トヨタbZ4xリコール原因発表だが説明内容に疑問?
今年(2022年)6月にトヨタ bZ4X と スバル ソルテラで走行中にタイヤが脱落する恐れがあるとして原因が判明するまで使用を中止してくれと異例のリコールを発表していた件がある。
このbZ4Xはサブスク販売でディーラーでは購入できず、トヨタの作ったキントからNet契約のサブスク販売のみで入手しかできないが、ソルテアは従来通り買い切り販売がディーラー経由でできる。この当面の使用停止で、サブスク契約解除や販売契約解除による返金処理、その間の使用ガソリンなど費用の賠償など、それなりに混乱は生じていた様子がNet情報で伺える。
そんなとりあえずの使用中止のリコール発表(6/24)から3カ月余を経て、やっと恒久的リコール内容がやっと発表された。このリコール内容と対象車(合計204台)は別添図(01&02)の通りだが、リコール発表の原因はよくあることだが本来の核心たる理由を覆い隠したり取り繕った説明がなされていることは時々気づくが、今次のリコール届け出内容にも様に感じられるところだ。
なお、このリコール内容の発表はトヨタ副社長からも発表がなされた様だが、その内容がさらに詳しく下記に転載した記事がYahoo News[Web CarTop]にあったので本文下に転載する。
ところで、このbZ4Xとソルテラのホイールボルトは、従来の国産車の多用されてきたハブボルトがスタッドであり、そこにホイールを挟み込んでナットで締結するものからボルトでハブにねじ込むボルト方式に変更されている。このボルト方式は旧来から欧州車(ベンツやBMWなど)に使用されて来たハブ側の雌ネジに雄ネジたるハブボルトをねじ込む装着方法だ。なお、トヨタでのネジ式ハブボルトの採用は初めのことでなく、既にレクサス最新型のLSやISなどで採用されているもので、普通に考えるとねじ込み式が原因となるとは考え難いものだ。このことは、昔からねじ込み式を採用して来た欧州車が、ホイールが脱落するなど事故が多いなんてことはないことからも明かだろう。(別添図03&04参照、この内実ボルト2本は手持ちのBMW様M12とM14を撮影したもの)
トヨタの公式リコール発表では、ホイールとハブボルトを交換するとだけ記しているが、下記の記事ではさらに以下の様な説明がなされている。「ホイール品質を高めるため、接触面の表面粗さを設計通りになるよう見直すこと。また、締め付けるハブボルトについては、円錐形をしたワッシャーを追加し、Oリングを使ってハブボルトと共にホイールを締め付けることで緩み難くした」
これを、私見としての理解で図解すると別添図(05)の様にしたと理解できると想像している。つまりOリングは、ボルト取り外し時に、テーパーワッシャ脱落して紛失するのを防ぐための理由でのものだろう。
ところで、ハブボルトの座面の方式には、別添図(06)の如く3種ほどの種別がある様だ。欧州車とかレクサスでも導入し始めたのは、テーパー式が該当するだろう。球面座というのは、ホンダなどのスチールホイールで一部採用されている。平面座は、純正アルミホイールの初期のころとか、現在中大型車のホイール締結方式として世界基準となったISO方式で採用されているものだ。
ところでNet情報であり、真実の確認は得ていないが、今次のbZ4Xとソルテラのホイールは従来のトヨタ車純正装着で実績高いメーカー(トピー工業と想像)でなく、そこが管理はしていたのかもしれないが、中国工場製を採用していたのではないかという指摘があった。ここでは中国製がすべて悪いなどという理由付けをするつもりは毛頭ないが、件のホイールで云えば、テーパーの角度の精度とか面荒さ、それと現車は5本ボルト締結の様だが、この5本のボルト穴心央を通る円のことをPDC(ピッチ デット サークル)と呼ぶが、この穴間隔の寸法精度が極めて重要となる。(図07)
穴間隔が1mm以上狂っていれば、そもそもホイール組付けができないが、この狂いが0.5mm狂っていたとすると、テーパーが正常に着座しないで、アルミホイール本体を変型させて着座する状態になるだろう。こうなると、走行中の応力で変型が戻ろうとする応力が働いているので、急速にボルト締め付け軸力の低下を生じる可能性を持つ懸念を想像してしまう。
何れにしても、中国製造であれ国内他工場からのOEM製造であれ、元請け側の現品精度と各種寸法精度や美観ばかりでなく重要部位は表面粗さなどの品質管理が欠かせない問題となろう。
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【前回ブログ記事】トヨタ bZ4X & スバル ソルテラ、タイヤ脱落の恐れで使用停止を要請 2022-06-24
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/951316f89fb86a551336df0f9c05a5aa
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【記事】原因不明だったトヨタのEV「bZ4X」のリコール! ついに解明された「理由」とは?
