私の思いと技術的覚え書き

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バルブトレインのこと

2017-02-21 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 バルブトレインとは、バルブ駆動機構のことであり、4サイクルエンジンなら、クランクシャフト2回転でカムシャフト1回転する1/2の減速機構を持つ。レーシングカーなら、ほぼスパーギヤを多段に組み合わせたギヤトレインが使用されるが、市販車でギヤトレインが使われることは少ない。これは、角速度変動の激しいバルブ駆動系にギヤを使用した場合、ギヤの歯打ち音が生じ易いことや、特定回転における共振によりギヤの破壊が起こる場合があるためであろう。従って市販車にはコックドベルト(歯付きベルト)かチェーンによる連結駆動が一般的となる。但し、コックドベルトもベルト寿命の点で、突然ベルトが切れることで、バルブクラッシュ(ピストンヘッドとの干渉)が生じ、エンジンに壊滅的な損傷が生じることから、近年ではチェーンドライブに回帰したという感である。なお、チェーンでも、設計的もしくは構造的問題から、チェーンのコマがタイミングギヤを乗り越し、バルブタイミングが狂うというクルマがある。

 バルブトレイン機構は、マルチシリンダーのレーシングエンジンやオートバイでは、クランクセンターからのアウトプットやバルブトレインの配置が多いが、一般市販車では整備性などから前部(クランクプーリー側)に設置される場合が多い。しかし、大型トラックディーゼルや写真(AudiR8)などのスポーツ市販車のエンジンでは、後部(フライホイール側)に設置されている場合も多い。合計4本ものチェーンによりV10シリンダーのバルブを駆動するが、一番手前のチェーンは、オイルポンプとウォーターポンプを駆動している様である。カムの駆動は、Vバンクの左右い振り分ける1次と、それぞれのバンクの吸排バルブを駆動する2次での、2ステージチェーンとなっている。実際は知らぬ感想だが、各チェーンも長く、取り回し屈曲も多く、長期間の耐久性に不安を持つレイアウトと見える。それと、チェーンを張るテンショナーというのは、必然的に弛みが生じる非駆動側に設置されるのが常識と思うが、駆動側に設置されるとは何故なのか? 単に高い油圧を作用させても、ガイドだけの摩耗を促進するばかりではないかと思うのだが?・・・と、思ってよく考えたら、フロントから見て右回転であり、後部から見ると左回転だから、常識通りの設計であった。しかし、この長いチェーンと、多数のガイドは、絶対トラブルを生み出す様に思える。

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