これはクルマメーカーに限ったことではないだろうが、古き(といっても70年代以降)を知る、アナログ世代たる我が感慨として記す。
70年代、急拡大する車両保有台数と共に、各メーカーは大きく業容を拡大していた。(しかし、70年代中頃の石油ショックと共に高度成長には陰りを生じていたのだが・・・)そして、我が日本は、欧米の物真似や、パテント生産(ATMのボルグワーナーからや燃料噴射ジェトロニックのボッシュからの導入など)を通じ、そしてトヨタを筆頭とする得意の効率生産システムの確立により、輸出を急拡大することにより、更に急拡大していた。そして、1990年が正に輝ける日本車の金字塔たる年であったろう。この年販売されたクルマを並べれば、初代セルシオ(レクサスLS)、スカイラインBNR32・GTR、ホンダ(アキュラ)NSX、前年たる89年であるがマツダロードスター(MX5ミアータ)などが、直ぐさま上げられるだろう。
振り返って見ると、これらクルマが世界に与えたショックが如何に大きかっただろうことを感じるのだ。それは、諸性能に対するコストパフォーマンスであり、プロダクションパフォーマンスとして世界の最先端に立ったということだろうと思う。そして、自国巨大マーケットの中で悠々としていた米国車は急降下していき、本来の英国車は姿を消し、我が愛すべきドイツ車は頑なまでのポリシーを捨て去り変質せざるを得なくなったのだろう。その後、我が国のカーメーカーおよびデンソーやアイシンに代表されるデバイスメーカーは、元来のパテントメーカーを完全に打ち負かす程の発展を成した。その最大成果として、ディーゼルエンジンの高圧燃料噴射システム、いわゆるコモンレールシステムは、デンソーがボッシュに先んじて開発している。これにより、今まで大型エンジンにしか実現できなかった直接噴射燃焼式が、小型ディーゼルエンジンでも当然のこととして可能となり、排ガス規制対応と更なる熱効率改善が達成されたのだ。
それから、現在までの大メーカーの変貌ぶりと異様なまでのコスト重視偏重は、世界自動車戦争というべき環境変化に対応するためには致し方なかったのだろう。しかし、失ったものも大きかったと嘆くのだ。その代表例が、モラルをかなぐり捨てた行為の発覚に表れていると感じる。VWの排ガス誤魔化しECUの搭載であり、三菱自動車の燃費パラメータ(走行抵抗)の虚偽申告などであろうと思う。そして、大規模なプラットフォームの共有化と共通部品の増加によるコスト削減(プロダクションラインの共有(混流生産や個数増大により入手単価圧縮)、競合他車種との比較対等化を目指す余りの類似化という現象が、日本車だけでなく世界的に生じて来たのだろうと思っている。あのベンツもBMWも、かつての独自のポリシーは薄れた。それでも、国産に比べれば、僅かではあるが独自性だとか乗って操って楽しいという感覚は僅かではあるが残っているが、それも風前の灯火となったと感じているのだ。面白くない世相の変化だと嘆かずにはいられない。
※MX5(NA)は、MG・B以後、忘れ去られていた(コストに対する見込み販売台数から否定されていた)ことを、世界のカーメーカーに再認識させたろう。そして、昨年からFIAT社では、スパイダー用にNDのモノコックシェルをマツダから調達するということに相成った。もっとも、逆にFIAT製エンジンはダイムラー社を経由して三菱ふそうの2~3トンクラス用トラックエンジンに搭載されてから久しい。
70年代、急拡大する車両保有台数と共に、各メーカーは大きく業容を拡大していた。(しかし、70年代中頃の石油ショックと共に高度成長には陰りを生じていたのだが・・・)そして、我が日本は、欧米の物真似や、パテント生産(ATMのボルグワーナーからや燃料噴射ジェトロニックのボッシュからの導入など)を通じ、そしてトヨタを筆頭とする得意の効率生産システムの確立により、輸出を急拡大することにより、更に急拡大していた。そして、1990年が正に輝ける日本車の金字塔たる年であったろう。この年販売されたクルマを並べれば、初代セルシオ(レクサスLS)、スカイラインBNR32・GTR、ホンダ(アキュラ)NSX、前年たる89年であるがマツダロードスター(MX5ミアータ)などが、直ぐさま上げられるだろう。
振り返って見ると、これらクルマが世界に与えたショックが如何に大きかっただろうことを感じるのだ。それは、諸性能に対するコストパフォーマンスであり、プロダクションパフォーマンスとして世界の最先端に立ったということだろうと思う。そして、自国巨大マーケットの中で悠々としていた米国車は急降下していき、本来の英国車は姿を消し、我が愛すべきドイツ車は頑なまでのポリシーを捨て去り変質せざるを得なくなったのだろう。その後、我が国のカーメーカーおよびデンソーやアイシンに代表されるデバイスメーカーは、元来のパテントメーカーを完全に打ち負かす程の発展を成した。その最大成果として、ディーゼルエンジンの高圧燃料噴射システム、いわゆるコモンレールシステムは、デンソーがボッシュに先んじて開発している。これにより、今まで大型エンジンにしか実現できなかった直接噴射燃焼式が、小型ディーゼルエンジンでも当然のこととして可能となり、排ガス規制対応と更なる熱効率改善が達成されたのだ。
それから、現在までの大メーカーの変貌ぶりと異様なまでのコスト重視偏重は、世界自動車戦争というべき環境変化に対応するためには致し方なかったのだろう。しかし、失ったものも大きかったと嘆くのだ。その代表例が、モラルをかなぐり捨てた行為の発覚に表れていると感じる。VWの排ガス誤魔化しECUの搭載であり、三菱自動車の燃費パラメータ(走行抵抗)の虚偽申告などであろうと思う。そして、大規模なプラットフォームの共有化と共通部品の増加によるコスト削減(プロダクションラインの共有(混流生産や個数増大により入手単価圧縮)、競合他車種との比較対等化を目指す余りの類似化という現象が、日本車だけでなく世界的に生じて来たのだろうと思っている。あのベンツもBMWも、かつての独自のポリシーは薄れた。それでも、国産に比べれば、僅かではあるが独自性だとか乗って操って楽しいという感覚は僅かではあるが残っているが、それも風前の灯火となったと感じているのだ。面白くない世相の変化だと嘆かずにはいられない。
※MX5(NA)は、MG・B以後、忘れ去られていた(コストに対する見込み販売台数から否定されていた)ことを、世界のカーメーカーに再認識させたろう。そして、昨年からFIAT社では、スパイダー用にNDのモノコックシェルをマツダから調達するということに相成った。もっとも、逆にFIAT製エンジンはダイムラー社を経由して三菱ふそうの2~3トンクラス用トラックエンジンに搭載されてから久しい。