Yahoo News[Web CarTop] 10/15(土) 7:01配信
ハブボルトが緩む症状が発生していた
今後は受注している分から順に対応していくという
2022年9月30日にWEB CARTOPへと掲載となった拙稿(韓国ヒョンデと中国BYDのEVの完成度がヤバい! トヨタですらうかうかしてられないEV市場戦国時代 )の6日あととなる10月6日に、トヨタは「bX4Zリコール対策オンライン説明会」を行った。説明に立ったのは、前田昌彦執行役員・副社長、Chief Technology Officerである。
拙稿については、『トヨタやSUBARUは、トヨタのハイブリッドシステムを前提とした回生の効果とその負荷しか考慮できないままbZ4Xとソルテラを市場導入したのではないかと推測される。それが、ひとつの可能性としてリコールにつながったのではないか。』の部分に対し、トヨタ広報から「誤解であるため修正してほしい」との申し出が事前にあった。そうした経緯を経てのちのオンライン説明会であった。
同日には、説明会に先立ち国土交通省から、「トヨタ自動車株式会社から、令和4年10月6日国土交通大臣に対して、下記の通りリコールの届け出がありましたので、お知らせします」として、リコール届出一覧表、改善箇所説明図の[1]と[2]がホームページ上に公開された。
今回のリコールでは、カーテンシールドエアバッグについても行われたため、上記のような表現になっている。
オンライン説明会の主題は、ディスクホールとハブボルトに関する内容である。これについてトヨタは、6月23日にリコールを届けていた。そして受注は中断し、所有者には解決されるまで走行しないよう依頼がなされた。それから3カ月以上を経て、原因の解説と、解決策が説明されたのである。
連続した急加速や急制動の繰り返し等でハブボルトが緩むことがあるというその原因を、前田副社長は、「ハブに取り付けられたブレーキ装置のホイールとの接点となる面と、ホイール側の接点となる面は、ともに滑らないよう設計しているが、規定トルクでハブボルトを締め付けていても、緩むことがある」と、解説した。緩みの出る理由として、ホイール側の接触面の精度が規定通りでなく、滑りやすかったとしている。これは、電気自動車(EV)に限らず、高いトルクのクルマではあり得ることだとも語り、EVであることがリコールの要因ではないと述べた。
対策は、ホイール品質を高めるため、接触面の表面粗さを設計通りになるよう見直すこと。また、締め付けるハブボルトについては、円錐形をしたワッシャーを追加し、Oリングを使ってハブボルトと共にホイールを締め付けることで緩み難くしている。
ハブボルトの採用は、レクサスISで事例がある。では、なぜ、bZ4Xでリコールにつながったのかという問いに対し、前田副社長は「駆動力はbZ4Xがもっとも大きいので、ホイール品質と合わせてハブボルトの緩みが生じた」、また「トヨタが新しい構造を使う上で、知見が不十分だった」と述べている。ちなみに、ここでいう駆動力とは、モーター特有の回生も含むとトヨタ広報は言っている。
ちなみに、の動力性能は、最高出力150kW、最大トルク266Nmである。今回のリコールに際し、リース販売(米国では販売)されていたのは前輪駆動(FWD)であった。これに対し、ISでもっとも高出力なのはIS500であり、動力性能は354kW、最大トルクは535Nmであり、最高出力で2倍以上、最大トルクでも2倍、IS500が圧倒的にbZ4Xを上まわる。それでもなぜ、bZ4Xでリコールに至ったのか。
この問いに対し、トヨタ広報はエンジニアに改めて確認したとして、「動力源のトルクだけでなく、タイヤの直径が大きいことにより駆動力が大きくなるということで、当社の算定では、他車種も含めてbZ4X(のFF車のフロントホイール)が一番大きい」という回答であった。
ちなみに、bZ4XとIS500の標準装着タイヤ寸法は、bZ4Xが235/60R18で、IS500が265/35R19(駆動力の掛る後輪)である。ここから扁平率を加味して直径を算出すると、bZ4Xが約73.9cm、IS500が約66.8 cmとなる。タイヤ寸法は、タイヤメーカーやタイヤの種類によって若干異なることがあるので、以上は概算だ。ホイール径ではIS500が1インチ大径になるが、タイヤが扁平なので、外周に関わる直径は小さくなる。ハブに掛かるモーメント(回転力)において、直径の小さなIS500のほうが負担は低いことになる。
