三菱重工業が国産初のジェット旅客機であるMRJの事業化を発表しました。MRJ(Mitsubishi Regional Jet)とは、三菱重工業が開発を進める短距離用国産ジェット旅客機で、乗員数は90人前後と70人前後の2つのクラスが予定されている様です。彼の昔の国産プロペラ機であるYS-11以来40年ぶりの国産旅客機の開発です。
我が国はクルマの生産では世界有数ではありますが、航空機の生産は未発達の観は拭えません。しかし、先の大戦中の多数の軍用機の生産を含み、我が国の航空機の開発、製造のポテンシャルは高いものがあるはずです。ここに来て、小型ジェット自家用機であるホンダジェットの発売を間近に控え、そしてこのMRJの開発が開始されることは喜ばしいことと感じます。
MRJは、カーボン複合材の採用等による軽量化により省燃費を目指すとしていますが、現状ではあまり技術革新的な内容がある様には感じられません。開発費は1,500億円で、内500億を国が負担すると云います。そして、トヨタ自動車と三菱商事がそれぞれ100億円を、三井物産と住友商事がそれぞれ50億円を出資するとも伝わります 。
MRJの運用開始は2012年と予定され、既に、国内航空会社の全日空で30機、日本航空が50機程度を発注することが予定されていると云います。三菱では、2012年の型式証明取得から10年間で1,000機の販売を目指しており、採算分岐点の生産機数は350機と伝わります。果たしてどの様な結果となるかですが、成功することを願います。コンコルドの様にたったの16機しか生産されなかったという機体もある訳ですから、航空機開発とは結構にリスキーでもあります。
追記
カーボン素材の有力メーカーである「東レ」は、カーボン複合素材(コンポジット・マテリアル)の技術開発拠点を名古屋に集約すると発表しました。既に製造開始中のボーイング787の胴体部分や、今回のMRJの生産、そしてトヨタの次期スーパースポーツカー等々、炭素繊維やプリプレグ(炭素繊維樹脂含浸シート)開発と関わる製品開発を推進する体制が中部圏(名古屋)を中心に築かれつつあります。