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新幹線台車亀裂問題 その3

2018-03-02 | 事故と事件
新幹線台車亀裂問題 その3

 昨日夕のこと、その前日2/28に行われた台車製造元のたる川崎重工(以下川重)の記者会見の様子がYoutubeに掲載された。ちょっと見ようというつもりが、一部始終を流し見ながた見てしまった。総時間一時間45分に及ぶものだが、流し見ながら一部気になるところは、遡って見直したりとすべての内容を一定把握したと思う。

 総論から述べると、今回の川重役員3名の記者会見内容は、真摯で真直なものと感じ、何か隠しているんじゃないかとか、如何に問題を軽く見せようとかという姿勢が感じられなかった点について好感を持った。これは、いつぞや新車製造の検査問題で、日産の川西なる社長が、単独で会見した際の一部始終を見た感想とだいぶ異なる。それは、日産のが、此奴なんか不遜な態度の経営者だと感じたものと比べ、この川重のは、今後あらゆる部門で改善して行くことだろうものと思えたことだ。


川崎重工・金花社長が新幹線の台車亀裂問題で会見(2018年2月28日)

 今回の台車亀裂の原因のすべてのファクターが解明されたとは云えないと記者会見でも述べているが、主な要因は台車のメインフレーム(川重では「側梁」(がわばり)と称している)にスプリングシートBKT(川重では「ばね座」と称している)を溶接する際、基準を超える隙間が生じ、これを減じるために禁じられているメインフレーム底面を削り込んだことにあったと述べている。なお、溶接ビード盛り上がり部を含め母材を削らなければならない場合でも、許容削り値は0.5mmだとういう。しかし、今回の問題は元来の母材厚8mmで製品としての基準設計板厚7mmに対し、禁止された削り込みで4mmにまで板厚が減じていたと述べている。

 新幹線台車の製造について、同じくYoutubeに判り易い映像があったので感心ある方は見てもらいたい。


N700系新幹線 台車の製作
https://www.youtube.com/watch?v=4xvGQPLPKpA&t=13s

追記
 会見後の質疑応答の中から、側梁の部門を統括する班長は配下の作業員が約40名であるが、統括しきれない面があった可能性があり班長の編成を増やすことを検討していると述べていた。つまり班長とは軍隊で云うところの小隊であるが、その下位層となる分隊を編成するか、班長を増やして配下人数を減じるということなのだろう。

 今回の問題は、約10年前の2007年に製造した台車が問題を生じた訳だが、その時の班長は現在では上位になる職場長(軍隊で云えば中隊長に相当か)になっているという。これも質疑応答の中から川重側が説明して明確になったことだが、この者の責任はどうなるのかという質問だったと思う。これについては、川重の回答として、社内規則に照らして厳重なる処分を行うことになると述べていたが当然のことであろう。しかし、ここで思うことだが、ごく最近の身近な交通事故絡みで相談を受けアドバイスしている保険会社の対応の酷さというか、あまりにも卑屈さを思う。これは、担当者の発言内容があまりにもお粗末なので、その上位指揮者を監督不行き届きとして批難を指導したにも関わらず、指揮者は自らが表に立つことを忌避し、別の担当者にお粗末担当者の処分を行うことを盾に許るせと説明させたと云うのだ。こういう卑怯な指揮者は許せないと感じる。

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