ただし、動力性能が圧倒的にIS500のほうが高いのだが、駆動力計算についてトヨタ広報は「当社の算出」によると答えているので、これ以上は考察の判断材料を持たない。
6月のリコール届出から3カ月以上経っての説明と時間を要したことについて、前田副社長は、原因を確定することにまず時間がかかったと説明した。その手順は、そもそも設計はどうであったか、製品の品質はどうであるかを探り、そして対応について、評価しながらの対処となり、なおかつ量産部品での確認も必要であり、現物を取り寄せ、部品メーカーのデータも見ながら、走り、曲がり、止まるという様々な場面での力の掛り方を想定し、実地確認していくうえで時間が掛らざるをえなかったとしている。
ホイール品質の改善はもちろんだが、新たに使うワッシャーの手配にも時間がかかったとする。ワッシャーは、ゴムのOリングで止め、繰り返し使用できるという。
国土交通省へ届け出た車両の台数は、bZ4Xが約2700台で、内訳は、国内が約100台、海外が約2600台であるという。SUBARUソルテラは約1600台で、内訳は、国内が約100台、海外が約1500台とのことだ。
今後について、説明会当日から生産を再開し、受注している分から順番に対応していくとのことであった。国内販売では、KINTO(キント)の再開は10月26日を予定しているとのことだ。詳細は、bZ4Xのホームページに記載されている。
トヨタとSUBARUが満を持して市場投入したEVの、5月12日発売から1カ月強で生じたリコール問題は、ようやく目途が立った。クリーンエネルギー車(CEV)への補助金は10月にも締め切られるのではないかというほど消費者の目がEVに集まるなか、ようやく日が差してきたといえる。前田副社長は、「トヨタの安心、安全を取り戻したい」と述べた。end
今年(2022年)6月にトヨタ bZ4X と スバル ソルテラで走行中にタイヤが脱落する恐れがあるとして原因が判明するまで使用を中止してくれと異例のリコールを発表していた件がある。
このbZ4Xはサブスク販売でディーラーでは購入できず、トヨタの作ったキントからNet契約のサブスク販売のみで入手しかできないが、ソルテアは従来通り買い切り販売がディーラー経由でできる。この当面の使用停止で、サブスク契約解除や販売契約解除による返金処理、その間の使用ガソリンなど費用の賠償など、それなりに混乱は生じていた様子がNet情報で伺える。
そんなとりあえずの使用中止のリコール発表(6/24)から3カ月余を経て、やっと恒久的リコール内容がやっと発表された。このリコール内容と対象車(合計204台)は別添図(01&02)の通りだが、リコール発表の原因はよくあることだが本来の核心たる理由を覆い隠したり取り繕った説明がなされていることは時々気づくが、今次のリコール届け出内容にも様に感じられるところだ。
なお、このリコール内容の発表はトヨタ副社長からも発表がなされた様だが、その内容がさらに詳しく下記に転載した記事がYahoo News[Web CarTop]にあったので本文下に転載する。
ところで、このbZ4Xとソルテラのホイールボルトは、従来の国産車の多用されてきたハブボルトがスタッドであり、そこにホイールを挟み込んでナットで締結するものからボルトでハブにねじ込むボルト方式に変更されている。このボルト方式は旧来から欧州車(ベンツやBMWなど)に使用されて来たハブ側の雌ネジに雄ネジたるハブボルトをねじ込む装着方法だ。なお、トヨタでのネジ式ハブボルトの採用は初めのことでなく、既にレクサス最新型のLSやISなどで採用されているもので、普通に考えるとねじ込み式が原因となるとは考え難いものだ。このことは、昔からねじ込み式を採用して来た欧州車が、ホイールが脱落するなど事故が多いなんてことはないことからも明かだろう。(別添図03&04参照、この内実ボルト2本は手持ちのBMW様M12とM14を撮影したもの)
トヨタの公式リコール発表では、ホイールとハブボルトを交換するとだけ記しているが、下記の記事ではさらに以下の様な説明がなされている。「ホイール品質を高めるため、接触面の表面粗さを設計通りになるよう見直すこと。また、締め付けるハブボルトについては、円錐形をしたワッシャーを追加し、Oリングを使ってハブボルトと共にホイールを締め付けることで緩み難くした」
