方を現認しようとする運転者を減少させる恐れが多く、反対せざるを得ないと考える。
なお、貨物車など、その装備の関係上、そもそも後方直後が見えない構造の車両にあっては、本装置の装着義務付けは妥当だろうと思える。
さらに追記しておきたいが、昨今、一般の乗用車であっても、外観意匠優先で、何ら改造などしていないメーカーの標準仕様であっても、後方視界が悪すぎる車両が増えつつある様にも感じることがある。また、前方も急傾斜フロントガラスと太いフロントピラーが前方視界に広く入り込むことにより、主に右斜め前の死角が大きい車両が増えすぎたとも感じている。この様な、運転中の直接視界を、一定の基準で確保しつつ、あまりに杜撰ともいえる概観意匠優先の製造者を規制するのも、保安基準の役目ではないだろうか。
以上
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【伝える報道内容】
衝突被害軽減ブレーキ、オートライトに続き、後方カメラも義務化か
2021年4月1日、国土交通省は自動車の後方部分にカメラやセンサーを装着することを義務化する方針を明かしました。
近年では、衝突被害軽減ブレーキやオートライトなど安全に寄与するさまざまな機能が義務化されていますが、今回の後方カメラやセンサーはどのような経緯で義務化されるのでしょうか。
現状のバックカメラは、車種によって標準装備やオプションとなり、装着度合いは異なっている。
現状のバックカメラは、車種によって標準装備やオプションとなり、装着度合いは異なっている。
今回の後方カメラやセンサーに関する内容は、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で「後退時車両直後確認装置に係る協定規則」が新たに採択されたことをうけて2021年3月30日に開かれた「令和2年度第3回車両安全対策検討会」にて検討されました。
改正案としては、自動車の後退時に発生する事故に対する安全対策の強化のため、後退時車両直後確認装置(後方カメラ、検知システムまたはミラー)を車両に備えるというもの。
適用範囲は、二輪自動車、側車付自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車などに加え、バックミラーの装置を備えることができない車両を除く、自動車が対象です。
主な要件としては、車両直後のエリア内の障害物を確認できること、確認手段はカメラ、検知システム又はミラーによることとされています。
法改正時期の予定は2021年6月上旬とされ、適用時期は新型車が2022年5月、継続生産車は2024年5月と予定されています。
この改正案について、2021年4月1日から5月1日までの期間、国土交通省のパブリックコメントにて意見を募集しています。
今回の後方の安全システムの義務化について、国土交通省の担当者は以下のように話します。
「後方安全システムの義務化について、駐車場での後退時に子どもやお年寄りを死傷させてしまう事故を減らすことが目的で、導入の検討が開始されました。
今回、さまざまなメディアでニュースとなっているのは、装備の導入にあたり告示したパブリックコメント募集についてです。
そのため、国土交通省からの公式発表はまだおこなっておりません。
現在はパブリックコメントを募集しているので、さまざまな意見を取り入れながら法改正の準備を進め、新型車に関しては2022年5月を目処に施行する予定となっています」
※ ※ ※
今回の報道では、あくまで国土交通省の公式発表ではないものの、後方カメラ、ミラーの取り付けを義務化する規定について、準備が進められているようです。
また、改正案では後方に取り付ける装置について、後方カメラ、検知システム又はミラーのどちらかの取り付けが定められていますが、両方ではなく、なぜ「いずれか」の装着と定められたのでしょうか。
前出の担当者は、次のように説明しています。
「バックカメラとセンサーの両方を装着したほうがより安全といえますが、クルマによっては後方カメラを装着できない車種があります。
後方カメラを装着するためには、カメラ映像を映し出すモニターの装着が必須です。
多くのクルマにモニターを装着できるスペースはありますが、モニターやカメラを装着することによって、車両価格が値上がりしてしまう可能性があります。
購入費用の負担を抑えるためにも、カメラまたはセンサーのどちらか一方を装着するという改正案となっています」