これを、私見としての理解で図解すると別添図(05)の様にしたと理解できると想像している。つまりOリングは、ボルト取り外し時に、テーパーワッシャ脱落して紛失するのを防ぐための理由でのものだろう。
ところで、ハブボルトの座面の方式には、別添図(06)の如く3種ほどの種別がある様だ。欧州車とかレクサスでも導入し始めたのは、テーパー式が該当するだろう。球面座というのは、ホンダなどのスチールホイールで一部採用されている。平面座は、純正アルミホイールの初期のころとか、現在中大型車のホイール締結方式として世界基準となったISO方式で採用されているものだ。
ところでNet情報であり、真実の確認は得ていないが、今次のbZ4Xとソルテラのホイールは従来のトヨタ車純正装着で実績高いメーカー(トピー工業と想像)でなく、そこが管理はしていたのかもしれないが、中国工場製を採用していたのではないかという指摘があった。ここでは中国製がすべて悪いなどという理由付けをするつもりは毛頭ないが、件のホイールで云えば、テーパーの角度の精度とか面荒さ、それと現車は5本ボルト締結の様だが、この5本のボルト穴心央を通る円のことをPDC(ピッチ デット サークル)と呼ぶが、この穴間隔の寸法精度が極めて重要となる。(図07)
穴間隔が1mm以上狂っていれば、そもそもホイール組付けができないが、この狂いが0.5mm狂っていたとすると、テーパーが正常に着座しないで、アルミホイール本体を変型させて着座する状態になるだろう。こうなると、走行中の応力で変型が戻ろうとする応力が働いているので、急速にボルト締め付け軸力の低下を生じる可能性を持つ懸念を想像してしまう。
何れにしても、中国製造であれ国内他工場からのOEM製造であれ、元請け側の現品精度と各種寸法精度や美観ばかりでなく重要部位は表面粗さなどの品質管理が欠かせない問題となろう。
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【前回ブログ記事】トヨタ bZ4X & スバル ソルテラ、タイヤ脱落の恐れで使用停止を要請 2022-06-24
https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/951316f89fb86a551336df0f9c05a5aa
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【記事】原因不明だったトヨタのEV「bZ4X」のリコール! ついに解明された「理由」とは?
Yahoo News[Web CarTop] 10/15(土) 7:01配信
ハブボルトが緩む症状が発生していた
今後は受注している分から順に対応していくという
2022年9月30日にWEB CARTOPへと掲載となった拙稿(韓国ヒョンデと中国BYDのEVの完成度がヤバい! トヨタですらうかうかしてられないEV市場戦国時代 )の6日あととなる10月6日に、トヨタは「bX4Zリコール対策オンライン説明会」を行った。説明に立ったのは、前田昌彦執行役員・副社長、Chief Technology Officerである。
拙稿については、『トヨタやSUBARUは、トヨタのハイブリッドシステムを前提とした回生の効果とその負荷しか考慮できないままbZ4Xとソルテラを市場導入したのではないかと推測される。それが、ひとつの可能性としてリコールにつながったのではないか。』の部分に対し、トヨタ広報から「誤解であるため修正してほしい」との申し出が事前にあった。そうした経緯を経てのちのオンライン説明会であった。
同日には、説明会に先立ち国土交通省から、「トヨタ自動車株式会社から、令和4年10月6日国土交通大臣に対して、下記の通りリコールの届け出がありましたので、お知らせします」として、リコール届出一覧表、改善箇所説明図の[1]と[2]がホームページ上に公開された。
今回のリコールでは、カーテンシールドエアバッグについても行われたため、上記のような表現になっている。
オンライン説明会の主題は、ディスクホールとハブボルトに関する内容である。これについてトヨタは、6月23日にリコールを届けていた。そして受注は中断し、所有者には解決されるまで走行しないよう依頼がなされた。それから3カ月以上を経て、原因の解説と、解決策が説明されたのである。
連続した急加速や急制動の繰り返し等でハブボルトが緩むことがあるというその原因を、前田副社長は、「ハブに取り付けられたブレーキ装置のホイールとの接点となる面と、ホイール側の接点となる面は、ともに滑らないよう設計しているが、規定トルクでハブボルトを締め付けていても、緩むことがある」と、解説した。緩みの出る理由として、ホイール側の接触面の精度が規定通りでなく、滑りやすかったとしている。これは、電気自動車(EV)に限らず、高いトルクのクルマではあり得ることだとも語り、EVであることがリコールの要因ではないと述べた。
対策は、ホイール品質を高めるため、接触面の表面粗さを設計通りになるよう見直すこと。また、締め付けるハブボルトについては、円錐形をしたワッシャーを追加し、Oリングを使ってハブボルトと共にホイールを締め付けることで緩み難くしている。
ハブボルトの採用は、レクサスISで事例がある。では、なぜ、bZ4Xでリコールにつながったのかという問いに対し、前田副社長は「駆動力はbZ4Xがもっとも大きいので、ホイール品質と合わせてハブボルトの緩みが生じた」、また「トヨタが新しい構造を使う上で、知見が不十分だった」と述べている。ちなみに、ここでいう駆動力とは、モーター特有の回生も含むとトヨタ広報は言っている。
ちなみに、の動力性能は、最高出力150kW、最大トルク266Nmである。今回のリコールに際し、リース販売(米国では販売)されていたのは前輪駆動(FWD)であった。これに対し、ISでもっとも高出力なのはIS500であり、動力性能は354kW、最大トルクは535Nmであり、最高出力で2倍以上、最大トルクでも2倍、IS500が圧倒的にbZ4Xを上まわる。それでもなぜ、bZ4Xでリコールに至ったのか。
この問いに対し、トヨタ広報はエンジニアに改めて確認したとして、「動力源のトルクだけでなく、タイヤの直径が大きいことにより駆動力が大きくなるということで、当社の算定では、他車種も含めてbZ4X(のFF車のフロントホイール)が一番大きい」という回答であった。
ちなみに、bZ4XとIS500の標準装着タイヤ寸法は、bZ4Xが235/60R18で、IS500が265/35R19(駆動力の掛る後輪)である。ここから扁平率を加味して直径を算出すると、bZ4Xが約73.9cm、IS500が約66.8 cmとなる。タイヤ寸法は、タイヤメーカーやタイヤの種類によって若干異なることがあるので、以上は概算だ。ホイール径ではIS500が1インチ大径になるが、タイヤが扁平なので、外周に関わる直径は小さくなる。ハブに掛かるモーメント(回転力)において、直径の小さなIS500のほうが負担は低いことになる。
ただし、動力性能が圧倒的にIS500のほうが高いのだが、駆動力計算についてトヨタ広報は「当社の算出」によると答えているので、これ以上は考察の判断材料を持たない。
6月のリコール届出から3カ月以上経っての説明と時間を要したことについて、前田副社長は、原因を確定することにまず時間がかかったと説明した。その手順は、そもそも設計はどうであったか、製品の品質はどうであるかを探り、そして対応について、評価しながらの対処となり、なおかつ量産部品での確認も必要であり、現物を取り寄せ、部品メーカーのデータも見ながら、走り、曲がり、止まるという様々な場面での力の掛り方を想定し、実地確認していくうえで時間が掛らざるをえなかったとしている。
ホイール品質の改善はもちろんだが、新たに使うワッシャーの手配にも時間がかかったとする。ワッシャーは、ゴムのOリングで止め、繰り返し使用できるという。
国土交通省へ届け出た車両の台数は、bZ4Xが約2700台で、内訳は、国内が約100台、海外が約2600台であるという。SUBARUソルテラは約1600台で、内訳は、国内が約100台、海外が約1500台とのことだ。
今後について、説明会当日から生産を再開し、受注している分から順番に対応していくとのことであった。国内販売では、KINTO(キント)の再開は10月26日を予定しているとのことだ。詳細は、bZ4Xのホームページに記載されている。
トヨタとSUBARUが満を持して市場投入したEVの、5月12日発売から1カ月強で生じたリコール問題は、ようやく目途が立った。クリーンエネルギー車(CEV)への補助金は10月にも締め切られるのではないかというほど消費者の目がEVに集まるなか、ようやく日が差してきたといえる。前田副社長は、「トヨタの安心、安全を取り戻したい」と述べた。end
取説を見ても球面の図になってます